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第一章 江田愛との出会い (8)
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あれから放課後、僕はある人物とマンツーマンで、勉強を教えていた。
「すまん……これどうやるんだっけ……?」
「そこさっき教えたところなんだが……。」
「そ、そうだったか?はあー…もうここまでにしようぜ……?俺もう疲れた……。」
「時間を決めたのはお前だろ?だから最後までやるんだよ。」
「ちくしょう……なんでこんなことをしなきゃならないんだ……。」
「それはこっちのセリフでもある。お前が頼んだから、俺がこうやって仕方なくしてるんだぞ。」
「確かにそうだが……なにもそこまでしなくてもよー……。」
「さっきも言ったが、これはお前が決めた事だ。だから俺は言われた事を従ってるだけだ。
とりあえず、あと三十分だから、それまで頑張れ。」
「くぅー……わかったよ……。」
と、数学の時間、ずっとちんぷんかんぷんの様子だった小笠原が肩を落とす。
なぜ、僕たちがこんなことをしてるのか。それは中学一年の頃、僕は、自分で言うのもなんだが、頭は良い方だ。そこまで勉強しなくても、自然的に授業で覚えてしまう。もちろん成績は常にトップクラスだった。それは今も変わらない。対して、小笠原は、そこそこという感じだ。良い方ではないが、一方で悪くもない。凡人ってところだ。
そんなある日、小笠原は僕に勉強を教えてくれないかと頼んできた。正直面倒臭かったし、放課後の自由時間を他人の勉強付き合いに費やしたくなかった。だが、「これ以上成績が悪くなったら、お袋にゲーム没収されちゃうんだよ!だから、頼む!お前頭良いし、付き合いも長いから、友達を助けると思って!この通り!」と、深く頭を下げられた。別に友達だと思ってないって何回も言ってるのだがな。一方的にそっちから絡んできてるだけなのだが、しかし、これだけお願いされて断るのはさすがに自分の良心が痛むため、承諾した。僕の教えが効いたのか、こいつの成績は上々に伸びていき、結果、僕が目標としていた、県の中でもトップレベルの進学校であるこの高校に見事二人とも合格したのだ。
でまあ、僕は入学後は以前より真面目に勉強をするようになった。高校の勉強が中学より難しくなるのもあるが、この高校は偏差値が高め。もちろん僕以上の成績優秀者がたくさんいる。だからその人たちよりも遅れをとってはいけないと思ったからだ。
さっきも言ったが、この高校は県の中でも偏差値が高め。なので授業レベルもかなり高い。数学、英語、現代文など、他の高校よりハイレベルで、且つ覚えることもたくさんある。
なので、授業についていけなくなるのが恐かったというのも理由の一つ。
一方、小笠原というと、難関高校に受かった満足感からか、気が緩んでしまい、全く勉強をしなくなった。もちろんそのおかげで、テストは毎回赤点スレスレ、酷いときは放課後補修を受けさせられている。
ある日小笠原がまた勉強に付き合ってくれないかと再度頼まれた。さすがにそれは自業自得なのだから自分でなんとかしてほしいと言いたかったが、僕にも人情があるため、ついほっとけなくなってしまい、現在もこうして放課後に誰もいないこの教室で、個人教師として勉強を教えている。まあ、そのおかげもあってか、最初の頃よりは成績は上がっているが、時間が経つと共に、こいつのやる気も減っていくわけで、最近はぶつぶつと文句を垂らしている。
まったく……こっちの気持ちも考えてほしいものだ……。
そんなことを考えながら、僕はこいつの勉強に付き合い続けた。少し時間が経った後、小笠原が僕に聞いた。
「そういえばお前、昼休みの時、授業開始ギリギリになって教室に入ってきたけど何してたんだ?」
「あー……そのー……」
