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隣国ドラニスターへ行こう!
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本当に宣言通り翌日にはビランコ家総員で、大移動が始まったよ。
しかも目覚めはアス様の腕の中、いや、馬車の中でアス様の膝の上だった。
解せぬ。
昨日は馬車でそのままビランコ家に連れて来られて、現宰相のビランコ公爵様にご挨拶をして、公爵夫人にもご挨拶をする時には着せ替え人形と化していた。
何でかって言うと、アス様は僕を好きってなった時には素性を調べ上げていて、スリーサイズまで把握していたそうだ。
そして必ず結婚すると言う強い意志の元、公爵家では既に僕と言う存在が承認されていたって事だった。
変にぎこちないのも嫌だけど、こんなにウェルカムなのもどうかと思う。
だって男だよ?
「諦めなさい、この家ではこうだから」
トルシエ嬢が僕の隣に立ってそう言った。
あー、我儘なんかじゃなく、この突っ走った思考の家族だから、こんな風になったのか。
そりゃ、そうなるな。
「トルシエ嬢は、気持ち悪いとか無いのですか?」
「そうね、人はそれぞれ好きな物や嫌いな物があるのだから、当然、理解されない事もあるじゃない。
でもそれがその人にとって最良なら、それで良いと思うわ。
家族なら、余程の事が無い限り、応援もするし祝福だってするわ。
それに、この国が理解されないのであって、他国では多種多様なのだから」
一番まともだ。
「アス様はちょっと、だいぶ」
「えぇ、残念なお兄様よ。
物凄く頭の回転が速すぎるほど賢いのに、とても残念な人なのよ。
私には到底理解できないけど、望むのはあの人の幸せですもの」
「ナントカと天才は紙一重ですからねぇ」
そう呟くと、その通りね、と言って高らかに笑った。
「私は隣国の国王の元へ嫁ぐけど、決して政略的な何かではないわ。
だって彼、物凄く一生懸命私にどれ程大事か、どれ程好きか、そしてどれ程眠れない夜を過ごしてるか話してくれたもの」
聞いた話だと、隣国の国王はトルシエ嬢より十歳ほど年上で、既に三十歳を迎えているそうだ。
どちらかと言えば、武骨でヒグマのような人だと言う事だった。
「トルシエ嬢は彼の方をお好きなんですね」
「え、えぇ、そうよ。
大好きよ」
少し照れながらきっぱりと告げたその姿に、カッコいいなと思った。
たった一晩なのが悔やまれるほど、豪華なお屋敷の豪華な客室、豪華な食事を堪能して眠りについた。
「あの、なんで僕は馬車の中にいるんでしょう?」
「イルが寝ていたから、起こさないように連れて来たんだよ」
「アーソウデスカ」
その気遣いの前に違う気づかいが必要だろうよ。
「それと、昨晩のうちにザンダース家の承諾を得ておいたから、安心してね」
「え、あ、承諾って?」
昨日、手紙は出したって言ってた気がする。
「ビランコ家が全てイリエラの保護責任の権利を寄こすように、ってね」
にっこり笑ってるけど、家にはかなりの圧力かけたよね?
「それって僕が隣国へ一緒に移住するって事にも関係あるよね?」
「よく分かったね。
この国から籍を抜いて隣国へ持って行くから手続きを急がなきゃいけなかったんだよ」
僕の世界で言うところの委任状みたいなもの?
「ドラニスターでは王宮に滞在することになるから、身分証明を最優先で取得したかったんだ」
僕だけ、別宅みたいにしてくれても良かったんだけど。
思考が顔に出ていたのか、急にダメだから、と言われた。
「僕はまだ他人じゃないですか、それなのに王宮へ滞在はちょっと」
「トルシエが嫁ぐまでだ。
その準備もあるし、ドラニスターでの屋敷の手配もあって、それまでの仮住まいだから、絶対イルは私と一緒にいないとダメなんだ」
舞踏会での最初の出会いはあんなに冷たくて腹黒っぽかったのに、なんでこんな変な人になってるだろう。
見てくれはすっごい美形なのに、残念過ぎる。
「隣国へ着いたら、僕も知り合いとかどうしていいか分かりませんから、それはそれで助かりますけど、王宮はねぇ」
二人っきりの馬車の中でこの会話は、ただのイチャイチャでしかないような気がして来た。
結構馴染んでる自分に、再度驚いた。
しかも目覚めはアス様の腕の中、いや、馬車の中でアス様の膝の上だった。
解せぬ。
昨日は馬車でそのままビランコ家に連れて来られて、現宰相のビランコ公爵様にご挨拶をして、公爵夫人にもご挨拶をする時には着せ替え人形と化していた。
何でかって言うと、アス様は僕を好きってなった時には素性を調べ上げていて、スリーサイズまで把握していたそうだ。
そして必ず結婚すると言う強い意志の元、公爵家では既に僕と言う存在が承認されていたって事だった。
変にぎこちないのも嫌だけど、こんなにウェルカムなのもどうかと思う。
だって男だよ?
