ヘビ女王の異世界建国記 ~子育てしながら魔王を目指すぞう! アレ!?~

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第一章・生きるため

第9話 神滅の月十七日・新しい命の誕生 ①

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「女王様! 目を覚ましてください!」

 アレ! 女王……さま? 我のことなの? 確か、水に囲まれる小さな島に泊まったはず……

 緩めて目を開き、前に白い神官服を着て、長く尖った耳をしている女性が我を呼び掛けていた。

 エルフ!? イヤ、その茶褐色の肌! ダークエルフなの!?

 ここは…… 広い間よね。壁際に沿って並べられている台の上に、様々な装飾品が置かれている。両側に金色の糸で刺繍したカーテンが掛かっている。足の下が血のように真っ赤なカーペット。

 足……? この感覚は足だよ! 腰の下に生えているヘビのしっぽが二本の足に変わった!

 そして、頭が重い。何をかぶっているようだ。

 何々? 金色ピカピカで、ここはヘビの首みたいルビーの飾りもある……

 へいいい!!! これ、王の冠じゃないか!!! 

「やっと目を覚めたか? まったく、会議中に居眠りするなんて、お母さんは女王としての自覚がないか! そして、何度も言ったよね! 王冠はお母さんの玩具じゃない!」

 前には数段だけの階段。その下に十数人が二列で並んでいる。我を叱った人は左側の一番に立っている。紺色のスーツを着る男性だ。琥珀色なキラキラした髪。掛けているメガネが光っているため、目が全然見えなかった。そして、背中にコウモリの翼が生えている。

 何よ! この生意気の無表情メガネ男! アレ…… さっき、彼が我を「お母さん」と呼んだよね…… 

 なにいいい!!! 待て待て待て! なんでいきなりにこんな大きな息子が現れたの? そして、ちっとも可愛くないよ!!

「兄上! 母上が疲れたため、少し居眠りでござるよ。そんなに厳しい叱る必要がないでござる!」

 メガネ男と論争していたのは、右に二番目の女性だ。見たことのないピンク色な服を着て、黒曜石のようなツルツル長い髪の古風美人だ。そして、頭の上に二本の角が生えている。背中は…… 赤いドラゴンみたいな翼だ。一番重要なのは、彼女の顔は…… 亡くなった『セツナさん』とそっくりした!

 一体何のことなの? あれが竜人族なの? 何故顔がセツナさんと見分けがつかないか!?

「お兄様! お姉様の言う通りですよ! お母様は偉大なる美しい存在ですよ! お母様を叱ることは大罪ですよ! 謝罪しないと、例えお兄様のことも許しませんわ!」

 これは! 夕月夏凛ユウヅキカリンの声だ! メガネ男の後ろに、我と同じルビーのような赤みがかった髪を伸ばしている女の子がいる。彼女は赤い服とスカートを着て、黒いマントを纏っている。そして、思った通りに夏凛さんの顔とそっくりだ。

 でもよ! 夏凛さんはこんな性格の子なの? まるで別人のようだ。

 三人の論争はまた続いている。彼らと初めて会ったのに、とても親近感を覚える。本当に不思議よね。

 セツナさんとそっくり娘の前に、ある男がずっと笑って我を見る。シルバーグレーの乱れ髪。戦士みたいな服を着ている野性的な男だ。そして、彼の後ろにしっぽを振られていた。嬉しいている……かな?

 後ろにまだ十数人がいるし、距離が遠いかも、彼らの顔があまり見えなかった。

「ウフフ!」

 この子たちを見て、無意識に笑って来る。その後は何もわからない。

 …………

「つめ!」

 再び目を覚めた時、我が苔の上に横になっている。天井の水が顔に落ちた。

 さっきのは…… 夢なの? そんなにリアリティのある夢は初めてだった。そして、子供なの?

 あの三人は…… 二人の娘は夏凛さんとセツナさんに違いない。しかし、どうして穏やかな夏凛さんがあんなの腹黒いマザコン娘になったのよ! セツナさんなら、確かあの日本とそっくり東の国『ヤエハナ』にふさわしい雰囲気だよね。

 こう考えれば…… あのコウモリ翼が生えている無表情メガネ男は…… クラウスさんなの!!!

 う、嘘よね。なぜ優しいクラウスさんがあんなのメガネ男になったのよ!!?

 最後は、あの野性的な男はどうしても思い出せない。魂喰いで光の玉になった人は、確かあの三人しかないよね。

 それは、どうすんの? いくらあんなリアリティのある夢を見ても、いきなり子供を作るなんて……

「探してみよう!命の真諦を!」

 クラウスさんの遺言が脳の中に響いていた。

『命の真諦』よね。命を尊重することがわかるけど。それ以外には…… やはり、命を孕まないと、それを理解できないの…… か? そして、あの三人ともう一度会いたいよ。今度は必ず、彼らを守ってくれる!

 決まり! 我は子供を作ろう! 『命の真諦』を探す! そして、これも彼らとの約束よ!!

「サポートシステム。繁殖の発動お願い!」

【かしこまりました。繁殖はマスター体内に蓄える魔力を使用します。今の魔力量は430000。一人の後代を繁殖するため、100000の魔力を消費します。今は最大4人の後代を繁殖できます】

「なら、三人を……」

 突然、あの野性的な男の笑い顔を思い出した。彼も、我の子供なのか!! その笑顔は…… もう一度みたいね!

「四人をお願い!!」

【かしこまりました。これでは、マスターの400000魔力を消費します。四人の後代を繁殖します。柔らかい場所で打ち伏せてください】

 柔い場所よね、なら苔の上にはちょうどいいよ!

「準備完了! お願い!!」

【繁殖起動します!ご無事にお祈りします!】

 魔力を感じる! 全身の魔力がお腹に集中している! この感覚、とても暖かい。

 何よ! わざわざ無事を祈りなんて、意味ある? このままじゃ、簡単に子供を産むよね! やはり、ラミアーとしての我が特別だよ!

 …………
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