さて、なんて言おうか。女子と話してたなんて言えないからな。僕がコミュ障ということはこいつも知っているわけで、絶対面倒なことになる予感しかしない。濁らしとくのも、逆に怪しまれるしな。
「少し、屋上で知り合いと駄弁ってただけだよ。」
「あれ、お前人と話すの苦手じゃなかったっけ?」
「コミュ障と言っても、ある程度慣れている人だったら多少は話せる。」
これは、嘘をついてはいない。今も小笠原とこうして普通に話せているし、彼女と屋上でよくわからん話をしたのもまた事実。
「なるほどなー。お前も成長してるんだな。」
「なんかお前にそう言われるとイラッと来るんだが。」
「別に良いじゃねーか。お前の事は俺はよく知っているつもりだぞ。そいつからの誉め言葉なんだから、素直に受け止めとけよ。」
「……僕はお前がよくわからないのだが。」
「まあ、俺は俺を隠しとおすつもりだからな。そっちの方が、ダークな雰囲気があってカッコイイだろ?さらけ出してる感を装っているけど、隠すときは隠す。たとえお前でも、言えない秘密がある。少なくとも皆そうだと思うぞ。人に言えない秘密を誰もが一つは抱えている。そうだろ?」
「……まあ、それは言えてるな。」
こいつは時々こんなことを言うやつだ。ダークな雰囲気に関してはともかく、普段とは裏腹に、何かしらしっかり考えて、行動をうつしている。
こんなことを話しててもアレなので、僕はこいつに勉強を促して、自分も教師目線として、教えることに集中した。
流れるように時間が経ち、勉強を終わらせた後、一人で通学路を辿っていた。
小笠原はというと、今日は少し用事があるということなので、僕と帰宅出来ないということだ。
それにしても、一人で帰ったのは、いつぶりだろう。僕は昔から、小笠原と登下校している。僕は、学校という場所では常に下位的ポジションだ。付け加えて、ぶっちゃけ人と関わりたくないため、少しだけ人と避けていた。小笠原は、クラスでは超が付くほどの人気者だ。持ち前の明るい性格で、人を寄せ付けやすい。告白されたって言葉を何回聞いたか……。そいつと正反対な僕は当然、人が寄ってくる事もなく、ただ単に、暇という空白の時間が過ぎるのを待つだけ。
だが、小笠原はそんな僕とも変わらず登下校してくれている。僕はなんとなくその時間が楽しく感じているため、そこだけは感謝している。
なぜ、あいつはこんな僕の近くにいるのだろう。普通ならば関係が薄れていってもおかしくはない。学校では、クラスの奴らと駄弁って、あまり僕に近づかないのに、放課後となると、「一緒に帰ろうぜ!」と、いつも歩み寄ってくる。
結構付き合い長いのに、僕は未だにあいつを理解が出来ない。あいつが僕の事をよく知って、僕はあいつの事が分からない。まるで、あいつと僕とは、距離が違う。手に届かないくらい、それぞれの世界が違うような感じだ。この敗北感と劣等感がどうしても拭いきれない。
「……とりあえず、早く家に帰って、小説の続きを読まないと。そろそろ終盤だっけかな。」
と、そんなことを呟いていると、
「えっ……。」
僕の前方には、昼休みに話をした彼女がいた。僕は気づかれないよう、息を潜めながら帰路を辿っていたつもりだが、不覚にも、地面に落ちていた木の枝を踏んで折ってしまった。その音に気づいて彼女が後ろを振り返った。
「あっ、歩くんだ!」
と、言いながらこちらに走り寄ってきた。
くっ……つい油断してしまった。
「もしかして、歩くんも家に帰ってる途中?それとも、どこかに寄っていくの?」
「い、一応帰ってる途中だけど……。」
「そうなんだ。私も家に帰ってる途中なんだ。一緒に帰ろう!」
と、彼女は笑顔を浮かべていった。こんな笑顔を見てしまったら断ることできないじゃないか!
「……いいよ。」
「やった!じゃあ、行こうか。」
そう言って彼女は歩き出した。
というか、屋上の時はペラペラと喋れていたのに、何で今はこんなにも緊張して喋れないんだよ!おかしいだろ!
