【完結】悪役令嬢のお兄様と付き合います。【続編あります】

ビーバー父さん

文字の大きさ
4 / 24

ドラニスター王

しおりを挟む
 

 肥沃な大地を持つドラニスターは、野性味あふれる風貌が特徴の人が多い国で耳の形が違えば、獣人の国と言われていたかもしれない国だった。



 王宮をウロウロしながら待つ王の元へ、王妃になるべくトルシエ・ビランコ公爵令嬢の到着が知らされると、一目散に出迎えの間へ走り出したヒグマがいた。
 王宮内のごく一部の者だけが知ってる真実で、ドラニスターの王はその姿をヒグマに変えることが出来た。

「うぉおお! トルシエ嬢が到着したのだな?!」

 駆けるヒグマに並列して走る宰相である狼が、その首へ噛みついて走るのを止めさせた。

「陛下! その姿ではなりませぬ! 王妃様はその姿を知りません! 一生秘密にしなくては!」

 そう言われて出迎えの間に辿り着く一歩手前で、辛うじて人の姿に戻ることが出来た。

「いい加減に落ち着きなさい! 王妃は私たちドラニスター国の秘密を知りません。
 決して、漏洩する事の無いようにお願いしますよ?」

 狼から人の姿に戻りつつ、しっかりと小言を言って王の衣服の乱れを整えた。

「だが、子が出来れば分かってしまう事だ。
 それならちゃんと」
「では話した結果、この婚姻が結ばれなかった場合どうなるとお考えですか?
 獣が国を治めている、そんな事を許さない人族も大勢います」

「それは、そうだが」

「大体、今迄国内の諸侯から王妃を選出しておりましたのに、何故、陛下は他国の公爵令嬢を……」

 神経質にイライラしながら、小言が説教へと変わって行った。

「ビランコ公爵家は、この国へ移住されるのだ。
 おいそれと出来る判断では無いだろう。
 しかも公爵家と言う立場に宰相と言う立場を捨て、一番下の息子に王位を取らせる気でいると聞き及んでいる。
 そんな一家が獣人と言う事くらいで」
「甘すぎます! どんなにいい人でも、我ら獣人と人では大きな隔たりがあるんです。
 それを一番良く知ってるじゃないですか!」
 
「そうだ、だが、努力をしたい。
 トルシエは私に自由に選択すべきだと教えてくれたのだ」

「ふー、分かりました。
 王妃様が驚かない事を切に願っていますよ」

 宰相は受け入れてもらえなかったときは、ビランコ家全員使用人に至るまで裏の庭に埋めてしまえばいい、そう考えていた。




「トルシエ、ここがこれからお前がすむ王宮なのだな」

「うむ、トルシエ嬢を幸せにします。
この国にも、私の傍らにも彼女が必要なんです」

 切実な表情で、一国の王が公爵夫妻に頭を下げた。

「お父様、私も初めて訪れた国です。
 まだ何がどうなるのか分かっておりません。
 ただ、ドラニスター王に求められた、それが幸せだと思っております」

 しっかりとしたトルシエ嬢の言葉に感動で涙を流す面々に、本当なら感動的な場面のはずなのに思考が突き抜けた家族は、トルシエの子供のころのエピソードなんかを語り始めていた。

「おやめください! お父様!
 お母様も止めてください!」

「いやまて、私は聞きたいぞ。
 それに兄上様とそちらは婚約者殿ですね、末永くよろしくお願いいたします」

 僕を見て、婚約者だと言い切ったと言う事は、アス様は婚約者だと言ってあるってことだ。

「いずれ近いうちには婚約式をするので、ぜひ出席してほしい」

 僕を無視して約束を取り付けてる当たり、さすが宰相になる男ですわ。
 大分面白くない僕は、アス様から一歩離れて立った。

 


しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

最強βの俺が偽装Ωになったら、フェロモン無効なのに狂犬王子に求愛されました~前世武道家なので物理で分からせます~

水凪しおん
BL
前世は日本の武道家、今世は平民β(ベータ)のルッツ。 「Ωだって強い」ことを証明するため、性別を偽り「Ω」として騎士団へ入団した彼は、その卓越した身体能力と前世の武術で周囲を圧倒する。 しかし、その強さと堂々とした態度が仇となり、最強のα(アルファ)である第一王子・イグニスの目に止まってしまった! 「お前こそ俺の運命の番だ」 βだからフェロモンなんて効かないのに、なぜかイグニスの熱烈な求愛(物理)攻撃を受ける日々に突入!? 勘違いから始まる、武闘派β×最強王子のドタバタ王宮BLファンタジー!

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

残念でした。悪役令嬢です【BL】

渡辺 佐倉
BL
転生ものBL この世界には前世の記憶を持った人間がたまにいる。 主人公の蒼士もその一人だ。 日々愛を囁いてくる男も同じ前世の記憶があるらしい。 だけど……。 同じ記憶があると言っても蒼士の前世は悪役令嬢だった。 エブリスタにも同じ内容で掲載中です。

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

婚約破棄された悪役令息は隣国の王子に持ち帰りされる

kouta
BL
婚約破棄された直後に前世の記憶を思い出したノア。 かつて遊んだことがある乙女ゲームの世界に転生したと察した彼は「あ、そういえば俺この後逆上して主人公に斬りかかった挙句にボコされて処刑されるんだったわ」と自分の運命を思い出す。 そしてメンタルがアラフォーとなった彼には最早婚約者は顔が良いだけの二股クズにしか見えず、あっさりと婚約破棄を快諾する。 「まぁ言うてこの年で婚約破棄されたとなると独身確定か……いっそのこと出家して、転生者らしくギルドなんか登録しちゃって俺TUEEE!でもやってみっか!」とポジティブに自分の身の振り方を考えていたノアだったが、それまでまるで接点のなかったキラキライケメンがグイグイ攻めてきて……「あれ? もしかして俺口説かれてます?」 おまけに婚約破棄したはずの二股男もなんかやたらと絡んでくるんですが……俺の冒険者ライフはいつ始まるんですか??(※始まりません)

処理中です...