体育会系の魔法使いは呪文が覚えられない~暴死するか先輩と寝るかの二択です~

清田いい鳥

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「いっ……!?」
「あれ?  痛かった?」

「あ、いたくはない、え?  なに?  え?」
「怖い?  見たらもっと怖くなるから、こっち向いててね」

 俺は今何をされているのかまるで分からず、パニックに陥っていた。
 背中に手を回され、抱き締められてキスされたと思ったら、俺はうつ伏せにコロンとひっくり返され、腰を持たれていた。
 尻を突き出す形になりこれはちょっと、見るのも怖いけど見えないのも、と振り返えろうと──

「あっ!!!  あっあっあっ」
「ごめんねーイッたばっかりなのに。でもこうすると気持ちいいからね」

 先輩がねっとり濡れた大きな手で、俺の肉竿を躊躇なく扱く。
 あまりにも強い性感に襲われ、俺の意志を無視して腰が上がってゆく。発情した雌猫のような、ここを触れと言わんばかりの体勢を、恥ずかしいのに自ら取ってしまう。
 頭の神経がジリジリと、焼かれている感触がした。

「はっ……はっ……、んっ、はぁっ……」
「ふふ、上手だねー。僕が動かさなくても自分で出来てるよ。えらいえらい」

 先輩がくつくつと笑っている。死ぬほど恥ずかしい、そして訳が解らないほど気持ちいい。
 でももう自分がなにをして、されているかなんて、どうでもよくなってきた。どうしよう、どうしよう、なんでこんなにきもちいい。

 こんなのダメなのに、ダメなのに。ダメなんだっけ。なにがダメなんだっけ。いいんじゃない…?
 ああきもちいい、きもちいい。もっとつよく。

 もっと、もっとつよくして。

「あっ、あっだめ、あっ、あっ、あっ」
「もう三本入ったよ。上手だねー。腰が動いてるの、分かってる?  自分で出来て偉いから、もっと気持ちいいのしてあげよっか」

 まさかと思ってたけど、指だったのか。
 よかっ…よくないよくない。それはそこに入れるもんじゃない。
 一瞬、意外に上品な手つきでカップを持っていた先輩の指先を思い出した。長くて綺麗だなと思った、あれがここに。

 探るような動きを感じ、次は何が始まるのか分からず一瞬ヒヤリとするが、今まで誰にもされたことなどない、人の手での愛撫。
 剣だこであろう硬いものが当たるたび、恐ろしいほど気持ちいい。

 あまりにもいやらしく、時折強引に、絶妙な加減で握られて擦れるたびにビリビリと走る甘い痺れに思考を支配され、それに浸ることをやめられなかった。
 もうイキたい。でももっと。
 イキたい。でも、イッたらおわっちゃう。

 それは突然やってきた。



「ああ!!…………はっ……、はあっ……、はあっ……」

 先程とは比べものにならないほどの、急所を起点に足の指先、頭の天辺までに物凄い速さで電流が走った。
 それを感じた瞬間、先ほどより強い光が視界の全てを一気に奪い、顔を殴られたときのようにバチン、バチン、と星が散った。
 息が切れ、墜落するようにベッドに沈むと、シーツに押し付けた耳から心臓がバクバクと鳴る音が聞こえる。心臓が耳に生えたようだ。
 身体が小刻みに痙攣する。萎え切った脚が震え、忘れていた疲労感が全身を満たし始めた。



「…………ネオくん。僕は君が凄く心配だよ」
「…はっ、…はっ、…はっ、…………はあっ」

「…ごめんね。いい子だからちょっと付き合って」
「…はあっ、……あ、あんっ、あんっ!」

 ブルーノ先輩はゆっくり俺を仰向けにして上から跨ぎ、互いの肉竿を纏めて持ち腰を動かし始めた。
 二度も達したはずだし、股間はベトベトに濡れているのに、精液はろくに出ていなかった。…じゃあさっきのは?
 分からないことを考えている余裕はあっという間に塗りつぶされた。

 いつもは優しく微笑んでくれ、柔らかく弧を描いているはずの先輩の目は今、瞳孔が開いて鋭い。怖い顔の、全然知らない男の人に見える。
 先輩の喉から響くいつもの優しい声は、今や何かを堪えるようで、湿度を含んで時折喘ぎを漏らす。それを耳で拾うたび、心臓をギュウと掴まれる心地がした。

 イキたいけどイキたくない、あのまるで制御の利かない感覚にまた全身が犯された途端、目の前が白け、喉から声が勝手に漏れ、ビュルビュルと白濁した液体が勢いよく俺の身体に飛び散った。
 俺の背中に手を回し、肩に頭を押し付け、呼吸を乱す先輩の吐息を耳朶で拾うたび、心臓が勝手に収縮し続け、止まらない。

 行為の中で、俺はずっと思っていた。
 まるで愛されているみたいだと。



 いや待て。相手は(ピ──)人切りだ。落ち着くんだイレネオ。

 強烈な体験のせいで、俺の精神は回復待ち状態だ。
 忘れていたのが不思議なくらいの身体の軋みにまた襲われ、しばらくはろくに動けなかった。

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