そんなことを思っていると、
「なんで歩くんはこんな遅くに帰宅なの?」
と、聞いてきた。
「えっと、知り合いと放課後に教室に残って勉強を教えてあげてた。」
「ひえーー、なんか凄いね!よっぽど頭が良いってことでしょ?今度私にも勉強教えてよ!」
「あぁ……うん、わかった。」
あれ。なんかいつの間にか変な約束してないか。はぁぁ、緊張して会話が頭に入ってこない……。
「なんか歩くんの顔凄いよ。なんというか、顔面蒼白って感じ。大丈夫?」
と、彼女ら僕の顔の近くに顔を寄せた。
「ちょ……大丈夫だから!」
「あはは!なにそんなにビックリしてるの?」
と、彼女は声を出して笑った。ちくしょう……少しでいいから屋上の時の僕に戻ってよ……。
そんなことを思いながら、なんとか必死に彼女と話した。上手く話すことに夢中になっていた。しばらくすると、
「……あっ、ここの角曲がるから、ここでお別れだね。じゃあ、また明日ね!」
と言って、彼女は、帰路に向かって、歩を進めた。だが、僕はどうしても彼女に聞きたいことがあった。
「あ、あのさ!」
と言ったとたん、彼女は足を止めて、目を丸くしながら、振り返った。
「君の名前、教えてくれないかな?」
すると、彼女は、少しビックリしたような感じになった後、なぜか笑った。
「そっか、私の名前、君には言ってなかったもんね。」
そういった後、目線を僕に向けて言った。
「私は、愛。江田愛。これからは、愛って呼んでね。それじゃ、また明日ね!」
と言って、彼女は再び帰路に向かって歩き出した。
愛……か。やっと彼女の名前を知れた僕は、少しだけ、ふいにも笑顔を浮かべてしまう。なんというか、これからは結構関わりそうだなと思った。
それにしても、なんで愛はこんな遅くに帰宅してたのだろう。まあ、今考えてもしょうがないだろう。明日にでも聞けばいい話だ。それよりも、帰りの彼女との時間は、少し楽しかったと感じた。
「すまん……これどうやるんだっけ……?」
「そこさっき教えたところなんだが……。」
「そ、そうだったか?はあー…もうここまでにしようぜ……?俺もう疲れた……。」
「時間を決めたのはお前だろ?だから最後までやるんだよ。」
「ちくしょう……なんでこんなことをしなきゃならないんだ……。」
「それはこっちのセリフでもある。お前が頼んだから、俺がこうやって仕方なくしてるんだぞ。」
「確かにそうだが……なにもそこまでしなくてもよー……。」
「さっきも言ったが、これはお前が決めた事だ。だから俺は言われた事を従ってるだけだ。
とりあえず、あと三十分だから、それまで頑張れ。」
「くぅー……わかったよ……。」
と、数学の時間、ずっとちんぷんかんぷんの様子だった小笠原が肩を落とす。
なぜ、僕たちがこんなことをしてるのか。それは中学一年の頃、僕は、自分で言うのもなんだが、頭は良い方だ。そこまで勉強しなくても、自然的に授業で覚えてしまう。もちろん成績は常にトップクラスだった。それは今も変わらない。対して、小笠原は、そこそこという感じだ。良い方ではないが、一方で悪くもない。凡人ってところだ。
そんなある日、小笠原は僕に勉強を教えてくれないかと頼んできた。正直面倒臭かったし、放課後の自由時間を他人の勉強付き合いに費やしたくなかった。だが、「これ以上成績が悪くなったら、お袋にゲーム没収されちゃうんだよ!だから、頼む!お前頭良いし、付き合いも長いから、友達を助けると思って!この通り!」と、深く頭を下げられた。別に友達だと思ってないって何回も言ってるのだがな。一方的にそっちから絡んできてるだけなのだが、しかし、これだけお願いされて断るのはさすがに自分の良心が痛むため、承諾した。僕の教えが効いたのか、こいつの成績は上々に伸びていき、結果、僕が目標としていた、県の中でもトップレベルの進学校であるこの高校に見事二人とも合格したのだ。
