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第三章
【4.ナオの家で③】
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俺の胸に染みこんできたナオの懇願。
俺はナオの後頭部を撫でる。何度も。
泣いてる赤ん坊をあやすように。
そんな風にできているか、わからない。
相反する感情が渦巻いているせいで。
ぎこちなく、なってないか
ナオに俺の鼓動がどう聞こえているか
俺の手つきとこの胸の鼓動は一致した感情を表しているのか
ナオが顔を上げたのがわかる。
さっきと一緒だ。俺の胸で移動するナオの感触で俺は知る。
ナオはなぜ、顔を上げたのか。
俺の手つきか鼓動かその両方か、それから何かを読み取って?
それは俺の本心としてナオに伝わったのだろう。
だからきっとナオはそれを受け止めた顔つきをしているはず。
俺はナオを撫でる手を止め、
ナオからゆっくり上半身を離す。
内心恐れを抱きながら、ナオの表情を見るために。
ゴロゴロ....
ナオの座高と俺の座高。
ナオは俺よりは小さいが小さな子供ではないから、
俺の胸にナオを抱いた時点で、ナオは結構身体を俺に倒していたことになる。
それがナオが顔を上げたせいで、
後ろに押される力がかかったせいで、ナオの座る椅子のキャスターが動いたのだ。
俺にはだからナオの俺に対する表情を確認することは出来ず、
あっという驚いたカオが目に映った。
ナオがとっさに俺の方に手を伸ばし、俺もすぐにナオの腕を取る。
目が合う。
俺とナオの一瞬の攻防。探り合い。
ナオの腕を掴む俺の手は、ナオの動きを封じているのかー
ナオは椅子が後方へスライドしたことで、
尻を突き出した格好。
そんな格好で俺を見上げてる。揺れる双眸。
ナオの腕を取る俺の手に逆らうように、ナオが俺の腹に手を当てる。
俺は右の手を、ナオから離し、ナオの首の後ろに手をやる。
ナオは、駆け引きを知る歳ではないから、
俺を誘う目つきをしたりしない。
唇を薄く開いて俺を引きつけようなんて、知らない。
だからナオは唇を引き結び、ただじっと俺を見る。
俺はナオの首にやった手に少し力を入れて、
顔を近づける。
近づいていく俺の顔をナオは目を瞑りも、背けることもせず見てる。
左手をナオの腕から離し、
親指でナオの額にかかる髪を払う。
払ったまま、ナオの側頭で手を止めて、
俺は、ナオの額に唇をつけた。
ナオから離れる。
ナオは俺を見る。
俺はナオに近づいて、俺を見つめ続ける瞳を閉じさせたかったのか、
まぶたに唇をつける。
ナオはその時、目を閉じた。
俺はナオの眼球を舐めることもせず、
ナオから離れる。
ナオは再び目を開いて俺を見る。
再びナオに近づいて、鼻梁を唇で挟むようにする。
ナオから離れる。
ナオはやっぱり俺を見てる。
乾いた唇を、舐めていいものだろうか。
ナオが俺を見ているのに。
カサカサの唇が触れても、唇らしい感触はないだろうけど。
ナオの唇はー
カサカサしていないようだ。
若さのせいなのかな。
ふっくらしていて、やわらかそうだ。
ナオの瞳はー
水分が多い。
初めからそうだったろうか。
ナオの側頭に置いていた手の親指で、
ナオの眉をなぞる。
ナオは少し目を細める。
「ナオ・・・・・・
その体勢、きつくないか?」
かすれた声で、つぶやくように言ってみる。
まるでかすれた声の原因だったかのように、
喉を潤そうとしたみたいに、
俺の唇を舐めた。
ナオはじっとその様子を見てた。
一拍以上遅れて、
ナオが、えっ?という顔。
「あ・・・・・だいじょう、ぶ」
ナオも視線を泳がせて、そう、漏らす。
「とりあえず、椅子。ほら」
俺は笑って、手を離し、
ナオに手を伸ばし、
椅子にまっすぐ座れるように引っ張った。
俺は、“しまった”と思った。
ナオの顔が近すぎる。
ナオの部屋の、机の上の時計にすばやく目を走らせ、
残り時間を確認した。
ナオに微笑んで、手を離し、立ち上がる。
ナオが顔を上げて俺を見る。
まるで少しの情報でも漏らさず受け取ろうとでもするように。
そんなナオの目から視線を外し、
歩を進め、
ナオのベッドに腰を下ろす。
「おいで、ナオ」
手を広げて呼ぶ。
ナオは理由はわからないものの、
素直に腰を上げ、俺の方へ来る。
目の前に来たナオに手を伸ばし、
くるりとナオを回転させて、引き寄せる。
ナオを俺の膝の上に座らせた。
膝の上に座らせるのはおかしい年かもしれないが。
ナオも少し、緊張した様子で、
それは身体の硬さだけじゃなく、ナオ自身から発散されていた。
そんなナオの身体を後ろから寄りかかるように抱きしめ、
ナオの細い肩に顎を乗せて、
ナオのヘソの下あたりで手を組んだ。
少しの間、何もしゃべらずそのままでいた。
ナオ、逃げた俺を責めるかい?