「諦めなさい、この家ではこうだから」
トルシエ嬢が僕の隣に立ってそう言った。
あー、我儘なんかじゃなく、この突っ走った思考の家族だから、こんな風になったのか。
そりゃ、そうなるな。
「トルシエ嬢は、気持ち悪いとか無いのですか?」
「そうね、人はそれぞれ好きな物や嫌いな物があるのだから、当然、理解されない事もあるじゃない。
でもそれがその人にとって最良なら、それで良いと思うわ。
家族なら、余程の事が無い限り、応援もするし祝福だってするわ。
それに、この国が理解されないのであって、他国では多種多様なのだから」
一番まともだ。
「アス様はちょっと、だいぶ」
「えぇ、残念なお兄様よ。
物凄く頭の回転が速すぎるほど賢いのに、とても残念な人なのよ。
私には到底理解できないけど、望むのはあの人の幸せですもの」
「ナントカと天才は紙一重ですからねぇ」
そう呟くと、その通りね、と言って高らかに笑った。
「私は隣国の国王の元へ嫁ぐけど、決して政略的な何かではないわ。
だって彼、物凄く一生懸命私にどれ程大事か、どれ程好きか、そしてどれ程眠れない夜を過ごしてるか話してくれたもの」
聞いた話だと、隣国の国王はトルシエ嬢より十歳ほど年上で、既に三十歳を迎えているそうだ。
どちらかと言えば、武骨でヒグマのような人だと言う事だった。
「トルシエ嬢は彼の方をお好きなんですね」
「え、えぇ、そうよ。
大好きよ」
少し照れながらきっぱりと告げたその姿に、カッコいいなと思った。
たった一晩なのが悔やまれるほど、豪華なお屋敷の豪華な客室、豪華な食事を堪能して眠りについた。
「あの、なんで僕は馬車の中にいるんでしょう?」
「イルが寝ていたから、起こさないように連れて来たんだよ」
「アーソウデスカ」
その気遣いの前に違う気づかいが必要だろうよ。
「それと、昨晩のうちにザンダース家の承諾を得ておいたから、安心してね」
「え、あ、承諾って?」
昨日、手紙は出したって言ってた気がする。
「ビランコ家が全てイリエラの保護責任の権利を寄こすように、ってね」
にっこり笑ってるけど、家にはかなりの圧力かけたよね?
「それって僕が隣国へ一緒に移住するって事にも関係あるよね?」
「よく分かったね。
この国から籍を抜いて隣国へ持って行くから手続きを急がなきゃいけなかったんだよ」
僕の世界で言うところの委任状みたいなもの?
「ドラニスターでは王宮に滞在することになるから、身分証明を最優先で取得したかったんだ」
僕だけ、別宅みたいにしてくれても良かったんだけど。
思考が顔に出ていたのか、急にダメだから、と言われた。
「僕はまだ他人じゃないですか、それなのに王宮へ滞在はちょっと」
「トルシエが嫁ぐまでだ。
その準備もあるし、ドラニスターでの屋敷の手配もあって、それまでの仮住まいだから、絶対イルは私と一緒にいないとダメなんだ」
舞踏会での最初の出会いはあんなに冷たくて腹黒っぽかったのに、なんでこんな変な人になってるだろう。
見てくれはすっごい美形なのに、残念過ぎる。
「隣国へ着いたら、僕も知り合いとかどうしていいか分かりませんから、それはそれで助かりますけど、王宮はねぇ」
二人っきりの馬車の中でこの会話は、ただのイチャイチャでしかないような気がして来た。
結構馴染んでる自分に、再度驚いた。
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