でまあ、僕は入学後は以前より真面目に勉強をするようになった。高校の勉強が中学より難しくなるのもあるが、この高校は偏差値が高め。もちろん僕以上の成績優秀者がたくさんいる。だからその人たちよりも遅れをとってはいけないと思ったからだ。
さっきも言ったが、この高校は県の中でも偏差値が高め。なので授業レベルもかなり高い。数学、英語、現代文など、他の高校よりハイレベルで、且つ覚えることもたくさんある。
なので、授業についていけなくなるのが恐かったというのも理由の一つ。
一方、小笠原というと、難関高校に受かった満足感からか、気が緩んでしまい、全く勉強をしなくなった。もちろんそのおかげで、テストは毎回赤点スレスレ、酷いときは放課後補修を受けさせられている。
ある日小笠原がまた勉強に付き合ってくれないかと再度頼まれた。さすがにそれは自業自得なのだから自分でなんとかしてほしいと言いたかったが、僕にも人情があるため、ついほっとけなくなってしまい、現在もこうして放課後に誰もいないこの教室で、個人教師として勉強を教えている。まあ、そのおかげもあってか、最初の頃よりは成績は上がっているが、時間が経つと共に、こいつのやる気も減っていくわけで、最近はぶつぶつと文句を垂らしている。
まったく……こっちの気持ちも考えてほしいものだ……。
そんなことを考えながら、僕はこいつの勉強に付き合い続けた。少し時間が経った後、小笠原が僕に聞いた。
「そういえばお前、昼休みの時、授業開始ギリギリになって教室に入ってきたけど何してたんだ?」
「あー……そのー……」
さて、なんて言おうか。女子と話してたなんて言えないからな。僕がコミュ障ということはこいつも知っているわけで、絶対面倒なことになる予感しかしない。濁らしとくのも、逆に怪しまれるしな。
「少し、屋上で知り合いと駄弁ってただけだよ。」
「あれ、お前人と話すの苦手じゃなかったっけ?」
「コミュ障と言っても、ある程度慣れている人だったら多少は話せる。」
これは、嘘をついてはいない。今も小笠原とこうして普通に話せているし、彼女と屋上でよくわからん話をしたのもまた事実。
「なるほどなー。お前も成長してるんだな。」
「なんかお前にそう言われるとイラッと来るんだが。」
「別に良いじゃねーか。お前の事は俺はよく知っているつもりだぞ。そいつからの誉め言葉なんだから、素直に受け止めとけよ。」
「……僕はお前がよくわからないのだが。」
「まあ、俺は俺を隠しとおすつもりだからな。そっちの方が、ダークな雰囲気があってカッコイイだろ?さらけ出してる感を装っているけど、隠すときは隠す。たとえお前でも、言えない秘密がある。少なくとも皆そうだと思うぞ。人に言えない秘密を誰もが一つは抱えている。そうだろ?」
「……まあ、それは言えてるな。」
こいつは時々こんなことを言うやつだ。ダークな雰囲気に関してはともかく、普段とは裏腹に、何かしらしっかり考えて、行動をうつしている。
こんなことを話しててもアレなので、僕はこいつに勉強を促して、自分も教師目線として、教えることに集中した。
流れるように時間が経ち、勉強を終わらせた後、一人で通学路を辿っていた。
小笠原はというと、今日は少し用事があるということなので、僕と帰宅出来ないということだ。
それにしても、一人で帰ったのは、いつぶりだろう。僕は昔から、小笠原と登下校している。僕は、学校という場所では常に下位的ポジションだ。付け加えて、ぶっちゃけ人と関わりたくないため、少しだけ人と避けていた。小笠原は、クラスでは超が付くほどの人気者だ。持ち前の明るい性格で、人を寄せ付けやすい。告白されたって言葉を何回聞いたか……。そいつと正反対な僕は当然、人が寄ってくる事もなく、ただ単に、暇という空白の時間が過ぎるのを待つだけ。
