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記念祭
しおりを挟む式典が始まり、ドラニスタ―国王とトルシエ王妃が入場すると、会場は大きく騒めいた。
未だに一部の貴族の間では、悪女として名を馳せているトルシエ王妃に、これまでのイメージとは全く違う慈愛に満ちた表情のトルシエ王妃が、国王の傍らに立ったからだった。
汚名を灌ぐとは言っても、あの舞踏会での婚約破棄の場面しか知らない貴族も大勢いた。
顔の印象って大事だけど、それだけしか見ない人ってどうなんだろう。
「ピスカルソーダ国にとっては辛い事もあるだろうが、これからはドラニスタ―国の従属国としてではなく、統一国家となる事で、法も適宜改修していくことになる。
民が苦しむことのない国家を目指したいと思う、どうか協力してくれ」
国王からのお言葉に、一部の貴族からは拍手喝采だった。
一部の貴族、それは粛清をどうにか逃れた貴族たち、今回の婚姻を受け入れた令嬢の親たちだった。
「他の貴族は統一国家になって、自分たちが貴族のままいられるとは限らないって、戦々恐々としてんなぁ。
今まで貴族としての働きをしていれば問題無いけど、粛清対象では無かったけどそれなりに民を領民を虐げた貴族はおそろしいだろうなぁ」
国王の民の為と言う言葉を正しく理解している証拠でもあった。
「統一国家としての架け橋になってくれる者たちをここへ」
壇上の国王、王妃の元へパートナーをエスコトートした子息令息らが並び立った。
「ドラニスタ―国から優秀な若者が、ピスカルソーダ国の美人を娶るというめでたい事を成し遂げて貰った。
この国で幸せになって欲しい」
国王は美人と言う言葉を使った。
令嬢ではなく、どこの誰とも知れない美しい人を娶ると言った。
そして、どさくさに紛れて明日には僕らの婚約式をするとまで宣言されてしまった。
壇上の後ろの方で、関係者枠に僕もいたけど、誰も僕がザンダース家の末っ子だとは気づいていなかった。
「ねぇ、アス。
結婚式は身内だけがいいな」
「私だって面白くはない。
だが、この計画で全て決着がつくと思うと、結婚式は晴れやかになるだろうと思って了承したが、イルの気持ちが一番だからな、明日の式は中止でもいいよ」
そう言われると、令嬢たちが青くなる瞬間が見れないのもどうかと思った。
「いや、やる!」
僕だって、嫌がらせや虐めの暴力を受けて来たんだから、復讐する権利がこの体の持ち主にはある!
見返してやらないと気が済まなくなった。
何を腑抜けてたんだ、僕は!
どこか他人みたいに思ってたけど、実際この体で僕は生きて来たって本当は分ってた。
別な世界の記憶が増えただけで、本当は僕がされてた虐めだったんだ。
忘れたかった記憶、自分じゃないって思いたかった記憶だった。
「アス、僕を選んでくれて、見つけてくれてありがとう」
「いきなりどうしたんだ?
イルを見つけるなんて当たり前だろう」
前を向いたまま、二人だけが聞こえるくらいの声で、アスにお礼を言った。
「でも、あの時探しに来てくれなかったら、今ここには立ってないし、アスが好きだって事も気づかなかった」
「それは私もだよ。
私を好きになってくれてありがとう」
なんだか二人して、婚約式の予行練習をしているようだった。
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