その執着は今更です。

ビーバー父さん

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 ギルドを後にして、その足で早馬を借りて港へと走らせた。

 ただ、自分では馬に乗れないのと馬を返すにあたって、馬番がいないといけなかったので騎手兼馬番ごと借りて、どこかのお姫様みたいに前に乗らされて後ろから手綱を持たれた。

 これって、女性なら喜ぶシチュエーションかもだろうけうど……。

 馬番兼騎手の男性はまるで物語に出て来る、チャーミングなんたらみたいだった。
 はっきり言って、僕の好みでは無かった。
 だって、顎割れてるんだもん。

「あの、港まではどのくらいですか?」

「馬も休ませなければいけませんから、二日ほどかかります。
 馬車だと一週間近くですね」

 馬の方が早いと言う主張だろうけど、このチャーミングなんたらはあんまり急いでくれなかった。

「お願いです、急いでください」

「追われてるとかですか?」

「いいえ、隣国へ急ぎの用事があって」

 適当な言い訳を並べ立てて、とにかく急いでほしかった。

「大丈夫ですよ、明日には港へ着きます。
 それに、天候も問題無いですから、すぐに出航する船にも乗れますよ」

 顎は別として、人としては悪くはなく、馬の為に無理はしないけど精一杯急ぎますって感じで走らせてくれた。

 と中の野宿がきつくなかったと言えば、他の事できつかった。
 交代で火の番をしたけど、チャーミングはものすごいイビキで魔物も避けて通りそうだった。

「煩いけど、昼間頑張ってくれてたんだし仕方ないよな」

 これが普通の生き方だよな、と一人実感した。




「さぁ、港が見えて来ましたよ」

 そう言われると空の色が違って見えた。
 海が近いもしくは海の上に広がる空の色だった。

「あ、大きい船が見える!」

「えぇ、あのあたりの船が隣国へ行くやつでしょうね。
 俺は言った事ないので分かりませんが」

 国を出て自由に動くと言うのは冒険者、もしくは貴族くらいでそれこそ何かしらの証明書が無ければ難しい話だった。

 僕みたいに、たまたま冒険者になれて、たまたま、いや違う。
 転生して、こんな世界で生きて行かなきゃいけない事自体がおかしいんじゃないか。
 ヒロインもなぜか排除されまくってたし。
 しかも極道の実家持ちという、なんか凄い人だった。

 ゲームもセカンドシーズンだか、続編だかでキャラも全然違う知らない人とかだし、攻略する気は全く無かったけど、逃げるためには利用しなくちゃいけないよな、と考えていた。

「さぁ、ここまでで大丈夫ですか?」

「はい、ありがとうございました」

 二日分の料金と、更に帰る為の二日分の料金を渡して、チャーミングとは別れた。

 何事もなく、いや元々フラグが立つような出会いでは無かったし、割れ顎の攻略対象なんて申し訳ないけど嫌だった。
 意外と僕ってメンクイだったのかも。







 合体させてゴブリンちゃん達が作った船は、ちょっとしたクルーザー並みの素早さに、豪華とは言わないけど客船としては十分な広さを完備した物になっていたので、後は海に出るための食糧調達とかまぁ、色々仕入れて出発しなくっちゃ。
 
 月が満月なのか、三日月なのか、そこは分からないのよね。
 だから、しばらくは留まれるように、食料や日用品を買い込んでおく必要があったの。

「ばう、わん、わう」

 結構大きな港へ寄港することが出来たけど、不明船だとかで登録からしなきゃいけないって言うのがめんどくさかったわ。
 ゴブリンちゃんやケルベロスちゃんを出すと、めんどくさい事が起きるって分かってたから、そこはお留守番していただいて、登録をちゃっちゃと済ませちゃいました。

「船は、ビクトリア号で客船です!
 今回の寄港目的は、食料の調達と処女航海の為の準備ですわ」

 お役所の手続きはどこも面倒ですけど、この世界は結構簡単だわ。
 製造がどうなってるかとか、船首からの大きさとかそう言った登録なんか何もしないし、ただ船の名前と目的なんかだけなんですもの。

「これが船の登録証だ。
 次にどこかの港による時は必ず提出して、寄港料を払うんだぞ」

「分かりましたわ」

 さて、食料とか必要な物を調達しなくっちゃ。

 

 

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