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獣人のことと突き抜けた思考
しおりを挟む夜遅く、と言うほどでもないけど、二十時くらいにドラニスター王を伴ってトルシエ嬢がビランコ家の家族全員を、応接室に集めた。
僕はまだ家族じゃないです、というひねくれた事は言わなかったけど、居ていいのかちょっとソワソワする感じがした。
「このような時間に訪問してしまい申し訳ありません」
ドラニスター王が謝罪をすると、トルシエ嬢が今が最善だったからと付け加えた。
そして、どこか不満げな宰相も訪れた。
「何があったんだい?」
「お父様、実は」
「いや、私の口からちゃんと話そう」
ドラニスター王はトルシエ嬢が話そうとした言葉を遮って、獣人である事を話し始めた。
「凄いじゃない!」
案の定やたら喜んだのは公爵夫人だった。
「王族の血が入ると皆、獣化すると言う訳ではないのか……。
それに今聞いた限りでは、同じ種類、失敬、この場合種族か?」
「構いませんよ。
実はどんな獣に変化するか分かっていないのです。
ですが、系譜に王族、つまりドラニスター国の初代王の血が入った者は、体の一部だったり私や宰相の様に全部が変化する者と様々です。
それ故、その獣の身体的特徴で私の様に力が強い者だったり、宰相の様に嗅覚や素早さだったりと身体能力に優れた者がいるのです。
この国はほぼ人です。
ですか初代王の物語があるおかげで、先祖返りだと言う事で国民には獣人がいる、と言う事が浸透しています。
ですが、諸侯の中には私生児もおり、精神面が落ち着き、自分でコントロールできるまでは家族も含めて全員を保護下に置きます。
ただ、中には反発する者や、その能力を使って犯罪を犯す者もいます。
ですが他国へこの情報が漏れることはありません。
この国を出たとたん、初代王の魔法により獣化関係の記憶と共に失われてしまうのです。
ですが再びこの国へ入れば、その事を思い出すようです」
便利と言うのか厄介と言うのか……。
「で、陛下。
私たちビランコ家に求めるのものは何でしょうか?
忠誠ですか?それとも」
「忠誠なんて必要ない。
私が貴方達に信用出来ると思われることが希望です」
「お父様、お兄様、お母様、そしてイル兄様、この事は」
「もちろん余計な詮索も漏洩もしないと誓うよ」
公爵様は即答し、アス様はその身体能力がどのくらいか見たいと言い始めた。
国防としての戦力になるのか、そんな事を考えての事らしい。
「いっそ、伝説と言うか英雄の物語として、商品作って売り出しちゃえばどうです?
国益にもなるし、獣人が生まれたって目立たなくなるんじゃないですか?
木を隠すには森の中って言うくらいですし」
着ぐるみとかあったら、むしろ目立たなくなるんじゃないかな?
それにケモミミつけたりしたら、可愛いしカッコいいのとかコスプレ出来るじゃん!
着物着て舞妓さんになるとか、あんな感じで観光の記念的なのもいけるんじゃね?
それこそ一番好きなコスプレが出来るってのが目的だけど。
頭の中は妄想でいっぱいになっていたら、皆の視線を感じた。
「さすがビランコ家の人は違いますね」
「え? どういう意味です?」
宰相が僕の適当なアイデアを受けて、具体的な話を進めたいとこっちはこっちで言い始めた。
「ふ、ふふふ、ね、陛下。
うちの家族はみんな、突き抜けた思考回路でございましょ?」
「ああ、何とも、頼もしい限りだ。
御父上様、このドラニスター国の公爵として叙爵を受けてはくれまいか?
そしてサイアス殿、うちの宰相の補佐をしてもらえないだろうか?」
ドラニスター王は豪快に笑ってそう言った。
「陛下、こちらのイリエラ殿は、外交をお願いしたいのですが」
宰相までがなんか言い始めたよ。
僕はコスプレが出来ればそれでいいんだけどね。
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