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異世界家族
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しおりを挟む「ではアキ様、あの人間の直ぐ近くに送ります。
どうぞ、見極めて決断ください。」
アウィスが俺を送ろうとした。
「アキ!私も!」
「ダメです。
アキ様だけです。
大丈夫ですよ、アキ様なら。
そこのシムラクルムとは違いますからね」
冷ややかな視線を投げて、タロー様を制した。
「アウィス、私が悪かった。
だからアキを使って嫌がらせをするのをやめてほしい」
神様がアウィスに深々と頭を下げて、謝罪をした。
「何言ってんの?
嫌がらせじゃないし!
他の世界の神籍を招くってどんだけリスクがあるか分かんないのに!
そんなのシムラクルムも知ってるでしょ?!
ボク、性格曲がってるけど、そこまで意地悪じゃないよ!
何だと思ってるんだよ!!
兄上様を振っといて、虫の良いこと言うな!!
あの人間を受け入れたのも、アンタが好きだから勝手に兄上様がやったんだ!
なのに!
リスクだけを兄上様に押し付けて、今度はこれ?!
アキ様は何にもしらないから、ボクだって許容したんじゃないか!
兄上様だけが!」
「アウィス、もう、やめなさい。」
ラエヴがアウィスを片手で抱き寄せて宥めた。
アウィスは涙を流して、ラエヴに抱きついていたけど、抱き返す腕は右だけで左側は動かさなかった。
「兄上様!
何で兄上様だけが!」
「仕方ないさ、振られても
シムラクルムが困っているなら助けてやりたいさ。
ただ、これ以上は流石にお前を悲しませる事になるだろうから、許可を取らせただけだ。」
薄く俯くようにラエヴが笑った。
そして、動かない左腕や肩を見つめながらライカスがその事情を察した。
「邪神が善行を無理に行えば、拒絶反応が出るのは当たり前なんですよ。
急ぎでアウィス様に話さずにやった結果でしょう。
だから、アウィス様があの人間を転生させる事で、ラエヴ様の行いに無理矢理辻褄あわせをさせたんですね?
だから、その体に空虚が残った。」
永遠を生きる神の体に空虚が出来るってどう言う事なのか。
「俊樹が行ったことで、いや、無理矢理送った事で世界に歪みが出た、のか?
歪みを、繕うために体の一部を使ったのか?」
神様が、呆然と立ち尽くしていた。
異世界の人間を招き入れる事を、酷く警戒していたのは、これか。
「ははは、手順を踏めば良かったんだ。
だけどな、私はシムラクルムが酷く焦って頼み事をして来たから、嬉しかったのだよ。
アウィス、そこは私のせいだ。
機嫌を直してくれ。」
エセ紳士と思っていたのに、体の一部を使うって!
なら、俺が行ったら歪みが酷くなるんじゃないだろうか?
「ラエヴ様、アウィス様、
それなら、俺は行けません。」
自分の事だけしか考えてなかった。
どこかに影響が出るなんて、思ってもいなかったから。
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