俺はナオの後頭部を撫でる。何度も。
泣いてる赤ん坊をあやすように。
そんな風にできているか、わからない。
相反する感情が渦巻いているせいで。
ぎこちなく、なってないか
ナオに俺の鼓動がどう聞こえているか
俺の手つきとこの胸の鼓動は一致した感情を表しているのか
ナオが顔を上げたのがわかる。
さっきと一緒だ。俺の胸で移動するナオの感触で俺は知る。
ナオはなぜ、顔を上げたのか。
俺の手つきか鼓動かその両方か、それから何かを読み取って?
それは俺の本心としてナオに伝わったのだろう。
だからきっとナオはそれを受け止めた顔つきをしているはず。
俺はナオを撫でる手を止め、
ナオからゆっくり上半身を離す。
内心恐れを抱きながら、ナオの表情を見るために。
ゴロゴロ....
ナオの座高と俺の座高。
ナオは俺よりは小さいが小さな子供ではないから、
俺の胸にナオを抱いた時点で、ナオは結構身体を俺に倒していたことになる。
それがナオが顔を上げたせいで、
後ろに押される力がかかったせいで、ナオの座る椅子のキャスターが動いたのだ。
俺にはだからナオの俺に対する表情を確認することは出来ず、
あっという驚いたカオが目に映った。
ナオがとっさに俺の方に手を伸ばし、俺もすぐにナオの腕を取る。
目が合う。
俺とナオの一瞬の攻防。探り合い。
ナオの腕を掴む俺の手は、ナオの動きを封じているのかー
ナオは椅子が後方へスライドしたことで、
尻を突き出した格好。
そんな格好で俺を見上げてる。揺れる双眸。
ナオの腕を取る俺の手に逆らうように、ナオが俺の腹に手を当てる。
俺は右の手を、ナオから離し、ナオの首の後ろに手をやる。
ナオは、駆け引きを知る歳ではないから、
俺を誘う目つきをしたりしない。
唇を薄く開いて俺を引きつけようなんて、知らない。
だからナオは唇を引き結び、ただじっと俺を見る。
俺はナオの首にやった手に少し力を入れて、
顔を近づける。
近づいていく俺の顔をナオは目を瞑りも、背けることもせず見てる。
左手をナオの腕から離し、
親指でナオの額にかかる髪を払う。
払ったまま、ナオの側頭で手を止めて、
俺は、ナオの額に唇をつけた。
ナオから離れる。
ナオは俺を見る。
俺はナオに近づいて、俺を見つめ続ける瞳を閉じさせたかったのか、
まぶたに唇をつける。
ナオはその時、目を閉じた。
俺はナオの眼球を舐めることもせず、
ナオから離れる。
ナオは再び目を開いて俺を見る。
再びナオに近づいて、鼻梁を唇で挟むようにする。
ナオから離れる。
ナオはやっぱり俺を見てる。
乾いた唇を、舐めていいものだろうか。
ナオが俺を見ているのに。
カサカサの唇が触れても、唇らしい感触はないだろうけど。
ナオの唇はー
カサカサしていないようだ。
若さのせいなのかな。
ふっくらしていて、やわらかそうだ。
ナオの瞳はー
水分が多い。
初めからそうだったろうか。
ナオの側頭に置いていた手の親指で、
ナオの眉をなぞる。
ナオは少し目を細める。
「ナオ・・・・・・
その体勢、きつくないか?」
かすれた声で、つぶやくように言ってみる。
まるでかすれた声の原因だったかのように、
喉を潤そうとしたみたいに、
俺の唇を舐めた。
ナオはじっとその様子を見てた。
一拍以上遅れて、
ナオが、えっ?という顔。
「あ・・・・・だいじょう、ぶ」
ナオも視線を泳がせて、そう、漏らす。
「とりあえず、椅子。ほら」
俺は笑って、手を離し、
ナオに手を伸ばし、
椅子にまっすぐ座れるように引っ張った。
俺は、“しまった”と思った。
ナオの顔が近すぎる。
ナオの部屋の、机の上の時計にすばやく目を走らせ、
残り時間を確認した。
ナオに微笑んで、手を離し、立ち上がる。
ナオが顔を上げて俺を見る。
まるで少しの情報でも漏らさず受け取ろうとでもするように。
そんなナオの目から視線を外し、
歩を進め、
ナオのベッドに腰を下ろす。
「おいで、ナオ」
手を広げて呼ぶ。
ナオは理由はわからないものの、
素直に腰を上げ、俺の方へ来る。
目の前に来たナオに手を伸ばし、
くるりとナオを回転させて、引き寄せる。
ナオを俺の膝の上に座らせた。
膝の上に座らせるのはおかしい年かもしれないが。
ナオも少し、緊張した様子で、
それは身体の硬さだけじゃなく、ナオ自身から発散されていた。
そんなナオの身体を後ろから寄りかかるように抱きしめ、
ナオの細い肩に顎を乗せて、
ナオのヘソの下あたりで手を組んだ。
少しの間、何もしゃべらずそのままでいた。
ナオ、逃げた俺を責めるかい?
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