The war of searching

黒縁めがね

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コーラス遺跡都市防略

第32話コーラル防略、12/言霊/恨めしや/面倒くさい女

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防壁上北西。壊れた人形達に紛れドラゴ兵団の兵士たちの無残に打ち捨てられた死体が多数転がっていた。その死体の山達の上に立つ生きているであろうドラゴ兵団員はアメリナ、デイビッド、アルチンゲールを覗き僅か21人。
もはや戦える状況では無かった。
「生き残りは…これだけか…」
頭に包帯をぐるぐると巻きつけたアメリナ団長はその光景に戦慄する。それとは対照的に生き残った団員達はどこか誇るように、生き残った者同士で笑い合い、話し合っていた。そこへ、左腕に包帯を巻きつける気絶したデイビッドを支えるアルチンゲールがやって来た。
「あぁ、生き残りはこれだけ。だけど、これだけの生き残りが、君の言った故郷のために、大切な人や家族のために、奪われないために、君の言葉で立ち上がった。」
「そうか…そうだな。」
団長はそうとだけ言った。


アメリナ団長は側塔の上に本隊を呼び寄せ、軽くミーティングを行っていた。
「本隊はデイビッドを除いて無傷みたいだな。これからは続けて戦ってもよさそうだ。」
アメリナ団長は、ボロボロだが目立った外傷の無いデイビッド以外の本隊の面々を見てそう言った。本隊員達はその団長の言葉に苦笑いする。
「団長ぉそれはじょーだんキチィっすよ、本当!」
とレワイドは言った。
団長はそれを聞くと、「もちろん冗談だ」と鼻で笑いながら言う。一同はそれを聞くと、軽く笑い少し場が和んだ。それは少し不謹慎でもあるが、戦闘後は精神的にも肉体的にも辛い故、それらを紛らわせる為の行為でもあった。
そして、団長は真剣な面持ちに表情を変え口を開く。
「この後全体でも話をするが、これ以上の作戦行動は不可能だ。一度遺跡省に戻り補給し、ミレス軍大隊と合流、一時的に合併する。」



~~~


コーラルへ入る事を可とする三つの門のうちの一つがある防壁南部下。大隊、騎兵隊達はライカード軍と交戦中であった。
「-ー___!」
右首筋を大きく裂かれた帝国兵は「ぐぼぐぼ」
と、断末魔にならない断末魔をあげながら地に沈む。
「ノミの駆除は疲れるなぁ。」
倒れて行く帝国兵をゴミを見るような目で見ながらそう呟くメネ。
「あぁぁぁ!」
右からメネの頭を叩き割ろうとバスターソードを上段に構え、迫り来る帝国兵。メネは振り下ろされたそれを後ろに一歩下り躱す。メネはそのままその帝国兵の左足に右キックを叩き込んだ。そのまま倒れた帝国兵の空いたうなじへメネは右手に持つツヴァイヘンダーを突き刺す。
帝国兵は声も上げずにぐったりと地面に転がる。即死のようだった。
メネは防壁の方へ振り向く。
防壁の上に立つ1人の青髭を生やした男に目が着く。その人物は、大隊長だった。
メネは眉間に皺を寄せ、大隊長を睨む。
メネは確かに覚えていた。アメリナと共謀し自身を傷つける為デイビッドを人質にした下劣で矮小な男。こと戦場においては、弱みを晒した者から奪われ、死んでいく。それは当たり前である。そもそも、弱みを握られた方が戦場においては悪いし、憎むのは不相応でもあった。それはメネには分かりきっていた事だが、メネはそんな事などどうでも良いほどにただ大隊長が憎く、恨めしい。だがそれは仕方ないことでもあった。

何せ、自身の唯一の家族以上の存在に傷をつけようとしたのだから。



~~~



「お、いるなぁ昇進首。」
大隊長は壁の下でメネを見てそう言った。
メネは転けた帝国兵のうなじにツヴァイヘンダーを突き刺し、引き抜くとこちらを見る。
どうやら大隊長に気づいたようだ。メネは大隊長を睨みつける。大隊長は一瞬首を傾げた、が何となく心当たりがようだった。
「おい、ロビン。アメリナの隊の例の奴は確かデイビッ"ト"だったか?デイビッ"ド"だったか?」
背後に立つロビンに問いかけた大隊長。
「…あぁ、えっと多分デイビット"ですね。」
ただしくはデイビッ"ド"だ。
大隊長は何となく、テリウス砦での人質作戦の事を思い出し後頭部を掻いた。大隊長は踵を返し、歩き出しながら言った。
「行くぞぉ、ロビン。」
「はい。」
ロビンはそうとだけ言うと大隊長の後に続いて行く。大隊長は、歩みを進めながら呟いた
「全く、今回は面白く無さそうだな。」
そう思うのも無理はない。
相手は世界一面倒くさい女、メネなのだから。
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