俺と俺の天使と俺の上司

ビーバー父さん

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天界よいとこ一度はおいで

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「イズラエル、目が覚めた様だな。」

「はい、おはようございます。」

「おはよう」

ウリエルをまともに見れなくて、変に目を泳がせてしまった。

「あ、あの、昨日は、あれ?
 えーっと一昨日?はすみませんでした。」

頭を下げてウリエルの反応を待ってみたが、何も返って来なかった。
 
そぅって顔を上げながら見ると、ウリエルが口に手を当てて、ニマニマした笑顔を必死で隠そうとしていた。

なに、それ!

「あー、イズラエル、
 私は、君が好きだ、愛しいと思っている。
 だから、きちんと謝罪と誤解を解きたくてな」

そこまで言ってから、ベッドに近づいて俺に対して膝をついて最大の礼をとった。

「イズラエル、私は愚かにも君を失いそうになるまで、ちゃんと気持ちを伝えなかった。
 それと、ハルカという者は私と何の関係もない。
 それなのに、近しい間柄の様な振る舞いを許していた。
 後で説明はするが、心から欲しいのはイズラエルだけだ。
 いや、和泉 泉と言う名で、私の部下だったお前が最初から好きだった。
 泉でも、イズラエルでも、その同じ魂を愛している
 受け入れてもらえないだろうか?」

「こんな、の、ズルいで、すよ」

いつも覚めた瞳で俺を見てるのに、今は同じ瞳がこんなにも熱を持って見つめてくれているなんて、断れるわけない。

「ズルいかな、私は
 負けない賭けに出たからね」



「負けない、賭けは、賭けではないのでは?」

無意識に小首を傾げていた。

「愛しているよ、イズラエル
 君が私を大っ嫌いでもね」

ウィンクされた!?
あの冷徹無比なウリエルがウィンク!!?

「……じゃ、ない、です」

「え、なに?」

「大っ嫌いじゃないです!!」

「うん、それで?」

「だから」

「うん」

いつの間にか、両手をウリエルに握られて、凄く優しい顔で見つめられているのが恥ずかしくて、顔を逸らした。

「す、きです」

「ありがとう」

多分、間違いなく、全身真っ赤だったと思う。
頭は痛いほど熱く、痺れた様に動けなくて下を向いたら、影が落ちてきて抱きしめられた。

初めて意識するウリエルの体温に、ものすごく緊張した。
いきなりキスをされた時は、自分に湧き上がる熱さを知るだけで、いっぱいいっぱいだった。

ベッドに腰掛けて、俺をしっかり抱きしめてくれて、耳や頬にキスをしながら、唇にもキスをしてくれた。

「ちゃんと、イズラエルにキスをしたかったよ。
 前は襲われたと聞いて、頭に血が上って一方的にしたから。
 赤ちゃんの時はミカエルに掻っ攫われてしまったし、結構、情けないな。」

なんか、嬉しい。
チョロすぎないか、俺。

「傷に障るな
 イズラエル、しっかり治しなさい。」

「あ、はい」

握ってくれていた手が離れるのが名残惜しくて、きゅっと握ってしまった。

「イズラエル、ちゃんと私とお前は恋人同士になったのだから、不安な顔をするな。
 ラファエルに聞いて、ここでなくてもいいなら、連れて帰るから待っていなさい、ね?」

「はい!」

いい返事だ、と頭を撫でて病室を出て行った。
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