The war of searching

黒縁めがね

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コーラス遺跡都市防略

第33話コーラル防略、13/都合/黒き悪魔のそのゆえは/陰湿陰口隊

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「ア、アルドラ弓兵長その格好、どうしたのですか?!」
遺跡省本庁第1回入り口、そこへ一時退却したドラゴ兵団、アメリナ団長は身体中に軽い擦り傷や、切り傷、そしてなぜか煤まみれのアルドラにそう聞いた。アルドラは答える。
「はは、私は何ともありません。しかし、賊が遺物を二つほど盗んで行ってしまいました…すみません。」
そう頭を下げるアルドラを見て、アメリナは後ろめたそうに、何か言いたげにオドオドとしながらアルドラを見ていた。アルドラは頭を上げると、アメリナの背後に立つ僅かな数の兵団員達を見て口を開いた。
「それはそれとして、その顔の包帯とそこの少数の負傷した兵士達は…?」
アメリナはその問いに答えた。
「北西の壁にて"トルミアの執行騎士"の1人と交戦、勝利しました。ですが、ご覧の通り損害が激しくここまで一時退却しました。」
「なるほど。執行騎士撃破を喜びたいところですが、まずは手当をしましょうか。」
アルドラはそういい、アメリナ達を牽引しながら入り口の奥へ進んで行った。


~~~


あれから兵団は遺跡省1階に位置する治療簡易室に移動し傷の手当てや破損した装備の換装などを行っていた。そしてアルドラとアメリナは治療簡易室の扉のすぐ横にて、軽くこれからの作戦行動について話し合っていた。
「一先ず、動ける者を集め南部で交戦中と聞いた本隊、騎兵隊と増援として合流する予定です。」
アメリナはそうアルドラに言った。
だが、戦闘に参加できそうな者はアメリナ含め僅か13人、いくらアメリナの炎が強いと言っても大軍には勝てない。それを増援と呼ぶにはお粗末すぎる。アメリナはそれも重々承知の上でそう言っており話し合いと言ってもほぼアメリナの相談であった。アルドラはその言葉を聞いて顎を左手で摘み、右手を腰に添えながら考え込む。
「であれば、私の隊からも連れて行ってもらってもよろしいでしょうか?」
アルドラの提案にアメリナは驚いたように答えた。
「よ、よろしいのですか?」
アルドラは、その問いに笑顔で答える。
「えぇ、もちろんです。大隊が相手にしているのはあの"黒い悪魔"だそうですから。」
「…ありがとうございます。少しお時間を下さいませんか?」
アルドラはアメリナのその答えに頷き、医療簡易室へ入って行った。アメリナは腕を組み考え込む。一見落ち着いているようだがアメリナは内心、かなり焦っていた。黒の悪魔、メネと言う存在に。
("黒の悪魔"、何故このタイミングなんだ!)
黒の悪魔___メネとの邂逅は、アメリナには都合があまりにも悪かった。それは"数の差"でも、"ギフトの差"でもない。その"都合"と言うのはデイビッドの事であった。メネはデイビッドがこのコーラル遺跡都市遺跡省本庁に居ると知れば、どんなに守りを固めても攻め落とすだろう。それに嘘偽りは無い。なぜなら、テリウス砦での思い出したくも無い人質作戦にてメネの取った行動が何よりもの証拠なのだ。最も、証拠はそれしか無いのだが。
「クソ、ここまで来たらやるしか無いか…」
アメリナは一呼吸し、医療簡易室のドアをゆっくりと開けた。



~~~




防壁南部下。
両国の兵士達が斬り合い刺し合い殴り合い、血が舞い、死体が転がる阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。そしてその戦場の中心、門の前に2人の戦士が立っていた。
「6年前のロックヴェール平原、11歳の黒い鎧を着た少女が率いた5000の軍勢で2万に勝ったって話しがある。あれはお前なのは確か何だけどよぉ、そいつぁ本当なのか?」
大隊長はそう目の前に立つメネへ語りかけながら鞘から引き抜いたブロートを恍惚とした表情を浮かべながら眺める。メネは大隊長を睨みつけながら、その言葉に答えた。
「あぁ、八割正解だ。ただしくは4000弱だ。
おいクズ、さっさと始めないのか?」
メネの物言いに大隊長は鼻で笑いながら、メネに3歩近づく。メネはそれに合わせながらツヴァイヘンダーを左半身を引き剣先を右目に突きつけるように構えた。両者はお互いの間合いの上へに立っている。大隊長はニヤニヤと笑い、瞳に獣を宿らせながら呟いた。
「さーて、赤色勲章がまた増えちまうなぁ!」
メネはその言葉を意に介さず、大隊長の顔に向けツヴァイヘンダーを突き出した。



~~~




「もう始まっていたか。」
山の森林の中から姿を露わにした1万ものライカードの軍勢。その先頭にて馬に乗ったマイクがそう、そっと呟いた。
マイクの横からもう1人馬に乗った男が現れた。それは、ベルグからの退却時にマイクを馬に乗せた男___ブロウズだった。
ブロウズは何処か面白がったように言う。
「少しで遅れちまったな。メネ大尉がおっかないねぇ。」
マイクは鼻で笑いながら言った。
「元からおっかねぇよ。」
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