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第一章 江田愛との出会い (6)
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僕は、自分の教室に入り、席についた。辺りを見渡すが、
「あいつ、いないな。」
まだ彼女は来ていないようだった。まあいいか、と思い、机に伏そうとしたとき、
「あっ、おはよう!」
と、後ろから昨日の同じ声が後ろから聞こえた。ふりかえると、そこには鞄を片手に、愛しい笑顔をこちらに向けた彼女がいた。
「来るの早いんだね。」
「いや…普通だと思うんだけど。」
現在時刻は、七時五十分くらい。朝の挨拶が始まるのは八時十分からだし人もそうそう居るからそこまで早くはないとは思うが。
「いつも何時に起きてるの?」
「えっと……だいたい六時くらい………?」
「嘘!はやっ!私はいつも七時半くらいだよ!」
別に彼女の起床時間はどうでもよかったが、だとしたら、二十分で学校に到着しているということになる。二十分の登校は普通だと思うが、その時間内に、支度や、朝食を済ませているということになる。まあ、多分、ただ単に家が近いだけか、車かバスでの登校だろう。
「なんでそんなに早いの?」
「遅刻はしたくないし、家で時間潰すこともないから、早めに来る。」
「ほぇー、そうなんだ。友達と登校とかしないの?」
「生憎と、友達という友達はいない。」
そう聞かれた時、何故か一瞬だけ小笠原が脳裏を横切った。
傍から見たら、小笠原は友達じゃないのか?と、疑問を浮かべるだろう。だが、あいつは昔からの知り合いのようなものだ。
お互いが友達と思っていて、初めて友達が成立する。しかし、片方が友達と思っていないのなら、それは友達ではなく、それ以下ということだ。
彼女の方に目をやると、手を顎に添えて「んー……」と唸りながら、何かを考えていた。
その後、彼女は僕の方に目を合わせ、笑顔を浮かべながら、彼女は言った。
「じゃあさ、私と友達にならない?」
「え……?」
突然そんなことを言われて驚いた僕に続けて彼女は言った。
「私は、君とお友だちになりたい。私も、小中学校は、ほぼ一人で過ごしてきたの。だから、いつかは友達を作って、一緒に楽しい時間を過ごしたいと思ってたの。」
「意外だな。沢山友達いると思ってた。」
「人格や、見た目だけで決めつけるのは良くないよ。」
「すまん。」
だが、本当に意外だった。こんなポジティブで明るい性格なら、学校生活は順風満帆だと思ってたが、やはり色んな人がいるんだな。
「というか、何で僕なんだ?友達が欲しいなら、誰でもいいんじゃないのか?」
そう言うと、彼女は優しい微笑みを浮かべながら、彼女は言った。
「君が高校で初めて言葉を交わした人だから。」
瞬間、窓から差し込んだやわらかい日光が彼女の顔を照らした。僕はその姿に少し美しいと感じた。
その後、チャイムが鳴り、お互い自分の席に戻った。
昼休み、僕は自分の席で昼食をとっていた。一人でというわけではない。僕の向かいには、
「五時限目に数学とかキツすぎだろ……。」
僕の机で項垂れている小笠原がいる。
「お前、理系教科苦手なのに、何で理系コースを選んだ?」
「だって、物理の先生めっちゃ美人じゃん!先生に少しでも距離を縮めたくて選んだんだし、選んだからには、上手く距離を縮めて、先生のラインをゲットしてやる!」
「先生一人のために自分を追い込む選択をするのはどうかと思うがな。」
「苦手なものを克服するいい機会じゃねーか。それで理系教科の成績を上げれば、自分の進路を広げることもできるぞ。」
「それで今のところ成績はどうなんだ?」
「物理は少しずつ上がってるぞ!」
「他の科目は?」
「そんなもんいいんだよ。俺は物理の先生にしか興味ねえから物理だけ成績を上げて行くつもりさ。」
「苦手なものを克服して自分の進路を広げるって言ってたのは何だったんだよ……。」
ホントこいつはよく分からん。長い付き合いだが、未だにこいつが何を考えているのか微妙に読み取れない。
そんなことを思いながら、僕はふと教室内全体を見渡した。そして、ある違和感を覚えた。
「あれ……?」
教室内に彼女はいなかった。大抵なら、どこか違う教室で友達と昼食をとっているだろうと、そこまで気にしないものだ。だが、この時の僕はなぜか無性に気になっていた。なので僕は昼食を済ませ、席を立った。
