獣神の配偶者~縁を結びし者~

ビーバー父さん

文字の大きさ
10 / 15

10目的

しおりを挟む


 カリオスの腕の中で目覚めることが、こんなに幸福だとは思わなかった。
 想像はしていた。
 本当はウィノニダ王と婚姻する前に、こういった事を勉強させられたから。
 愛する人と結ばれる行為だと本には書いてあっても、僕に勉強させた教師はこう言った。

『王の隣に立つ為とは言え、ほかのお勉強より房術を熱心になさるとは、本当に卑しくもいやらしい方だ』と。

 この容姿が歓迎されていないことは理解していたけど、ウィノニダ王が僕をこの環境から救い出してくれると信じていたから、懸命に努力した。
 周りがどんなに僕を蔑んでも、この時間が過ぎれば雌性王として、この国の役に立てば何かが変わるんじゃないかって、そう期待したんだ。

「目が覚めたか、おはよう」

「おはよう、カリュ」

 カリオスがチュッと僕の唇に口づけをしてくれた。

「初のう」
 
 朝っぱらから顔を赤くして、体に熱が走った。

「や、そんな」

「さて、出立の準備をしようぞ」

 カリオスはグッと伸びをすると僕を抱えて、浴室へと向かいそのまま一緒に湯に浸かることになった。
 少し、いや大分イタズラをされてしまったけど。

 身支度をすると、カリオスは僕の魔法カバンを肩に掛けると、盲目と言う振れ込みの僕の手を取った。
 僕の旦那様だけど、なんだか手を繋ぐのに照れてしまって躊躇っていたから、理由が出来てうれしかった。
 昨日は自分から手を繋いでいったのに。

「さて、其方の容姿はすでに以前のモノとは違うから、そうそう見破られはしないと思うが……、だが新たな魔力持ちという認識で連れて行こうとするかもしれんな」

 僕の魔力量も、あの戦いの時にチラッと認識されただけだろうし、大体容姿も変えて医術師としか魔力を使って無いんだから、探すなんて事するような気はしなかった。

「ふう、造作は変わっておらん。
 色味が変わっただけだろうが。
 それなら、シャリオ本人と思われても致し方あるまい」

「カリュ、色ってそうそう変えられないじゃないですか?
 なら、よく似た赤の他人って思いますよ」

 この時僕は、どこか楽観的に考えていた。
 カリオスは最初から警戒していたのに。



******



「お前が盲目の医術師だな?」

 いきなり腕を取られた。

「王よ、いました!
 こ奴が盲目の医術師です!」

 見えてるけど、数人の兵士の中に見知った顔があった。
 出て来た村で自警団にいた人だった。
 そして兵士は僕の腕をひねり上げた。

「痛!! 何をするんですか!?」

 油断した! カリオスが食料を調達すると言って離れていた時に!
 僕をベンチに座らせて、野宿をすることも考えて準備をすると、魔法カバンも持って行かれてしまっていた。

 魔法カバンがあれば目くらましに使えるような物も入っていたのに。

「王よ、こちらでよろしいですか?
 これで私たちの村を救ってくださいますよね?」

 村の自警団の人は、村を救うとか約束だの言っていたけど、ウィノニダ王は全く反応もしなかった。
 そして初めて見たけど、彼の隣には素晴らしく着飾った華奢な男性が立っていた。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

拗らせ問題児は癒しの君を独占したい

結衣可
BL
前世で限界社畜として心をすり減らした青年は、異世界の貧乏子爵家三男・セナとして転生する。王立貴族学院に奨学生として通う彼は、座学で首席の成績を持ちながらも、目立つことを徹底的に避けて生きていた。期待されることは、壊れる前触れだと知っているからだ。 一方、公爵家次男のアレクシスは、魔法も剣術も学年トップの才能を持ちながら、「何も期待されていない」立場に嫌気がさし、問題児として学院で浮いた存在になっていた。 補習課題のペアとして出会った二人。 セナはアレクシスを特別視せず、恐れも媚びも見せない。その静かな態度と、美しい瞳に、アレクシスは強く惹かれていく。放課後を共に過ごすうち、アレクシスはセナを守りたいと思い始める。 身分差と噂、そしてセナが隠す“癒やしの光魔法”。 期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。 これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。

婚約破棄?しませんよ、そんなもの

おしゃべりマドレーヌ
BL
王太子の卒業パーティーで、王太子・フェリクスと婚約をしていた、侯爵家のアンリは突然「婚約を破棄する」と言い渡される。どうやら真実の愛を見つけたらしいが、それにアンリは「しませんよ、そんなもの」と返す。 アンリと婚約破棄をしないほうが良い理由は山ほどある。 けれどアンリは段々と、そんなメリット・デメリットを考えるよりも、フェリクスが幸せになるほうが良いと考えるようになり…… 「………………それなら、こうしましょう。私が、第一王妃になって仕事をこなします。彼女には、第二王妃になって頂いて、貴方は彼女と暮らすのです」 それでフェリクスが幸せになるなら、それが良い。 <嚙み痕で愛を語るシリーズというシリーズで書いていきます/これはスピンオフのような話です>

処理中です...