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しおりを挟む「テイト! あの悪い奴が来てザクロの赤子が出来たって!」
風の子たちが興味本位だけで面白そうにテイトに告げた。
「どう言う事?」
顔色を悪くしたテイトを見て、初めて様子がおかしい事に風の子らは気づいた。
自分たちが面白そうと思った事が、人の間にとっては致命的な内容だとは思ってもいないし、相手を苦しめるとか悲しませるなどと言った、思いやりの感情を持ち合わせていない、人と決定的に違う部分だった。
神と人の交われない感情だった。
「え、テイト、どうしたの?
何で泣いてるの?」
泣くと言う感情は理解できるのか、と今この場にトウカやザクロがいたら風の子らを睨みつけていただろう。
この状況を自分らが齎したとは理解出来ない風の子らがあたふたしてるうちに、テイトは出て行こうと荷物を纏め始めた。
「ちょっと前と同じことしてるじゃん」
呟くと、余計に泣き笑いの様になった。
「テイト、何で? どうして? まだ神事をやってないよ?」
「だって、ジョスクさんが妊娠して帰ってきたらな、僕はここに居ちゃいけないよ思うんだ。
子供の為にも、ちゃんと家族でいた方が良いと思うし、旦那様が嫌な思いをするのは嫌だから」
出会うのが遅かったんだ、とテイトは自分を納得させた。
「それに、僕は旦那様が幸せならそれが一番だし」
心からの笑顔だった。
「待って、ね、待ってて! 僕らがザクロを怒って来るから、それまで待ってて」
テイトは苦笑いをしながら、そのくらいの時間は待っていても良いかもしれない、もしかしたら、期待した部分もあった。
「テイト! 良かった、いてくれた!
ザクロ、凄く怒ってた! テイトを泣かせたって僕らが怒ったのに、それは勝手に話した僕らが悪いって、だからザクロからちゃんと話すから、いて欲しいって」
段々と声を小さくして風の子らがテイトにザクロから言われた事を告げると、すこしホッとしたような顔をしたテイトが風の子らを慰めた。
「僕ら、興味があったから、ただそれだけで、テイトとザクロの運命を変えようとしたわけじゃないんだ!
だから、でも、もしかしたら、僕ら罰が下されるかも! どうしよう、テイト!」
ザクロらしい𠮟り方をしたのだと、テイトは心中で笑った。
「それに、ザクロがヒニンはしてたって言ってた!
ヒニンってってなに?」
万物を越える力を持っていても、言葉をしらない子供の様だとつくづく思い、その説明を濁して終わらせた。
「わかった、ザクロに聞けばいいんだな」
「そうですね、そう言った本人に尋ねるのが一番でしょう」
苦笑いをしながら、ザクロがどんな反応をするのか想像して楽しくなっていた。
「テイト、笑った!
良かった、ザクロに怒られない」
余程きつく言われたのだとテイトも思い、ザクロと話が出来るまでは待つと決めたのだった。
郊外から更に田舎へと入った所に、住宅街がありそこの一角に小さな平屋があった。
「ここか、随分離れた所を探したものだ」
長屋と言った方が正解だろうと思えるほど、小さな平屋が四軒ほど並び、一番奥まった所にある平屋がジョスクにあてがわれた部屋だった。
引き戸をガラッと呼びかけ無しに開けると、中には随分とやつれたジョスクが立っていた。
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