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第3章 秘密
手助け
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とは言ったものの……。
「正直なところ、全然知識がないんだが……二人はどうだ?」
今日のところは加賀美さんには帰ってもらい、サークル内で作戦会議をすることにした。
そうして二人に意見を仰いでみたが……。
「まったく分からないかな。友達にそういうお店で働いてる子もいないし」
「私は今回はあんまり手伝う気はありません。と言っても、そもそも無知なんですけど」
「そうかぁ……」
早くもお手上げ状態である。
「先輩は知り合いに詳しい人はいないんですか?」
「うーん……」
声高らかに「メイドカフェ通ってます!」っ言うやつも少ないだろう。
俺の知っている限り、そういう知識がある奴は……。
「……いるにはいるな。ちょっと連絡してみるか」
スマホを取り出してメッセージアプリを開く。
その中でも、一番上に会話を固定している人間のトークを開いた。
そう、知識がありそうなやつとは、KLの創設メンバーであり現部長の二階堂楽人である。
おそらく今は講義中かピチュランダとかいうマイナースポーツの練習中なので、邪魔しないようにメッセージだけ送ったおいた。
「え……二階堂くんってそういう趣味まであるの……?」
俺のスマホを覗き見た紫が引き気味な反応をする。
「いや、あいつも大変なんだよ。スポーツに一途だから異性と親睦を深める余裕もあんまりなくてさ。そういう時に便利なのがメイドカフェってわけ」
金を払っているわけだし、こちらが禁止事項を守っていればメイドさんは優しく接してくれる。
たとえ表面上であったとしても、好意を向けられていると実感することでしか得られないマイナスイオン的な成分があるのだ、多分。
「いや、それって悲――」
「七緒は楽人が来ても絶対に煽るなよ。泣いちゃうから」
前回の依頼以降、楽人にも急速に春が訪れそうではあるし、あまり気にすることではないかもしれないが。
そんなことを考えている時、手元のスマホが振動するのを感じた。
見ると他でもない楽人からの返信で、ちょうど休憩中らしくこちらへ顔を出してくれるそうだ。
「よーう元気か~!」
10分ほど経って、やかましい挨拶と共に楽人がやってくる。
「よう瑠凪、今日も綺麗な白髪だな!」
「そういう楽人こそ団子の形が良いな」
「はっはー気付いたか! 昨日美容院行ってきたんだよ!」
ハイテンションぷりから察するに、あのギャルとは上手くやれているらしい。
順風満帆と顔に書いてあるようだ。
「やぁ七緒ちゃんに音羽さん! 久しぶりだね!」
「…………お久しぶりです」
「久しぶり」
紫はただ普通に挨拶を返しただけだったが、七緒は心底不快そうな表情をしていた。
おそらく、名前を呼ばれたことが嫌だったのだ。
だが、二人の間には明るみに出過ぎている密約があるため、しょうがなく納得したと言う感じだ。
「良い挨拶だぁ! それで、今日は俺のスペシャルなフィジカルとブレインを借りに……あ、はいごめんなさいちゃんとします」
誰も何も言っていないが、その視線の冷たさに気が付いたようだ。
正気に戻った楽人に質問してみる。
「新しい依頼でさ、売れたいメイドさんが来たんだよ。それで、お前よくメイドカフェとかコンカフェ行ってるからアドバイスもらえないかなって」
「はいはいそう言うことね。それなら俺に任せてくれ!」
胸をドンと叩き、輝く笑顔を見せつけてくる。
もっと命の危機を救う場面とかでやってほしいな。
「まぁ、俺から言わせればメイドさんは愛嬌よ」
「愛嬌……」
楽人はホワイトボードの前に立つと、ペンを片手に解説を始めた。
「要するに俺みたいな客は……っていうか俺は疲れてるんだよ、人生にな」
「いや、楽人はピチュランダでこの上なく人生を楽しんでないか?」
「それはそうだ。けど、人間の3代欲求は分かるだろ? 食欲、性欲、睡眠欲。そのうち食欲と睡眠欲はピチュランダでカバーできるけど、性欲だけはどうにもならない」
ピチュランダって食欲と睡眠欲は満たせるのか!?
