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10目的
しおりを挟むカリオスの腕の中で目覚めることが、こんなに幸福だとは思わなかった。
想像はしていた。
本当はウィノニダ王と婚姻する前に、こういった事を勉強させられたから。
愛する人と結ばれる行為だと本には書いてあっても、僕に勉強させた教師はこう言った。
『王の隣に立つ為とは言え、ほかのお勉強より房術を熱心になさるとは、本当に卑しくもいやらしい方だ』と。
この容姿が歓迎されていないことは理解していたけど、ウィノニダ王が僕をこの環境から救い出してくれると信じていたから、懸命に努力した。
周りがどんなに僕を蔑んでも、この時間が過ぎれば雌性王として、この国の役に立てば何かが変わるんじゃないかって、そう期待したんだ。
「目が覚めたか、おはよう」
「おはよう、カリュ」
カリオスがチュッと僕の唇に口づけをしてくれた。
「初のう」
朝っぱらから顔を赤くして、体に熱が走った。
「や、そんな」
「さて、出立の準備をしようぞ」
カリオスはグッと伸びをすると僕を抱えて、浴室へと向かいそのまま一緒に湯に浸かることになった。
少し、いや大分イタズラをされてしまったけど。
身支度をすると、カリオスは僕の魔法カバンを肩に掛けると、盲目と言う振れ込みの僕の手を取った。
僕の旦那様だけど、なんだか手を繋ぐのに照れてしまって躊躇っていたから、理由が出来てうれしかった。
昨日は自分から手を繋いでいったのに。
「さて、其方の容姿はすでに以前のモノとは違うから、そうそう見破られはしないと思うが……、だが新たな魔力持ちという認識で連れて行こうとするかもしれんな」
僕の魔力量も、あの戦いの時にチラッと認識されただけだろうし、大体容姿も変えて医術師としか魔力を使って無いんだから、探すなんて事するような気はしなかった。
「ふう、造作は変わっておらん。
色味が変わっただけだろうが。
それなら、シャリオ本人と思われても致し方あるまい」
「カリュ、色ってそうそう変えられないじゃないですか?
なら、よく似た赤の他人って思いますよ」
この時僕は、どこか楽観的に考えていた。
カリオスは最初から警戒していたのに。
******
「お前が盲目の医術師だな?」
いきなり腕を取られた。
「王よ、いました!
こ奴が盲目の医術師です!」
見えてるけど、数人の兵士の中に見知った顔があった。
出て来た村で自警団にいた人だった。
そして兵士は僕の腕をひねり上げた。
「痛!! 何をするんですか!?」
油断した! カリオスが食料を調達すると言って離れていた時に!
僕をベンチに座らせて、野宿をすることも考えて準備をすると、魔法カバンも持って行かれてしまっていた。
魔法カバンがあれば目くらましに使えるような物も入っていたのに。
「王よ、こちらでよろしいですか?
これで私たちの村を救ってくださいますよね?」
村の自警団の人は、村を救うとか約束だの言っていたけど、ウィノニダ王は全く反応もしなかった。
そして初めて見たけど、彼の隣には素晴らしく着飾った華奢な男性が立っていた。
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