「ん、どっか行くのか?」
「まあ、ちょっとな。」
そう言い残して、僕は教室を出た。
「あいつ、いないな。」
まだ彼女は来ていないようだった。まあいいか、と思い、机に伏そうとしたとき、
「あっ、おはよう!」
と、後ろから昨日の同じ声が後ろから聞こえた。ふりかえると、そこには鞄を片手に、愛しい笑顔をこちらに向けた彼女がいた。
「来るの早いんだね。」
「いや…普通だと思うんだけど。」
現在時刻は、七時五十分くらい。朝の挨拶が始まるのは八時十分からだし人もそうそう居るからそこまで早くはないとは思うが。
「いつも何時に起きてるの?」
「えっと……だいたい六時くらい………?」
「嘘!はやっ!私はいつも七時半くらいだよ!」
別に彼女の起床時間はどうでもよかったが、だとしたら、二十分で学校に到着しているということになる。二十分の登校は普通だと思うが、その時間内に、支度や、朝食を済ませているということになる。まあ、多分、ただ単に家が近いだけか、車かバスでの登校だろう。
「なんでそんなに早いの?」
「遅刻はしたくないし、家で時間潰すこともないから、早めに来る。」
「ほぇー、そうなんだ。友達と登校とかしないの?」
「生憎と、友達という友達はいない。」
そう聞かれた時、何故か一瞬だけ小笠原が脳裏を横切った。
傍から見たら、小笠原は友達じゃないのか?と、疑問を浮かべるだろう。だが、あいつは昔からの知り合いのようなものだ。
お互いが友達と思っていて、初めて友達が成立する。しかし、片方が友達と思っていないのなら、それは友達ではなく、それ以下ということだ。
彼女の方に目をやると、手を顎に添えて「んー……」と唸りながら、何かを考えていた。
その後、彼女は僕の方に目を合わせ、笑顔を浮かべながら、彼女は言った。
「じゃあさ、私と友達にならない?」
「え……?」
突然そんなことを言われて驚いた僕に続けて彼女は言った。
「私は、君とお友だちになりたい。私も、小中学校は、ほぼ一人で過ごしてきたの。だから、いつかは友達を作って、一緒に楽しい時間を過ごしたいと思ってたの。」
「意外だな。沢山友達いると思ってた。」
「人格や、見た目だけで決めつけるのは良くないよ。」
「すまん。」
だが、本当に意外だった。こんなポジティブで明るい性格なら、学校生活は順風満帆だと思ってたが、やはり色んな人がいるんだな。
「というか、何で僕なんだ?友達が欲しいなら、誰でもいいんじゃないのか?」
そう言うと、彼女は優しい微笑みを浮かべながら、彼女は言った。
「君が高校で初めて言葉を交わした人だから。」
瞬間、窓から差し込んだやわらかい日光が彼女の顔を照らした。僕はその姿に少し美しいと感じた。
その後、チャイムが鳴り、お互い自分の席に戻った。
昼休み、僕は自分の席で昼食をとっていた。一人でというわけではない。僕の向かいには、
「五時限目に数学とかキツすぎだろ……。」
僕の机で項垂れている小笠原がいる。
「お前、理系教科苦手なのに、何で理系コースを選んだ?」
「だって、物理の先生めっちゃ美人じゃん!先生に少しでも距離を縮めたくて選んだんだし、選んだからには、上手く距離を縮めて、先生のラインをゲットしてやる!」
「先生一人のために自分を追い込む選択をするのはどうかと思うがな。」
「苦手なものを克服するいい機会じゃねーか。それで理系教科の成績を上げれば、自分の進路を広げることもできるぞ。」
「それで今のところ成績はどうなんだ?」
「物理は少しずつ上がってるぞ!」
「他の科目は?」
「そんなもんいいんだよ。俺は物理の先生にしか興味ねえから物理だけ成績を上げて行くつもりさ。」
「苦手なものを克服して自分の進路を広げるって言ってたのは何だったんだよ……。」
ホントこいつはよく分からん。長い付き合いだが、未だにこいつが何を考えているのか微妙に読み取れない。
そんなことを思いながら、僕はふと教室内全体を見渡した。そして、ある違和感を覚えた。
「あれ……?」
教室内に彼女はいなかった。大抵なら、どこか違う教室で友達と昼食をとっているだろうと、そこまで気にしないものだ。だが、この時の僕はなぜか無性に気になっていた。なので僕は昼食を済ませ、席を立った。
「ん、どっか行くのか?」
「まあ、ちょっとな。」
そう言い残して、僕は教室を出た。
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