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間話

エリザベータの思惑

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「あああっ、ああ・・・」

 アルカシスに跨る形で、彰は怒張した彼のモノを胎内に沈めていく。彼の熱が濃縮されたモノが胎内へ進んでいく度後孔壁が擦られ、彰は腰を降ろしながらビクビクッと全身に快感が走った。

「ううんっ、うっ、んんっ」

 ゆっくりと、彰はアルカシス自身を胎内に納めた。中から感じる彼の熱さに、キュッと締め付けてしまう。反射的にアルカシスは一瞬眉を顰めたが、すぐに彰を見て優しく微笑んだ。

「全部入ったね。それじゃあ、下から突いてあげよう」
「あああっ、あ、あ、あっ、あっ」

 グチュッ、グチュ、グチュ、グチュグチュ

 アルカシスは彰の腰を両手で掴んで固定すると、腰を上下に動かしながら彰の中へ抽出を繰り返す。

「あっあっあっ、ああ、いいっ、気持ちっ、あああ」

 下から突きあげる度、彰は背を仰け反らせながら快感に戦慄く。その表情は、突き上げるにつれて喜びに変わっていた。

 すると彰は身体をアルカシスと密着させて、甘えるようにアルカシスの胸に擦り寄る。彰から甘えて来るなんて珍しいと思いながら、アルカシスは胸に擦り寄る彰の頭を撫でながら言った。

「どうしたの?ショウ」

 呼ばれた彰は、恍惚の表情を浮かべたままアルカシスを見つめた。

「アルカシス様っ、アルカシス様の、乳首、舐めたいっ、です」

 言うが早く、彰はそのままアルカシスの乳首に舌を這わせながら口腔内に含ませてチュチュッと吸い上げた。彰の口腔内で舌と唇の刺激にアルカシスはブルっと背筋を震わせた。

「どうしたの?私は嬉しいけど、今日は積極的だね」

 腰を上下に動かしながらアルカシスは言った。彰の中に納まる彼自身のモノが、白濁液と粘液を垂らしながら緩急をつけて出入りを繰り返している。

「だって・・・あっ、アルカシス様のっ、乳首っ、ずっと、舐めたくて・・・!ああっ、俺っ、アルカシス様を、ずっとっ、気持ち、よくっ、したくて・・・あああっ」

 後孔壁を擦りながら奥の前立腺を突かれる快感に、彰の勃起したペニスはアルカシスの逞しい下腹部へ白濁液を放った。射精後の怠さを感じながらも、彰はアルカシスの乳首を口腔内に含ませて愛撫していく。

「んっ、ち、くび・・・美味しいっ」

 彰はアルカシスの乳首を舐めつつ上目遣いで、潤んだ瞳を彼へ向けた。その淫靡な彼の姿に、アルカシスはドキッと心臓が強く脈打ち、彰の最奥を一気に穿つ。すぐ彰の胎内で、熱い白濁液が放たれ充満していくのが分かった。

「あああ・・・」

 胎内に飛散した白濁液が少しずつ量を増やして自分の中に溜まっていくのを、彰は喉を震わせながらうっとりと恍惚な表情を浮かべていた。

 なんて、可愛いんだ。

 彰が、自分が達したと同時にイった事が分かり、アルカシスは自分に跨る人間の青年に愛おしさを感じた。

「私の、可愛い性奴隷ペット・・・誰の物でもない。私だけの」
「んんっ、んっ」

 絶頂を迎えた二人は薄れ行く意識の中、互いの唇を吸い合い続けた。


 さらに景色は変わる。ここは、ショウを自分の性奴隷ペットとした、儀式を行ったあの場所だった。目の前には仲介役でエリザベータが微笑んでいる。
 隣には、頭をベールで覆われ、透明な純白の下着を着た彰がいた。彰は、自分を上目遣いで幸せそうに見つめている。

「アルカシス様、ショウを・・・」

 ショウを、永遠に貴方様の性奴隷ペットに・・・!

