その瞳の先

sherry

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式当日、俺はもう着ることは無いと思っていた制服に袖を遠し学園へと向かった。
学園についた俺を煌夜が出迎えてくれたが、一旦教室に帰るため分かれ、俺はそのまま職員室に向かい、卒業証書をもらって、あいさつをした。その後先生から式典中に居る場所や終わってからの流れなどを説明され、俺は皆より一足先に会場となる講堂へと足を踏み入れた。

用意された席に着くと、保護者たちがちらほら入ってくるところだった。中には在校生も何名かおり、こちらをちらちら見てきてた。

・・・まぁ目立つわな。この髪色は俺がいなくなってからは亜蓮くらいだもんな・・・ 

そんなことを思っていると、後ろから声をかけられた。

「亜蓮先輩、どうしてこちらに?あれっ?えっ?蓮見隊長?!」

声をかけてきたのは、湊斗の親衛隊の子だった。

「あー・・・久しぶりだな。」

「あっあの、すみません。亜蓮先輩だと思って・・・あのっ何故ここに?留学されてたんじゃ・・・」

「うん、向こうで学園の卒業試験受けたから、帰ってきたんだよ。まぁ間違うのも仕方ないか・・後ろから見たらそっくりだからな俺達(笑)ははは・・懐かしいな。」

「そうなんですね・・・あのっ!隊長がいなくなってから風紀の田嶌様が隊の者によく話をされていて・・・それで・・あの時我々が見たのはもしかして・・・隊長ではなかったのかなって・・・もしそうならすみませんでした。私たちの勘違いであのようなことになってしまって・・・制裁の事も隊の名前を使った生徒だったみたいで・・・本当にすみませんでした。でも、何故あの時否定されなかったのですか?」

煌夜め・・・そんなことしてたのか・・・

「ははっもう隊長じゃないから普通に呼んでよ(笑)んーまぁ・・・あの時は亜蓮も転校してきたばかりだったし、俺も湊斗や亜蓮にに余計な事言いたくなかったから。それにあの時は思うことはあっても皆湊斗に言ったりしなかっただろ?だからそれであいつらが普通に笑って過ごしてくれるならいいかなって思ってたんだよ。さすがに制裁の件はびっくりしたけど、あの時何を言ったとしても変わらなかったと思うよ。だからお前たちが気にすることは何もないんだよ。俺達がああなったのも、俺がちゃんと言わなかったのが原因だし・・・」

「そんな・・・それに何も知らず我々は・・・」

「いいんだよ。知らなくて。今日で湊斗も卒業する。親衛隊だって解散だろ?だから今度誰かの親衛隊になるとき、同じことを繰り返さなければ、それでいいんだよ。」

「はい・・・」

「今まで俺たちのこと守ってくれてありがとうな。ご苦労さん。」

「いえっ!こちらこそ今まで守ってくださりありがとうございました。ご卒業おめでとうございます。本当にすみませんでした。」

「ありがとう」

それから間もなくして式典が始まった。皆と一緒にあの場所で卒業したかったなぁ何て思いながら、式は滞りなく終了した。式典終了後、俺は生徒の退場を見送ったあと両親と合流した。今日は今から退寮の手続きをしたり、夕方卒業パーティーが行われる別会場に移動があるらしくなかなか時間が合わず亜蓮との話し合いはパーティーが終わってからすることとなった。両親はパーティーが終わる頃、会場に来るそうだ。

俺は特にすることがないため時間を潰すために学園内をブラブラしてから会場に向かうことにした。しばらく歩き回っているとあの四阿に来た。そこには月島が立っていた。

「何してんの?」

「それはこっちの台詞。田嶌が蓮見こっちに来てるって言ってたから・・・あの時のこと聞きたくて。あの日お前が守ってくれたのに・・・理巧さまからあの後、蓮見からの紹介だって言われて僕を守るためだったって、その・・・辞任も認めてないしって捨てたはずのブレスレットも返してもらって、それを信じた。だけど、あの日からお前がずっと側に居てくれたのに、騙されたのかって・・・それであんな言い方を・・・でも、お前が留学してから田嶌に隊長会議でしか関わらないお前が僕のためにそんなことするのか?って言われて・・・分からなくなって・・」

「それは・・・しかたないんじゃないか?何て言われたかは知らないけど、遠くからでも見たいと思えるほど大事な人だったんだろ?そんなやつから言われたらそう思いたくもなるよ。ブレスレットだって戻って良かったな。俺はダメだったけど・・・」

「本当にごめん。僕はあんな言葉をかけてくれたお前を・・・「いいんだよ」でも!「いいんだ。それにいつかそのブレスレットを返せる日が来るといいなって思ってたし、俺といる間も何もなかった。だからそれでいいんだよ。それにこうなったことおれは後悔していない」

また後でとその場を離れる月島。結局最後まで謝ってたけど・・・でもよかったな・・・

そして、皆が移動する前にと別会場となるホテルへ移動した。







 
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