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一途の意味

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 思惑通り、子息や令息を呼びつけて、隣の国にこんな令嬢がいるんだけど、どうよ?ってやってみると、意外と渋りやがった。

 理由は、結婚したら自由恋愛が出来ないとか常識的な事を言っていた。

「そもそも、浮気とか不貞って概念があったんだ?」

 僕は思わず心の声がダダ洩れた。

「ドラニスタ―は一夫一婦制ですよ。
 ただ、性別や人種、種族に対して寛容というか、節操が無いってだけです」

 宰相が取り繕えてない事を言った。

 あ、そこか。

 獣人がいる国だしな。
 そんな了見の狭い話は通らないだろう。

「節操が無いって言っちゃうんだ。
 まぁ、今回はそこを逆手に取る訳だし」

 ピスカルソーダ国では愛人を持つことが許されているし、こういった政略結婚では当たり前だった。
 ただ、あくまで男性側の愛人が許されているだけで、女性には許されていなかった。
 隠れて愛人を持つ貴族の夫人もいるけど、公になれば罰せられるのは夫人で愛人では無かった。
 なんて理不尽で、勝手な法律なんだ。

「今の所、向こうの国では自由恋愛が出来そうだけど?」

「本当ですか?! それなら向こうの国の令嬢と婚姻しても構いません」

 現金なものだった。





 ピスカルソーダ国の令嬢たちへ、ドラニスタ―国の子息や令息の釣書を写真付きで送ると、すぐに承諾と言う返事が届いた。

 こちらから示した条件として、婚姻はピスカルソーダで行い、生活もピスカルソーダでする事になると言う事、ただそれだけだった。
 それに子息や令息の地位は同じかもしくは多少爵位が上がる事になったので、令嬢たちの家門はこの縁談を逃すまいと必死だったことが伺えた。

「既に空の爵位なのだから、必死だろう」

 アスが言った通り、この縁談が王妃と国王から出された事で、自分たちが許されたと錯覚をしていたからだった。

「もう明日にはゲートを通って向こうに行くけど、結婚式とかどうするの?」

「私たちの婚約式の後、数日置いて集団結婚式だ」

 それってどこかの宗教じゃん!

「こっちが決めた縁談に当日会って、その場で結婚式よりはマシだと思うけど、それで納得するのかな?」

「するさ。
 絶世の美男に、資金までがついて来るんだ。
 こんないい話は無いだろう? それに、王妃から許されたって思ってるだろうし、これ以上反意は示さないさ」

 アスの見解通りにいけばいい、とそう願っていた。





 ピスカルソーダ国でそのまま生活することになる子息や令息に、メイクの仕方をしっかりレクチャーした。

「おお!!! これほどかわるんですか!!」

 目と鼻筋を重点的に教えた。
 そこが出来ないと、結婚式の間に破談となりかねないからだ。

「事前に承諾を得ているが、この先法律が変わった時は破婚でもなんでもして構わない」

「ええ、私達だって好みがあります。
 結構、一途なんですよ? 顔よりスタイルより、性格が一番だって知ってますから」

 意外に良い人たちで、なんだか申し訳なかったけど、アスが言うには自由恋愛と称して結構な人数を嚙み捨ててるらしかった。

 ダメじゃん。


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