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ーーーーー亜蓮視点ーーーーー
叔母はまだ目覚めない零の病室で話し始めた。
「さぁ、どこから話そうかしらね・・・そうね、今回この子がいる件が全てに繋がるかしらね。田嶌くんだったかしら?あなたは知らないと思うけど、この子は私の妹よ。そして昔あった誘拐事件を起こした張本人。」
「母さんが犯人だったの・・・?」
「そうね・・・亜蓮には酷かもしれないけど。そして、あなたを産んだのは私なの・・・この子はね、子供が産めない身体なの。私たちは学生の頃日本に留学に来ていて、そこで今の旦那さんと知り合った。そのまま付き合いはじめて、結婚した。この子も旦那さんを通じてあなたのお父さんだった人と結婚した。お互い会社の跡取りだったこともあって、子供を急かされることもあったわ。そこでこの子の身体のことが分かった。その事で大分揉めてたけど、その時私の妊娠が分かってしかもそれが、双子だった。私たちはみんなで相談して、どちらかをこの子の子として育てることにしたの。それからはあなたも記憶があるでしょ?私たちとあなた達はとても仲が良かったし、お互い上手くいってた。だけど・・・あなた達が10歳の誕生日、零の瞳が変わった。あなたは覚えているかしら?」
「そういえば・・・」
「そうそれでね、この瞳は少し特殊で、私はその事で父に相談の電話をした。その時この子がその話を聞いてたみたいで、中途半端な聞き耳で内容を勘違いし、あの事件が起きた。あの時、零はいつもならしないのに急にあなた達とどこで遊んでるかっていう電話をしてきて、もう一度掛けるからその時は電話を切らないでって。不思議に思ってたんだけど、その後本当に電話が掛かってきて切らずにいたら、この子の話し声が聞こえて、場所も分かってたしすぐ向かったわ。それからはあなたも覚えている通り、だけどね、あの時はそうするしかなかったの。母だと思ってた人が犯人で本当の母親は叔母だと思ってた人で、周りからの誹謗中傷も 10歳のあなたに背負わせるわけにはいかなかった。だから一度日本から離れて海外の親戚に預けた。そして、あなたが血の繋がった弟であること、間違った瞳の話をあの時この子から聞いて、零は知っていたし、間違った瞳の話を信じていた。それから零は瞳を隠すようになり、誰も傷つけまいとしていた。だからね亜蓮・・・私たちの事は許さなくてもいい。だけどね・・・零の事は分かってあげて。あの子はあなたが向こうにいたときも日本に帰ってきてからもずっと悩んでたの。そして、自分が留学してからも・・・それが今日あなたにしようとしてた話。」
僕は何も言えなかった。言えるわけがなかった。
「ゆっくり考えたらいいの。自分がどうしたいかでいいのよ。だけどね、これだけは覚えておいて。零はホントは戻ってくるつもりなんてなかったの。だけど、向こうで私の父に会って、悩んでそれでもあなたと本当の家族になりたいって、今からでも正せるなら正したいって思ったから帰ってきたの。」
「はい・・・」
結局僕は返事しか出来なかった。それから零がなかなか目覚めず、僕たちは病室から出た。病院を出たときそれまで一度も話さなかった母に話しかけられた。
「亜蓮・・・あの時は本当にごめんなさい。向こうであった時、零くんに怒られたわ。あの時私は自分のためにあなたを犠牲にしてしまった。そしてあなた達家族を壊してしまった。謝って済む問題じゃないって分かってるけど、本当にごめんなさい・・・湊斗くんも巻き込んでしまってごめんなさい。わたしはもう二度と日本には来ないわ。そう言う約束だから・・・だから亜蓮、私たちの事は忘れて幸せになって」
「ねぇ・・・ひとつだけ教えて。僕はいらない子だった?」
「いいえ・・・あなたの事を忘れたことはなかったわ。それくらい私たちにとって掛け替えのない大切な息子だった。それを私が・・・」
「そっか・・・ありがとう・・・さようなら」
そのまま母は去っていった。僕はとりあえず零の両親と家に帰った。
次の日病院に行くと医者からまだ目覚めないと言われた。僕は零の手を握りながらこれからの事を考えた。
今まで零はどんな気持ちだったんだろう・・・僕は自分で何も考えず、ただ零を恨んでいた・・・零だってその瞳がなければこんなことにならずに済んだのに・・・僕だけじゃなかった・・・辛いのは見んな一緒だった・・・ねぇ零早く起きてよ・・・それで僕を叱ってよ・・・結局それから3日間、零は目覚めなかった。
僕は零が目覚めるまで毎日零の病室に行った。手を握って声をかけて。
そして事故から3日後零は目覚めた。目覚めた零はいつもの優しい目で僕を見てきた。目があった時、僕は今までポッカリと空いていた穴がなくなって満ち足りた気持ちになった。そしたらストンって心のなかに落ちてきたんだ。これが家族ってことなのかなって・・・
零は許してくれるどころか兄ちゃんだからと言って笑ってくれた。ちょっとムカついたけど、それよりも幸せな気持ちだった。僕はこのまま零の病室にいたかったけど、やることがあると言って湊斗を連れ出した。
そこで今まで騙していたことや零への学園での真相を湊斗に話した。
湊斗は怒らずに聞いてくれたけど、僕はお互いのため別れることにした。
