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気持ちの整理
しおりを挟むそう、僕は貪欲に生きてやるって決めたんだ。
今の所、王宮へ帰るしかないから、町の中を色々見て回って物件とか借りるにはどのくらいかかるのかとか、リサーチをたくさんした。
段々、周りも目が慣れて来たのか、気軽に話しかけてくれるようになったのが、一番嬉しかった。
「シーナちゃん、また会える?」
小学生くらいの子供は尻尾な衣装に興味津々で、僕の行く所について回るから自然と町の人とも話が出来た。
「うん、また来るよ!
今度は、そうだなぁ、ウサギさんになっちゃおうかな」
女の子たちはきゃっきゃと喜び、男の子達は王様と同じ虎が良いと言ってお願いをされてしまった。
「ん~、じゃぁ、ウサギさんはその次にして、今度来る時はカッコいい虎さんになって来るね」
やったー! と飛び上がる男の子たちにブーイングを送る女の子たち、という構図が出来上がった。
周りにいた大人たちも、僕がどうやってカッコいい虎になるか気になるようだった。
今とは真逆だからね。
夕暮れが迫って来て、子供達も屋台の人達も家路へと帰り始めたので、僕も王宮を目指して歩き始めた。
「結構王宮から来ちゃってたんだな。
方向的には合ってるけど、その途中は貴族街かぁ。
まぁ仕方ない、急がなきゃ」
平民が貴族街を通る事をあまり良しとしてない人もいて、面倒な事にならなきゃいいなぁと思っていた。
よーっく考えたら一応貴族だったんだから、それなりに堂々としてれば良いんだけど、中身は僕だから平民も平民貴族階級なんて生活したことも無い庶民だから。
それにザンダース子爵なんて吹けば飛んで、しっかり飛んじゃった家門だし。
粛清はされなかったけど、それなりに処罰はあったらしい。
僕はもう籍が抜けちゃってるから、何でもないんだけど。
そんな事を考えながら歩いていると、どこかの貴族の馬車が物凄いスピードで走って来た。
貴族街とは言え、道としては町中に比べると広くて馬車が通る道として整備されてるけど、スピード出しすぎだろ!
端に避けて、馬車が通り過ぎるのを待った。
この時、自分の視力の良さを恨んだことは無かった。
馬車には、サイアス小公爵様と、部屋にいた見知らぬ青年だった。
「ちぇっ、何だよこれ」
心どこかで願ってた。
僕を探しに来てくれるんじゃないかって。
でも違ってた。
他の誰かといて、こんな時間から他の人と馬車に乗ってどこかへ行ってしまった。
「口ではもういいって、どうでもいいやって言いながら、都合よく期待してたんだ、ばかだなぁ」
今まで貰ってた愛情表現がずっと僕だけの物だと思ってた。
あの日キスをして、心が持って行かれたのに。
「くっそー! 恋愛初心者はかけ引きなんてテクニックは無いし、好きだって言われたら思い込んじゃうんだよ!!
ばかー!!」
これで本当に吹っ切れた。
こんな思いをトルシエ王妃がしてたのかと思うと、なんだか涙が出て来たよ。
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