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35 終話その1※
しおりを挟む神に嫁した神事の一月後、今度は人にその嫁を下賜すると言う神事が行われた。
当代の巫覡としてトウカがその神事を執り行い、神の代理人として嫁本人のテイトが一人二役状態で行った。
「神より戴きました嫁御様を、幾久しく我が伴侶として大切にいたします」
代理人である神輿から、神の嫁から人の嫁へとしてテイトが降りると、テイトを包んでいた薄い光の膜の様なものが消えて無くなったように思えた。
下賜の神事が完了した、と言う報せでもあった。
「テイト、私のテイト」
「ふふ、これで、旦那様は僕のものですね」
初めて見せるテイトの独占欲に、ザクロは嬉しくもあり絶対逆らう事が出来ない存在を作ったと、少しだけ青くなっていた。
「さぁ、テイト、婿殿、皆さまにお披露目を」
そう言うと屋敷の裏山に作られた神族の里の族長に、大きな赤い盃を渡されてなみなみと注がれたお酒を一気飲みさせられた。
神に嫁す神事が執り行われ、当代の巫覡となったトウカに、褒美と言う名の余計な仕事を与えられたために、生き残っていた神族がその力の素を目指して集まってきたら、テイトが住んでいた裏山にたどり着いたのだった。
そして、そのまま人里に居ては前族長の様に身を滅ぼしかねないと言う事で、この裏山に住まわせて欲しいとザクロに懇願した。
その結果、ほんのひと月で既に集落とか神事を行う舞台だの、神を祭る場所だのと出来上がっていた。
「ザクロ殿、前族長の事、今では本当に感謝している。
あの時、不思議とトウカ様の拉致に関わっていた者だけがこの世からいなくなった。
きっとシャリオ様のお力のお陰だ。
そして、その伴侶であるザクロ殿のお陰で、神族の里も出来上がった。
これからは、人の世界と結界を作って暮らすために、この場所を提供してくれて本当にありがとう」
「いやいや、提供はしてないですが、アンタらが勝手に住み着いたんじゃないですか。
できれば出て行っていただきたいくらいです」
酒を飲まされながら、ザクロが神族の現族長に辛辣な言葉で応戦していた。
「これも神のお導きですな」
がはははと豪快に笑う族長と、額に青筋を浮かべて苦笑いをするザクロと言う絵面が出来上がっていた。
「ちゃんと、皆にはシャリオ様があのテイト様とは気づかれておりませんから、ご安心を」
と、最後には軽い脅しも付いていた。
夜が更けても裏山は神曲が流れ、神族の誰かが舞を舞い、神の酒を飲み笑うと言う事が繰り広げられていた。
遠くに色んな人の笑い声が聞こえ、屋敷内の使用人達もその中に混じり、テイトとザクロの本当の婚姻を心からお祝いをしていた。
静まり返った屋敷が、ザクロの寝室が、灯の落とされたベッドの上で、テイトの息遣いとザクロの息遣いだけが響いていた。
「んん、あ、あん」
拙い喘ぎをテイトが響かせると、ザクロはその声にゾクゾクと感じた。
「テイト、本当はもっとゆっくり体を開いてやりたいが、俺が持ちそうもない。
叫んでも噛みついてもいい、お願いだ」
切羽詰まった顔で、テイトに懇願するザクロが可愛くて、痛くても平気、と促した。
「旦那様、大丈夫、だから」
「ザクロだ、ザクロと呼べ。
お前だけが呼んでいい名前だ」
誰一人ザクロ様とも、ザクロさんとも呼ばせていなかった。
ましてやザクロ、とは恐ろしくて誰も呼ぶなんてことは無かった。
当然、許されるはずも無かった。
「ザ、クロ、あぁぁ、ん」
「テイト、愛してる」
言葉で甘やかされてる隙に、解されていたアナルへとザクロのペニスが入って来た。
「う、ううっ、あ」
テイトは痛みで眉をしかめた。
「すまん、本当にすまん!」
「いいから! いれて!」
自棄ともいえるテイトの声に、ザクロは従う様にそのまま突き入れた。
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