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友人
しおりを挟む「お~いアイン! 大丈夫だったか?」
アインがソフィアと自己紹介を済ませた直後。
赤髪の少年シルバが駆け足でアイン達の元にやって来た。
「シルバ、無事だったか」
「おうよ、それよりケルベロスはどうなった?」
「まぁ見ての通りかな」
シルバがケルベロスの亡骸に視線を移す。
目を見開き、驚いたような声を上げた。
「おぉ! こりゃ派手にやったな。アインが倒したのか?」
「いや、僕じゃない。これはソフィアが倒してくれたんだ」
「ソフィア?」
「こんにちは。私はソフィア・エスカトル。気軽にソフィアって呼んでね」
「あんたがソフィアか! 俺はシルバ・ゴルディドール。シルバで良いぜ」
笑顔で語り掛けるソフィアと胸をどんと叩くシルバ。
二人はお互いに自己紹介を済ませ、握手を交わした。
「そうだアイン! もう式典が始まるぞ? それを急いで伝えに来たんだ」
「そうだったのか。ありがとうシルバ。大講堂は......向こうか。その前にこのケルベロスは......」
「そのままでいいだろ。教員達に任せようぜ」
「分かった。急いで向かおうか」
アイン達は足早に大講堂に向かった。
大講堂の中に入ると、自分達で最後だったのか、他の生徒は皆整列を済ませていた。
アイン達も後ろの方で列を組み、式典の開始を待つ。
「あぶね~。間に合ったか」
「すごい新入生ってこんなに沢山居たんだね」
「あぁ。僕達で最後みたいだ」
アイン達が列に着いたと同時に壇上に一人の男が現れた。
男は拡声魔法を使って大講堂に声を響かせる。
「皆の者静粛に! 今から式典を始める。校長先生が不在の為、代わりに教頭であるこのダガース・ヘンドリクセンがこの場を取り仕切る」
白髪交じりのグレーヘアー。
中肉中背。
自分は何者も信用してないと言うような厳しい顔つき。
その姿は、式場を揺らす低い声も相まって威厳を感じさせる。
アインはぐっと唇を噛み締めた。
「校長先生から預かった言付けは二つ」
人差し指と中指を立て語り掛けるダガース。
「1つ。君たちはこの学舎で魔道を極める。それは各地で増加しつつある魔物に対抗する力をつける為だ。そして、生半可な気持ちでは魔物に太刀打ち出来ない。だから死ぬ気で、言葉通り死んでも強くなる必要がある。従って遊び半分で入学した者に用はない。すぐに学内から立ち去って貰って結構」
会場がざわついた。
新入生を贈る言葉にしては些か厳しい。
死んでもなんて言われれば誰でも怯えることだろう。
しかし、言っていること自体は正論だ。
魔物と戦うことはそれなりの覚悟と力が必要になる。
ここで怖じ気づくようならば、覚悟が足りてないと言う事だろう。
「そして、二つ。それでもこの場に残った新入生入学おめでとう。行き着く先は魔物の餌か人々の英雄か。私は後者であることを願っている。以上」
言付けを言い終えたダガースが壇上を後にする。
アインは額に汗をかく。
それと同時に疎らな拍手が発生した。
「アイン。お前怖い顔してたけど大丈夫か?」
「大丈夫だシルバ。少し緊張しただけだ」
「何だお前でも緊張するのか! ずっと冷静そうにしてたからよ、ちょっと安心したぜ」
シルバがガハハと笑いながらアインの背中を叩く。
アインの強張った体がピクリと羽上がる。
「今のスピーチ私たちをわざと怖がらせようとしてたもんね。素直に入学おめでとうで良いのにね」
眉を上げてやれやれといった表情のソフィア。
シルバがそれに同調し首を振って頷いた。
そんな二人を見て、アインは少しずつ気持ちを落ち着かせる。
「そうだね。こんな事で怖じ気づいてちゃいけない。学院生活はまだ始まったばかりだしね」
「そうだぜアイン。俺だってここから最強の魔大剣使いになるんだ。こんな脅し屁でもねぇよ」
「そうそう。難しく考えずに行こ。困ったら私達に相談してくれれば良いし」
「おうよ」
アインを気遣い言葉を掛けてくれる少年少女。
──入学早々良い友人に巡り会えたものだ。
今日知り合ったばかりの彼らだが、一緒にいて居心地の良さすら感じる。
思い詰めても仕方がない。
アインの中で渦巻いていた感情が少しずつ薄れていく。
「ありがとうシルバ、ソフィア。皆で良い学院生活にしよう」
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