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第2章 夏と奉仕
決戦
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古庵瑠凪は目を覚ますと大きく伸びをした。
枕元に置いてある目薬をさし、数秒ほど唸った後、起き上がる。
ベッドから降りて洗顔や歯磨き、着替えを手早く済ませると、スマホの電源を入れて現在の時間を確認。
「やばいやばい」
思いの外余裕がないようで、忙しなく動き始める。
テレビをラックごと動かし、ベランダのシャッターを閉め、細々としたものをクローゼットの中に詰め込む。
そうして部屋の物のほとんどを綺麗さっぱり無くしてしまうと、財布や鍵などの貴重品をポケットに入れて玄関へ向かった。
玄関に置いてある靴もシューズボックスにしまい、もう一度部屋に戻ってやり忘れがないか確かめる。
部屋の扉を背にして右側にはテレビ、左側には掛け布団が畳まれていた。
左側背後にあるクローゼットにはテレビのリモコンやゲーム機などが乱雑にしまい込まれており、買ってから一度しか使っていないプロジェクターが折戸から顔を覗かせている。
その足元に落ちていた何かのリモコンを手に取り、クローゼットを見つめるが、入れられるところを見つけられなかったのかシューズボックスの上に置く。
確認を済ませた後は、一足だけ玄関に残しておいた靴を履いて外へ出る。
扉を閉めると、それを見つめて少しの間考える。
そうして何か思いついた瑠凪はもう一度部屋へ戻り、2分後に戻ってきた。
再び共用廊下に出ると、扉に張り紙をして、準備万端という風に深く頷くと、満足気に歩き出した。
大学に着くと、自分が受講している講義に脇目も振らず、彼はKLの教場へ向かう。
途中、これまでの依頼で関わってきた生徒たちに声をかけられると、胡散臭い笑みと共に挨拶を返す。
教室棟に入るとエレベーターの方をチラリとみるが、生徒が数人並んでいたので諦めて階段へ向かうことにする。
日頃から人並みには鍛えているはずだが、三階へ上がるころには息を切らしていた。
「はぁ……なんかキツイな今日……早起きしたからか?」
四階に続く踊り場から七緒の姿が見えた。
普段は肌の露出が少ない彼女は、珍しく短いスカートを履いている。
「…………見えるぞ」
「ギリギリ見えない長さを狙ってるんですよ。ほら、見えそうで見えないのが一番良いってよく言いません?」
「バッチリ見えるのが一番良いよ。あ、見せろって言ってるわけじゃないぞ」
言葉を続けながら四階への階段を登りきると、七緒の目の前に立つ。
「まぁでも、踊り場から見上げるシチュエーションは漫画みたいで良かったぞ。雰囲気あって」
「え、わかりました? 運命の出会い感あるっていうか、目を大きく見せるためにわざわざラメ多めにしてきたんですよ」
「その時のヒロインの視線の先によって展開が変わったりするからな。やるじゃん」
「んへ、そう言ってもらえてよかったです」
気持ちの悪い笑い方はスルーして、瑠凪はKLの教場の扉を開く。
「よお、待ってたぞ」
扉を開けて最初に目に入ったのは蓮だ。
椅子に座らず、そわそわと歩き回っている。
「おはよー。昨日はすぐ帰って寝たよ」
「はぁ……マジで一日経つの早すぎ……」
その背後には安田、そしてゲンナリしている夕莉の姿が。
「ちょっと、なんでそんなに元気ないわけ?」
「いや、自分の彼氏が浮気してる証拠見せられるって知ってて寝れるわけなくない? お陰で韓ドラ見終わったちゃった……」
「それって恋愛もの? よく見れるね」
「恋愛ものじゃなくてサバイバルものだし……最後の方でカップルできてたけど……」
いつもなら勇猛果敢に安田に食ってかかる夕莉だが、今日ばかりはその牙に光はなかった。