だが、小笠原はそんな僕とも変わらず登下校してくれている。僕はなんとなくその時間が楽しく感じているため、そこだけは感謝している。
なぜ、あいつはこんな僕の近くにいるのだろう。普通ならば関係が薄れていってもおかしくはない。学校では、クラスの奴らと駄弁って、あまり僕に近づかないのに、放課後となると、「一緒に帰ろうぜ!」と、いつも歩み寄ってくる。
結構付き合い長いのに、僕は未だにあいつを理解が出来ない。あいつが僕の事をよく知って、僕はあいつの事が分からない。まるで、あいつと僕とは、距離が違う。手に届かないくらい、それぞれの世界が違うような感じだ。この敗北感と劣等感がどうしても拭いきれない。
「……とりあえず、早く家に帰って、小説の続きを読まないと。そろそろ終盤だっけかな。」
と、そんなことを呟いていると、
「えっ……。」
僕の前方には、昼休みに話をした彼女がいた。僕は気づかれないよう、息を潜めながら帰路を辿っていたつもりだが、不覚にも、地面に落ちていた木の枝を踏んで折ってしまった。その音に気づいて彼女が後ろを振り返った。
「あっ、歩くんだ!」
と、言いながらこちらに走り寄ってきた。
くっ……つい油断してしまった。
「もしかして、歩くんも家に帰ってる途中?それとも、どこかに寄っていくの?」
「い、一応帰ってる途中だけど……。」
「そうなんだ。私も家に帰ってる途中なんだ。一緒に帰ろう!」
と、彼女は笑顔を浮かべていった。こんな笑顔を見てしまったら断ることできないじゃないか!
「……いいよ。」
「やった!じゃあ、行こうか。」
そう言って彼女は歩き出した。
というか、屋上の時はペラペラと喋れていたのに、何で今はこんなにも緊張して喋れないんだよ!おかしいだろ!
そんなことを思っていると、
「なんで歩くんはこんな遅くに帰宅なの?」
と、聞いてきた。
「えっと、知り合いと放課後に教室に残って勉強を教えてあげてた。」
「ひえーー、なんか凄いね!よっぽど頭が良いってことでしょ?今度私にも勉強教えてよ!」
「あぁ……うん、わかった。」
あれ。なんかいつの間にか変な約束してないか。はぁぁ、緊張して会話が頭に入ってこない……。
「なんか歩くんの顔凄いよ。なんというか、顔面蒼白って感じ。大丈夫?」
と、彼女ら僕の顔の近くに顔を寄せた。
「ちょ……大丈夫だから!」
「あはは!なにそんなにビックリしてるの?」
と、彼女は声を出して笑った。ちくしょう……少しでいいから屋上の時の僕に戻ってよ……。
そんなことを思いながら、なんとか必死に彼女と話した。上手く話すことに夢中になっていた。しばらくすると、
「……あっ、ここの角曲がるから、ここでお別れだね。じゃあ、また明日ね!」
と言って、彼女は、帰路に向かって、歩を進めた。だが、僕はどうしても彼女に聞きたいことがあった。
「あ、あのさ!」
と言ったとたん、彼女は足を止めて、目を丸くしながら、振り返った。
「君の名前、教えてくれないかな?」
すると、彼女は、少しビックリしたような感じになった後、なぜか笑った。
「そっか、私の名前、君には言ってなかったもんね。」
そういった後、目線を僕に向けて言った。
「私は、愛。江田愛。これからは、愛って呼んでね。それじゃ、また明日ね!」
と言って、彼女は再び帰路に向かって歩き出した。
愛……か。やっと彼女の名前を知れた僕は、少しだけ、ふいにも笑顔を浮かべてしまう。なんというか、これからは結構関わりそうだなと思った。
それにしても、なんで愛はこんな遅くに帰宅してたのだろう。まあ、今考えてもしょうがないだろう。明日にでも聞けばいい話だ。それよりも、帰りの彼女との時間は、少し楽しかったと感じた。
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