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「旦那様、アイツをここから追いだして下さい」

 本当なら私がこの人と連れ添うはずだったのに、といつもジョスクは苛立っていた。
 公爵家からの要求を飲まなきゃいけないばかりに、あんなバケモノみたいな奴を娶るなんて、が常の言葉だったが、今夜はアイツを賊に仕立てた輩に連れ去ってもらい適当な崖から落とす言う計画を仕込んでいた。

「帰って来た早々、何だ?」

「もう、我慢がなりません。
 アイツがいるだけで、私が愛人と陰口をたたかれて、悔しいんです!」

 ザクロの私室でコートを受け取りながら感情に任せて言うと、少しだけため息を吐かれた。

「お前の事は可愛いから聞いてやりたいが、あの子はあれでも公爵の一番可愛がってる愛妾の息子だから、どうにも出来ん。
 それにちゃんと籍にはいっているからな」

「でもアイツが厄介者だからこっちに押し付けて来たんでしょ?」

「いや、あの子の親が虐待されてるのを止めさせたくて、公爵家から出してくれるように頼んだそうだ」

 虐待は分っていたけど、親が公爵に頼んだとなれば追い出すわけにはいかなかった。
 だが既に賊は動いている時刻で、ザクロの関心を向こうに向けないようにするために必死で理由を探した。

「ですが、あのような場所でもこの敷地内です。
 私が嫌なのです」

 俄かに、ザクロの表情が剣呑なものに変わったのが分かった。

「私生児と言えど、お前より立場は上だ、そう理解できないのだな?」

「私が本当は伴侶になるはずだったではありませんか!」

 そうだ、私が伴侶なら、あんな奴この家にあげる事も無かったんだ、と苦々しい思いを吐き出した。

「そうか、私が悪かったようだ」

「なら! 私が」
「今すぐ出て行って構わぬよ。
 お前にやった着物も宝石も持って行くがいい」

「旦那様! どう言う意味ですか!?」

 こちらをジロッと一目だけ見て、そのままの意味だ、と告げられた。

「小賢しく動くさまは可愛げがあったが、私の行く道まで手を取ろうとするな」

 酷い、酷い、こんなに尽くして来たのに、と声にならない叫びを上げて、今この瞬間を取り繕う事にジョスクは必死になった。

「ごめんなさい、ごめんなさい、旦那様に従いますから、堪忍してください」

 体を摺り寄せて、旦那様の情けを貰おうと必死にその股座に縋りついた。

「お願い、お願いですから」

「……、あの子の事は私が考えている。
 この意味が分かるな?」

「はい、分かっております」

 やっとジョスクの唇を唾む様にキスをしてくれた。

「あ、あ、ん…、んあ」

 しっかりした存在感を示し始めた旦那様のモノは、ジョスクの股間を擦りぬめりを帯びて肛門を挿した。

「あぁあ! んん。気持ちいい」

 突き上げられる抽送に、愛されてると言う安堵感を伴って、快楽を与えられる自分の存在にアイツより自分の方が上だと思っていた。

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