「古庵、言われた通り動きやすい服装にしてきたんだけど……一体何の意味があるんだ?」
上下ジャージというのが今日の蓮の服装だった。
スポーツをおしゃれに取り入れているわけではなく、純粋に運動するための装い。
昨晩、できる限り動きやすい格好でくるようにと瑠凪からメールがあったからだ。
「備えあればなんとやらだ。場合によっては何もしない可能性もあるけど、一応準備運動はしておけよ」
「わ、わかった」
丁寧に屈伸を始めた蓮を横目に瑠凪は声を上げる。
「それじゃあ全員揃ったことだし、ぼちぼち向かうぞー」
「……向かう?」
前屈をしながら蓮が疑問を口にする。
「おう。今日はみんなで……本当はめちゃくちゃ嫌なんだけど、行かなきゃいけないところがある」
「おいおい、ちょっと待てよ」
上体を旋回させながら、さらに質問を続ける。
「今日は櫂を呼び出すんじゃないのか? てっきり、ここに櫂を連れてきて尋問するのかと……」
「そんなことはしない。呼んだところであいつは来ないか、小賢しく切り抜ける方法を探してから来るだろうからな。だから俺たちの方から櫂のところへ出向く」
安田と夕莉の表情が僅かに固まる。
「それは分かった……けど、まだ紫ちゃんがいないぞ? 彼女も依頼人の一人だし、いた方がいいんじゃないか?」
軽くジャンプしながらの問い。
「あぁ、紫については心配しなくていい。待ち合わせしてるからな」
「そう……なのか。了解だ」
一通りの謎を解消したことで、瑠凪以外の人間は口を閉じる。
「はい、じゃあ行くから荷物持って」
瑠凪は、他のメンバーが準備している間、鼻歌混じりに美少女スマホゲームのデイリーミッションを消化していた。
既に準備が終わっている七緒は、瑠凪の女性の好みを把握しようとそれを後ろから見ている。
安田はパテントカーフスキンの小さいバッグから口紅を取り出し、手鏡で確認しながら容姿を整える。
夕莉は何度もため息を吐きながらも用意を済ませた。
深呼吸を終わらせてストレッチ完了と思っていた蓮は、伸脚を忘れていたことに気付き、呑気に準備運動を再開した。
枕元に置いてある目薬をさし、数秒ほど唸った後、起き上がる。
ベッドから降りて洗顔や歯磨き、着替えを手早く済ませると、スマホの電源を入れて現在の時間を確認。
「やばいやばい」
思いの外余裕がないようで、忙しなく動き始める。
テレビをラックごと動かし、ベランダのシャッターを閉め、細々としたものをクローゼットの中に詰め込む。
そうして部屋の物のほとんどを綺麗さっぱり無くしてしまうと、財布や鍵などの貴重品をポケットに入れて玄関へ向かった。
玄関に置いてある靴もシューズボックスにしまい、もう一度部屋に戻ってやり忘れがないか確かめる。
部屋の扉を背にして右側にはテレビ、左側には掛け布団が畳まれていた。
左側背後にあるクローゼットにはテレビのリモコンやゲーム機などが乱雑にしまい込まれており、買ってから一度しか使っていないプロジェクターが折戸から顔を覗かせている。
その足元に落ちていた何かのリモコンを手に取り、クローゼットを見つめるが、入れられるところを見つけられなかったのかシューズボックスの上に置く。
確認を済ませた後は、一足だけ玄関に残しておいた靴を履いて外へ出る。
扉を閉めると、それを見つめて少しの間考える。
そうして何か思いついた瑠凪はもう一度部屋へ戻り、2分後に戻ってきた。
再び共用廊下に出ると、扉に張り紙をして、準備万端という風に深く頷くと、満足気に歩き出した。
大学に着くと、自分が受講している講義に脇目も振らず、彼はKLの教場へ向かう。
途中、これまでの依頼で関わってきた生徒たちに声をかけられると、胡散臭い笑みと共に挨拶を返す。
教室棟に入るとエレベーターの方をチラリとみるが、生徒が数人並んでいたので諦めて階段へ向かうことにする。