どんなスポーツなんだよ……。
っていうか、性欲の説明で女子二人が軽蔑の視線を送っているぞ。
「だが、何も性欲ってのはそういう行為をするためだけじゃない」
彼はホワイトボードを勢いよく叩くと、大声で叫ぶ。
「つまり、可愛い女の子とお喋りするだけでも人生は華やかになるんだ!」
「………………おお」
これが真理だと言わんばかりのキメ顔。
俺は微妙な反応をし、七緒は本を読み出し、紫はスマホを見ていた。
「……なんか、『こいつの言うこと参考にならないから聞かなくて良いや』って顔してない?」
「すごいな。女子と話すようになって人の気持ちにまで聡くなったのか」
「酷くない!? 俺、結構良いこと言ってるよ!?」
甚だ疑問だったが、彼の言葉の続きを聞いてみることにした。
「今のは変な言い方だったかもしれないけど、仕事とか学校で疲れてる時に、メイドさんが笑顔で話してくれたら癒しになるだろ?」
「それは確かに」
自分の話を嫌な顔をせずに聞いてくれると言うのはかなり嬉しい。
その相手が可愛い女子ならなおさらだ。
「いいや、わかってないね」
やっと同調できたと言うのに突き放されてしまった。
楽人は俺の両肩を掴み、諭すように言う。
「……まずは行ってみろよ。メイドカフェに……な」
女子二人の座っていた椅子がガタッと音を立てた。
「正直なところ、全然知識がないんだが……二人はどうだ?」
今日のところは加賀美さんには帰ってもらい、サークル内で作戦会議をすることにした。
そうして二人に意見を仰いでみたが……。
「まったく分からないかな。友達にそういうお店で働いてる子もいないし」
「私は今回はあんまり手伝う気はありません。と言っても、そもそも無知なんですけど」
「そうかぁ……」
早くもお手上げ状態である。
「先輩は知り合いに詳しい人はいないんですか?」
「うーん……」
声高らかに「メイドカフェ通ってます!」っ言うやつも少ないだろう。
俺の知っている限り、そういう知識がある奴は……。
「……いるにはいるな。ちょっと連絡してみるか」
スマホを取り出してメッセージアプリを開く。
その中でも、一番上に会話を固定している人間のトークを開いた。
そう、知識がありそうなやつとは、KLの創設メンバーであり現部長の二階堂楽人である。
おそらく今は講義中かピチュランダとかいうマイナースポーツの練習中なので、邪魔しないようにメッセージだけ送ったおいた。
「え……二階堂くんってそういう趣味まであるの……?」
俺のスマホを覗き見た紫が引き気味な反応をする。
「いや、あいつも大変なんだよ。スポーツに一途だから異性と親睦を深める余裕もあんまりなくてさ。そういう時に便利なのがメイドカフェってわけ」
金を払っているわけだし、こちらが禁止事項を守っていればメイドさんは優しく接してくれる。
たとえ表面上であったとしても、好意を向けられていると実感することでしか得られないマイナスイオン的な成分があるのだ、多分。
「いや、それって悲――」
「七緒は楽人が来ても絶対に煽るなよ。泣いちゃうから」
前回の依頼以降、楽人にも急速に春が訪れそうではあるし、あまり気にすることではないかもしれないが。
そんなことを考えている時、手元のスマホが振動するのを感じた。
見ると他でもない楽人からの返信で、ちょうど休憩中らしくこちらへ顔を出してくれるそうだ。
「よーう元気か~!」
10分ほど経って、やかましい挨拶と共に楽人がやってくる。
「よう瑠凪、今日も綺麗な白髪だな!」
「そういう楽人こそ団子の形が良いな」
「はっはー気付いたか! 昨日美容院行ってきたんだよ!」
ハイテンションぷりから察するに、あのギャルとは上手くやれているらしい。
順風満帆と顔に書いてあるようだ。
「やぁ七緒ちゃんに音羽さん! 久しぶりだね!」
「…………お久しぶりです」
「久しぶり」
紫はただ普通に挨拶を返しただけだったが、七緒は心底不快そうな表情をしていた。
おそらく、名前を呼ばれたことが嫌だったのだ。
だが、二人の間には明るみに出過ぎている密約があるため、しょうがなく納得したと言う感じだ。
「良い挨拶だぁ! それで、今日は俺のスペシャルなフィジカルとブレインを借りに……あ、はいごめんなさいちゃんとします」
誰も何も言っていないが、その視線の冷たさに気が付いたようだ。
正気に戻った楽人に質問してみる。
「新しい依頼でさ、売れたいメイドさんが来たんだよ。それで、お前よくメイドカフェとかコンカフェ行ってるからアドバイスもらえないかなって」
「はいはいそう言うことね。それなら俺に任せてくれ!」
胸をドンと叩き、輝く笑顔を見せつけてくる。
もっと命の危機を救う場面とかでやってほしいな。
「まぁ、俺から言わせればメイドさんは愛嬌よ」
「愛嬌……」
楽人はホワイトボードの前に立つと、ペンを片手に解説を始めた。
「要するに俺みたいな客は……っていうか俺は疲れてるんだよ、人生にな」
「いや、楽人はピチュランダでこの上なく人生を楽しんでないか?」
「それはそうだ。けど、人間の3代欲求は分かるだろ? 食欲、性欲、睡眠欲。そのうち食欲と睡眠欲はピチュランダでカバーできるけど、性欲だけはどうにもならない」
ピチュランダって食欲と睡眠欲は満たせるのか!?
どんなスポーツなんだよ……。
っていうか、性欲の説明で女子二人が軽蔑の視線を送っているぞ。
「だが、何も性欲ってのはそういう行為をするためだけじゃない」
彼はホワイトボードを勢いよく叩くと、大声で叫ぶ。
「つまり、可愛い女の子とお喋りするだけでも人生は華やかになるんだ!」
「………………おお」
これが真理だと言わんばかりのキメ顔。
俺は微妙な反応をし、七緒は本を読み出し、紫はスマホを見ていた。
「……なんか、『こいつの言うこと参考にならないから聞かなくて良いや』って顔してない?」
「すごいな。女子と話すようになって人の気持ちにまで聡くなったのか」
「酷くない!? 俺、結構良いこと言ってるよ!?」
甚だ疑問だったが、彼の言葉の続きを聞いてみることにした。
「今のは変な言い方だったかもしれないけど、仕事とか学校で疲れてる時に、メイドさんが笑顔で話してくれたら癒しになるだろ?」
「それは確かに」
自分の話を嫌な顔をせずに聞いてくれると言うのはかなり嬉しい。
その相手が可愛い女子ならなおさらだ。
「いいや、わかってないね」
やっと同調できたと言うのに突き放されてしまった。
楽人は俺の両肩を掴み、諭すように言う。
「……まずは行ってみろよ。メイドカフェに……な」
女子二人の座っていた椅子がガタッと音を立てた。
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