 そして、徐々に風景は霞んでいった・・・。




*   *   *

 アルカシスはゆっくりと目を開けた。隣には、全裸で、肩まで布団を掛けて穏やかに眠る彰がいた。そういえば昨日、グレゴリー達5人と交わり合い疲労から熱が出て寝込んでいたのを思い出した。
 熱が下がりゆっくり寝ていたところを、様子を見に来てそのまま眠っていたようだ。アルカシスは彰の頬を触った。触ったが起きる様子はなく穏やかな寝息を立てて眠っている。しばらく起きる気配はない。

 ゆっくりとアルカシスはベッドから起き上がる。そういえば今日は姉がやって来る日だった。彰はまだ寝ているが、このままでもいいだろう。せっかく熱は下がったばかりだから。

 アルカシスはスーツを着用すると、自身の絹のような艶やかな銀色の長髪をハサッと払い、彰を残して部屋を後にした。



*   *   *

「あらあら、ショウちゃんはまだおねんねん?」

 ペットを連れたアルカシスの姉・エリザベータが、ペットとなった人間の女性を撫でながら言った。

「昨日、グレゴリー達に味見させたからね。さすがに5人の相手は、ショウも疲れたみたいだよ」
「いやーん♡複数プレイ楽しそうじゃなーいん♡一言言ってくれれば、わらわも見に来ていたのに、アルちゃんのイケズぅ」
「ナギも見たーい」

 エリザベータは、目をキラキラさせて表情をうっとりとさせている。隣にいる彼女のペットも、主人と同じように表情をうっとりとさせていた。

「それで、姉さん話があると聞いたが?」
「そうそう♡面白ーい話を持って来たのぉん。アルちゃん、中央国のカラマーゾフ王の最近の動向を知ってる?」
「あの古参王の?」

 カラマーゾフとは、淫魔王の中で最も在位が長い古参王だ。
 自分や姉は、淫魔王としては新参者にあたる。魔力の強さで決められる淫魔界の王には5つの国に5つの王が存在する。自分は北国を統治する淫魔王で、エリザベータは南国を統治する淫魔王だ。残り東国、西国の淫魔王も二人より在位が長い。

「最近、まーたペットちゃんを廃棄して、また新しい子を探しているそうよぉん」

 自身のペットを撫でながら、困ったようにため息をついてエリザベータが言った。

「ああ、そういう事か」
 
 いつもの事だと思ったアルカシスは、我関せずな態度で返した。
 カラマーゾフ王は五大淫魔王の中でも最も古参な淫魔王だが、好き嫌いと飽き性は有名だった。なにせ、自分が淫魔王に即位する時点でそれで名が通っていたくらいの男だ。今更ペット一人廃棄したところで何も驚く理由はない。

「彼にとってはいつもの事じゃないか。わざわざ私にそんな事を教えに来たのかい?」
「あらん♡随分と余裕じゃないのん、アルちゃん。彼は男の子が好みなの、忘れちゃったのん?」

 クスクスと楽しそうに嗤う姉を見て、何かを察したアルカシスは呆れたように嘆息した。ペット一人を捨てて、新しいペットを探している。しかも、姉がわざわざ自分に話しているという事は。

「ショウの事をカラマーゾフ王に吹き込んだね、姉さん」

 クスクスと、エリザベータは嗤っている。

「いえね、わらわも所用があって、カラマーゾフ王とお話していたの。そしたら貴方のお話になっちゃって、ついショウちゃんのこと、話しちゃった♡てへっ」

 可愛いく戯けているが、彼女に申し訳なさなんてないのは、弟の自分がよく知っている。

 淫魔にも人間の性別の好みがある。同性であるか異性であるかは淫魔の好みに左右されるところが大きいが、同性のペットを持っているのは姉とカラマーゾフ王、そして自分だった。
 そのカラマーゾフ王がペットを廃棄して、ショウの存在を知っている。
 さすがに頭に血が昇り、アルカシスは姉を睨みつけた。

