子豚のワルツ

ビーバー父さん

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約束の

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シャズさんが僕にスキルの話をした。

聞こえるようになったのはスキルが発動したのではないかと。

「僕、スキルがあるんですね。
 だから?
 でも、ファングの声は聞こえないですよ?」

「んんん、それは、ん
 えー、ゴホン、まあ、その、そこはトルクと話してくれるといいかな。
 咲季ちゃんは、しっかりトルクと話す事、これが今一番大事な事だよ。
 わかった?」

「う、ハイ」

「いい子だ。
 いきなり動いて疲れただろ?
 部屋で、少し休みなさい。」

ファングに支えられながら、部屋へ戻ると、やっぱり結構疲れたんだ。

ベッドへ腰掛けて、転がるとすぐに睡魔が訪れた。



夢を見たていた。

色々な場面がドラマのダイジェスト版みたいに流れる。
僕がいる事もあれば、いない事もあった。



咲季、これが君のこの世界での記憶だ。
やっと目覚めたと思ったら色々拒否ってるから、私も困り果ててたよ。

でも、さすが咲季だ。
悩んで悩んで一周回って優しくなっちゃうんだよな。

神の祝福をあんな使い方して、次は無いからね?
神の沽券に関わってたくらいなんだから。

えっと、だって、どんな使い方したか分かってないし、それに今だってまだ曖昧な感じだし。

それはちゃんと咲季がトルクや他の人と向き合って判断するべきことだからだよ。
嫌なら私の所へおいで。
神の末席に加えてあげるから。

でも、そうじゃないならちゃんと向き合って。

その目も!!瞼を閉じたままだから見えないんだよ。
ちゃんと本質を見て、自分で決めなさい!

誰の言葉を信じるの?
誰を信じたいのか、考えてね。

神様、待って!

なに?

あの、赤ちゃんが出来て、その、神様が名前を考えてくれませんか?

え?赤ちゃんできたの?

はい。

咲季、もう答え出てるじゃん。
そんな笑顔が出来るんなら心配いらないかな。
子供が生まれたら、ギフトを持って行くよ。

ありがとうございます。









「神様、ありがとうございます」

目覚めたら知らない天井だった。
そして横には獣化したトルクがいた。

「トルク様?」

「咲季?どうした?」

「ファングなんて名付けてすみませんでした」

「いや、え?
 え???えぇ?」

「神様に凄く、怒られました」

「咲季、見えてるのか?
 それに、私に笑ってくれるのか?
 私が分かるのか?」

「はい、トルク様
 そんなに泣かないでください
 素敵な顔が台無しですよ」

疲れ切った顔をしていた。
ダイジェスト版で観た記憶だったけど、それでもかなり酷かった。
でもね神様の言う通り、誰の言葉を聞いて誰の言葉を信じるのか、決めるのは僕の心なんだ。

「トルク様、僕はまだ好きでいてもいいですか?
 このお腹の子は、貴方をお父様と呼んでも良いのでしょうか?」

僕をまだ選んでくれるんだろうか?
この子を愛してくれるんだろうか?

「咲季、愛してる。
 こんなに可愛い子は他にいない」

「ね、仲直りの約束おぼえてます?」

「ごめんねってしたらキスをするんだ」

トルクは僕にキスをしてくれた。
大好きと愛してるとごめんねを飲み込んだキスをした。
そして、ぎゅうっと抱きしめたら、雄たけびを上げた。

「うおおおおおおおおおおお!!!!!」

響き渡る雄たけびに、お父様やお兄様、ワイスや使用人、そして可哀相な弟たちが部屋に駆けつけて、僕とトルクを見てみんなが、雄たけびを上げて泣き出した。

可愛そうな弟たちは口々に、ごめんなさい、ごめんなさいと言って縋って来るし、お兄様たちまで、すまなかったと頭を下げて男泣きするし、お父様は豪快な笑いと共に豪快な鼻水を垂らして号泣するしで、ちょっとカオスでした。
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