叔母はまだ目覚めない零の病室で話し始めた。
「さぁ、どこから話そうかしらね・・・そうね、今回この子がいる件が全てに繋がるかしらね。田嶌くんだったかしら?あなたは知らないと思うけど、この子は私の妹よ。そして昔あった誘拐事件を起こした張本人。」
「母さんが犯人だったの・・・?」
「そうね・・・亜蓮には酷かもしれないけど。そして、あなたを産んだのは私なの・・・この子はね、子供が産めない身体なの。私たちは学生の頃日本に留学に来ていて、そこで今の旦那さんと知り合った。そのまま付き合いはじめて、結婚した。この子も旦那さんを通じてあなたのお父さんだった人と結婚した。お互い会社の跡取りだったこともあって、子供を急かされることもあったわ。そこでこの子の身体のことが分かった。その事で大分揉めてたけど、その時私の妊娠が分かってしかもそれが、双子だった。私たちはみんなで相談して、どちらかをこの子の子として育てることにしたの。それからはあなたも記憶があるでしょ?私たちとあなた達はとても仲が良かったし、お互い上手くいってた。だけど・・・あなた達が10歳の誕生日、零の瞳が変わった。あなたは覚えているかしら?」
「そういえば・・・」
「そうそれでね、この瞳は少し特殊で、私はその事で父に相談の電話をした。その時この子がその話を聞いてたみたいで、中途半端な聞き耳で内容を勘違いし、あの事件が起きた。あの時、零はいつもならしないのに急にあなた達とどこで遊んでるかっていう電話をしてきて、もう一度掛けるからその時は電話を切らないでって。不思議に思ってたんだけど、その後本当に電話が掛かってきて切らずにいたら、この子の話し声が聞こえて、場所も分かってたしすぐ向かったわ。それからはあなたも覚えている通り、だけどね、あの時はそうするしかなかったの。母だと思ってた人が犯人で本当の母親は叔母だと思ってた人で、周りからの誹謗中傷も 10歳のあなたに背負わせるわけにはいかなかった。だから一度日本から離れて海外の親戚に預けた。そして、あなたが血の繋がった弟であること、間違った瞳の話をあの時この子から聞いて、零は知っていたし、間違った瞳の話を信じていた。それから零は瞳を隠すようになり、誰も傷つけまいとしていた。だからね亜蓮・・・私たちの事は許さなくてもいい。だけどね・・・零の事は分かってあげて。あの子はあなたが向こうにいたときも日本に帰ってきてからもずっと悩んでたの。そして、自分が留学してからも・・・それが今日あなたにしようとしてた話。」
僕は何も言えなかった。言えるわけがなかった。
「ゆっくり考えたらいいの。自分がどうしたいかでいいのよ。だけどね、これだけは覚えておいて。零はホントは戻ってくるつもりなんてなかったの。だけど、向こうで私の父に会って、悩んでそれでもあなたと本当の家族になりたいって、今からでも正せるなら正したいって思ったから帰ってきたの。」
「はい・・・」
結局僕は返事しか出来なかった。それから零がなかなか目覚めず、僕たちは病室から出た。病院を出たときそれまで一度も話さなかった母に話しかけられた。
「亜蓮・・・あの時は本当にごめんなさい。向こうであった時、零くんに怒られたわ。あの時私は自分のためにあなたを犠牲にしてしまった。そしてあなた達家族を壊してしまった。謝って済む問題じゃないって分かってるけど、本当にごめんなさい・・・湊斗くんも巻き込んでしまってごめんなさい。わたしはもう二度と日本には来ないわ。そう言う約束だから・・・だから亜蓮、私たちの事は忘れて幸せになって」
「ねぇ・・・ひとつだけ教えて。僕はいらない子だった?」
「いいえ・・・あなたの事を忘れたことはなかったわ。それくらい私たちにとって掛け替えのない大切な息子だった。それを私が・・・」
「そっか・・・ありがとう・・・さようなら」
そのまま母は去っていった。僕はとりあえず零の両親と家に帰った。
次の日病院に行くと医者からまだ目覚めないと言われた。僕は零の手を握りながらこれからの事を考えた。
今まで零はどんな気持ちだったんだろう・・・僕は自分で何も考えず、ただ零を恨んでいた・・・零だってその瞳がなければこんなことにならずに済んだのに・・・僕だけじゃなかった・・・辛いのは見んな一緒だった・・・ねぇ零早く起きてよ・・・それで僕を叱ってよ・・・結局それから3日間、零は目覚めなかった。
僕は零が目覚めるまで毎日零の病室に行った。手を握って声をかけて。
そして事故から3日後零は目覚めた。目覚めた零はいつもの優しい目で僕を見てきた。目があった時、僕は今までポッカリと空いていた穴がなくなって満ち足りた気持ちになった。そしたらストンって心のなかに落ちてきたんだ。これが家族ってことなのかなって・・・
零は許してくれるどころか兄ちゃんだからと言って笑ってくれた。ちょっとムカついたけど、それよりも幸せな気持ちだった。僕はこのまま零の病室にいたかったけど、やることがあると言って湊斗を連れ出した。
そこで今まで騙していたことや零への学園での真相を湊斗に話した。
湊斗は怒らずに聞いてくれたけど、僕はお互いのため別れることにした。
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