「あまり羽目を外すと、私に殺されるなんて、考えた事はなかった?あれは私のペットだ」
「いやーん♡アルちゃん怖ーいん」
「怖ーいん」

 睨む弟をエリザベータはわざとらしく怖がる素振りを見せるが、すぐにうっとりとした表情になった。
 エリザベータのうっとりとしたまま身体をクネクネした動きを、ペットのナギも真似している。まるで母と娘のようだ。

 自由奔放な姉の発言に、アルカシスは怒る気が失せてため息が出た。自分とカラマーゾフ王と、国家間での対談が数日後に控えていた。姉が知らない筈はなく、まるで煽られている気分になる。

 溜め息を吐く弟に、エリザベータはウフフと優雅に笑うが、その笑いには何かしらの含みが感じられた。

「ねぇ、アルカシス。ショウちゃんを、このまま寿命に従って逝かせるのはつまらないんじゃないかしら?あんな可愛い子はそう人間界にもいるわけではない。なら、貴方と命の契約を結んで貴方の命の半分をショウちゃんに与えればいいわ」
「ペットに?私に、姉さんのようにしろと?何度も言うが、ショウは私のペット。それ以上でも、それ以下でもない」
「冷たいのねぇん、アルカシス」

 命の契約とはペットとなった人間を半永久的に囲い込むために淫魔達が生み出した契約である。自分から性奴隷ペットになる事を宣誓する事でペットに堕ちる事ができるのと似ていて、ペットから永遠に主人である淫魔と共に生きていく意思が必要だ。
 確か姉は、既に目の前のペットと命の契約を結んでいた筈。姉の真意は付き合いが長い自分でもよく分からないが、彼女は自分に損にならない事は絶対にしないタイプの女だ。

「一体何を考えているの?姉さん」
「深い意味はないわぁん♡でも、カラマーゾフ王もショウちゃんを知った以上、彼には気をつけた方がよくてよ?」

 うふん。とエリザベータはアルカシスに軽くウィンクする。

「わらわの弟は、お顔も良くて魔力も高いのに、どこか鈍ちんなところがたまに傷で困っちゃうわん♡」

 面倒くさい事になったと、アルカシスは溜め息を吐いた。




*   *   *

 中央国のカラマーゾフ王には、既に若い男のペットがいた。裸のまま放置された彼は、ベトベトの白濁液が身体中に纏わりつき、目は虚ろで動く気配はなかった。

「それはもう下げておけ」
「はっ」

 カラマーゾフ王に命じられた部下がピクリと動かない彼を背負って闇の中へ消えた。入れ替わりに、別の部下が彼の自室に入った。

「またペットを廃棄ですか?」
「仕方ないだろ?私の飽き性は病気のような物だ。あの子では、私の相手は務まらなかっただけだ」

 闇の中へ消えたあの青年はどうなるのか、誰も気にしない。記憶を消して人間界に還すか、自分達で美味しく頂くかは自分達次第だからだ。

「そうそう。北国の王から会談を申し受ける返事が届きました」

 書類を部下から受け取ったカラマーゾフは、ゆっくりと目を通す。

「そういえば、向こうの王も人間の男をペットに迎えたらしいな」

 先日、南国の女王と会談があった。北国王は彼女の弟で、5人の王の中では一番若い。彼女から北国王が数年前ペットを迎え、主従契約書のサインとペット宣誓を行ったという。今そのペットは北国王に大事に飼育され、ペットも彼にとても懐いていると聞く。

「はい。人間界から連れて来た頃は、ヤンチャだったそうですが、今では甘えん坊で北国の淫魔達にたいそう可愛がられているとか」

 それを聞くと、カラマーゾフ王は口端を吊り上げた。なかなかに期待できる子かもしれない。

「会談以降も滞在を申請しておけ。少しそのペットを味見したい」
「畏まりました」

 了承した部下は、そのまま暗闇と同化するよう姿を消した。
 淫魔を虜にする人間とは興味深い。味見して美味しければ、記憶を弄ってこちらに連れて来ようか。会談は数日後だが、今からがとても楽しみだ。
 カラマーゾフは、クスクスと笑うと一言言った。

「美味しそうな子は、先に頂いた者勝ちさ。昔からよく言う諺だろ?アルカシス」
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