日頃から人並みには鍛えているはずだが、三階へ上がるころには息を切らしていた。
「はぁ……なんかキツイな今日……早起きしたからか?」
四階に続く踊り場から七緒の姿が見えた。
普段は肌の露出が少ない彼女は、珍しく短いスカートを履いている。
「…………見えるぞ」
「ギリギリ見えない長さを狙ってるんですよ。ほら、見えそうで見えないのが一番良いってよく言いません?」
「バッチリ見えるのが一番良いよ。あ、見せろって言ってるわけじゃないぞ」
言葉を続けながら四階への階段を登りきると、七緒の目の前に立つ。
「まぁでも、踊り場から見上げるシチュエーションは漫画みたいで良かったぞ。雰囲気あって」
「え、わかりました? 運命の出会い感あるっていうか、目を大きく見せるためにわざわざラメ多めにしてきたんですよ」
「その時のヒロインの視線の先によって展開が変わったりするからな。やるじゃん」
「んへ、そう言ってもらえてよかったです」
気持ちの悪い笑い方はスルーして、瑠凪はKLの教場の扉を開く。
「よお、待ってたぞ」
扉を開けて最初に目に入ったのは蓮だ。
椅子に座らず、そわそわと歩き回っている。
「おはよー。昨日はすぐ帰って寝たよ」
「はぁ……マジで一日経つの早すぎ……」
その背後には安田、そしてゲンナリしている夕莉の姿が。
「ちょっと、なんでそんなに元気ないわけ?」
「いや、自分の彼氏が浮気してる証拠見せられるって知ってて寝れるわけなくない? お陰で韓ドラ見終わったちゃった……」
「それって恋愛もの? よく見れるね」
「恋愛ものじゃなくてサバイバルものだし……最後の方でカップルできてたけど……」
いつもなら勇猛果敢に安田に食ってかかる夕莉だが、今日ばかりはその牙に光はなかった。
「古庵、言われた通り動きやすい服装にしてきたんだけど……一体何の意味があるんだ?」
上下ジャージというのが今日の蓮の服装だった。
スポーツをおしゃれに取り入れているわけではなく、純粋に運動するための装い。
昨晩、できる限り動きやすい格好でくるようにと瑠凪からメールがあったからだ。
「備えあればなんとやらだ。場合によっては何もしない可能性もあるけど、一応準備運動はしておけよ」
「わ、わかった」
丁寧に屈伸を始めた蓮を横目に瑠凪は声を上げる。
「それじゃあ全員揃ったことだし、ぼちぼち向かうぞー」
「……向かう?」
前屈をしながら蓮が疑問を口にする。
「おう。今日はみんなで……本当はめちゃくちゃ嫌なんだけど、行かなきゃいけないところがある」
「おいおい、ちょっと待てよ」
上体を旋回させながら、さらに質問を続ける。
「今日は櫂を呼び出すんじゃないのか? てっきり、ここに櫂を連れてきて尋問するのかと……」
「そんなことはしない。呼んだところであいつは来ないか、小賢しく切り抜ける方法を探してから来るだろうからな。だから俺たちの方から櫂のところへ出向く」
安田と夕莉の表情が僅かに固まる。
「それは分かった……けど、まだ紫ちゃんがいないぞ? 彼女も依頼人の一人だし、いた方がいいんじゃないか?」
軽くジャンプしながらの問い。
「あぁ、紫については心配しなくていい。待ち合わせしてるからな」
「そう……なのか。了解だ」
一通りの謎を解消したことで、瑠凪以外の人間は口を閉じる。
「はい、じゃあ行くから荷物持って」
瑠凪は、他のメンバーが準備している間、鼻歌混じりに美少女スマホゲームのデイリーミッションを消化していた。
既に準備が終わっている七緒は、瑠凪の女性の好みを把握しようとそれを後ろから見ている。
安田はパテントカーフスキンの小さいバッグから口紅を取り出し、手鏡で確認しながら容姿を整える。
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