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天界よいとこ一度はおいで
疑惑
しおりを挟む力天使はハルカと通じた事は不問になったが、イズラエルの拉致暴行未遂と、ウリエルの私室への無断侵入、ベッド等の不正利用を咎められた。
ただ、イズラエル自身が許してしまっていたため、ベッド等の不正利用だけを言及する形になった。
謹慎処分という事で落ち着いたが、あくまでも内密という条件がついた。
ハルカを泳がす為に。
そして、謹慎中に探るという使命も与えられた。
ハルカの素性を調べるために、手っ取り早いのはウリエルの審判の目を使う事だった。
普段は使わずとも、その言動や表情で真偽を見極めていたが、ハルカが来てからおかしい事に、反対の判断をしそうになっていた。
時折、ウリエルは自分を律してはいたが揺らいでいた。
顕著だったのは、イズラエルがまだ泉だった頃、判断を誤っていたと感じていた。
あれは、ハルカの言葉に惑わされていた。
なぜハルカのいう事だけを受け入れていたのか、今更ながらにその不気味さを感じていた。
力天使が言ったように、ハルカから受ける影響がおかし過ぎるとウリエルも考えてた。
力天使がまるで人の様に罪を犯し、嘲るなど堕天するようなものだった。
「堕天!
嫌な予想が外れてくれればいいが。」
実際に天使や人の姿をして、悪魔が入り込む事もある。
段々と、符丁が合う気がしてウリエルはハルカの諸々の言動を思い起こした。
少し冷静に考えれば分かるような虚偽に、振り回されて真実を見ないようになった事や、どうでもいいようなハルカの好きに腕を絡ませたままにしていたりと、ウリエルもまた堕天という破滅へ向かうところだったと気づいた。
ウリエルが天界のPCの様な物で、ハルカの調査データの検索をしても、そんな人物のデータは無かった。
ハルカの名前もこの3文字しか、誰も知らないのではないか?
疑惑けら確信に変わる頃、イズラエルの目が覚めたと連絡が入った。
頑ななイズラエルの誤解や、思い込みをどうにかとき解さなくてはと思いつつ、自分の事を好きだと言ってしまったのに気づいていないのを可愛らしく眺めていたいとも思っていた。
「イズラエル、おはよう
あれからまた、眠り続けて一昼夜経ってしまった。
お腹は空かないか?」
ラファエルが、爽やかな笑顔でこちらに向かってきた。
白い病室のベッドで目が覚めた俺は、盛大にやらかした事に気づいた。
子供の様に癇癪を起こして、泣き喚いて最後は寝ちゃうなんて!
恥ずかしい。
「あ、の、ごめんなさい!
すごく失礼な事を言いました。」
「イズくんが癇癪起こすなんてね。」
ラファエルがふふって笑った。
「私たちはみんな、イズくんが幸せになって欲しいと思ってるから、ね」
そう言って部屋を出ていくと入れ替わりに、ウリエルが入ってきた。
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