趣味で人助けをしていたギルマス、気付いたら愛の重い最強メンバーに囲まれていた

歩く魚

文字の大きさ
20 / 71

鋼鉄の肉体

しおりを挟む
「――散開!」

 その一言を合図に、リゼットが迷いなく魔物へと突っ込んでいく。
 氷上を滑るような軽やかさ。獣の赤い瞳と、氷のような瞳がぶつかり合う。
 ラグナルはその一瞬を見逃さず、広場の周囲を跳ねるように走り出した。
 全力疾走は地鳴りに近い。振動が地面を叩き、埃が立つ。
 セラは、魔物が退いたことで安全になった兄妹の元へと駆け出す。
 そして俺は、男を正面から睨んだまま、場を動かない。

「……ふむ。その作戦は失敗かもねぇ?」

 くす、と男が笑うのが分かる。

「そうかな? ウチのメイドは強いぞ。自慢の魔物だとしても、ここで終わりだ」

 まぁ、リゼットが戦うところを見たことがないんだが。

「やたら暑苦しいのも、相当強い。あいつが来れば、お前なんて二秒でミンチだ」

 完全にやられ役のセリフだと、言ってから気付く。

「そちらのお嬢さんは?」

 男がわざとらしく視線を動かす。
 セラのことだ。彼女は兄妹のそばに腰を落とし、片手でイーリスの意識を確かめている最中だった。
 
「セラは……ええと、まぁ……その気になればお前を切り刻める」

 許せ、セラ。お前の戦闘力もよく分かっていないんだ。
 そもそも俺は、メンバーの戦っている姿なんて見る気がなかったからな。
 彼女たちが強いのは、知識としては分かっている。

(……本当に、討伐依頼くらい最初に行っておくべきだったな)

 見ておくべきだった。
 楽をしようとした過去の俺が、今になって首を絞めてくる。
 後悔しても、もう遅い。
 だけど――それよりも気になることがある。
 この男、やけに余裕がある。
 明らかに形勢は悪くなってきているはずだ。
 仲間たちは実力者。あの魔物は確かに強いが、孤立無援だ。
 それでも、この男は笑っている。
 フードの奥で、何かを見透かすような目をして。

(……何を考えてる? こいつは)

 静かに、心の中で戦慄が立ち上がっていた。

「おや、来ないのかな? それなら、私のお友達を助けに行こうかな」

 男がゆっくりと足を前に出す。声に感情の抑揚はない。
  
「……っ! 行かせるか!」

 俺の身体が、叫ぶよりも早く動いていた。
 そうだ。俺に構われないのが一番望ましくない展開。
 やはりラグナルに任せるべきだったか?
 いまさら考えるのはやめろ。
 地を蹴り、風を切った。
 男の視線が、僅かにこちらを捉える。
 フードの奥の目が、少しだけ楽しげに細まった気がした。
 短剣を構える。狙いは男の左肩から右脇腹へ。
 こいつは魔術師だ。距離を詰めるのは定石。
 浅くても、足を止められればいい。

「はァッ!」

 右腕をしならせるように前へ、剣を振り抜いた。
 
「……おっと」

 低く、くぐもった声と共に、男が軽やかに身体を捻った。
 剣は確かに何かを切った。
 ――布だ。手応えはある。ローブの端を斜めに裂いた感触が残る。それだけだった。
 だが、その部分から男の正体が少しでも掴めるのではないかと思い、凝視する。
 そして、切れた布の奥から覗いたのは――。

(……筋肉?)

 想像よりも遥かに無骨な、厚く鍛え上げられた胸板が現れる。
 蒼黒く光る皮膚。皮膚というより、鎧のような肉体。
 体表には何らかの呪符か刻印のような痕が浮かび、光を拒んで淡く脈動している。

(――こいつは、魔術師じゃない。)

 そう思った次の瞬間――。

「遅いよ」

 目の前が揺れた。
 男の右腕が大きく振り上げられるのを見たときには、もう遅かった。
 拳の塊が、俺の腹部を、真横から捉えていた。

「……ッが、は……ッ!」

 空気が抜ける音と共に、意識が一瞬飛ぶ。
 骨ごと砕かれたかと思うほどの衝撃が内臓を揺さぶり、地面に投げ出された。

「――マスターッ!」

 セラの叫びが聞こえる。景色がぐるりと回る。地面を何度も転がった。
 視界の端に月光と、教会の屋根が流れていく。
 口の端から何かがこぼれた。鉄の味――血だ。

(……くそッ!)

 肺に空気が戻らない。痛みで手が震える。

「ローブを纏っていたら魔術師だと思い込み、接近戦を仕掛ける。ほら、愚かだろう?」

 地面に横たわったまま、俺は必死に肺へ空気を押し込もうとする。
 うまくいかない。内臓が潰れたとさえ感じる。
 お前は失敗した。こいつには勝てないと警鐘が鳴る。
 それでも動かなければ。
 時を戻すことはできない――奴はゆっくりと、歩いてきている。

「思い込みって、怖いよねぇ。自分が賢いと信じている人間ほど……滑稽だ」

 足音が、ゆっくりと近づく。
 一歩ずつ、俺の方へと。

「ま、マスター!」

 セラが呼んでいる。
 視線を向けると、今にもこちらへ駆け寄ってきそうだ。
 だが、それでは兄妹が狙われてしまう。

「……だい、じょうぶ、だ……」

 かすれているが、なんとか声を出すことができた。

「おや、起きるのかい?」

 男の声が、楽しそうに響く。
 人をいたぶることに喜びを感じているのだ。
 お望み通りだ、腕に力を込める。膝を地につけ、何とか身体を起こす。
 口の端から血が垂れ、顎を伝って滴る。
 視界はまだぶれている。
 だが、男の姿ははっきりと見えた。

「おお、根性はあるみたいだね。嫌いじゃないよ」

 男は気分良く呟いたまま、一歩、また一歩と近づいてくる。
 その足取りは軽く、まるで散歩でもしているかのようだ。
 俺は地を蹴った。傷が裂ける。呼吸が乱れる。だが、構わず剣を振る。

「はッ――!」

 低く、重心を落としながら踏み込んだ斬撃。
 男はまたも半身でそれをかわす。ローブの裾が裂け、男の肩が露わになる。
 思わず目を見開く。
 やはり、外見からはまるで想像できない、鋼のように鍛え上げられた肉体。

「ふふ、そう驚かなくても」

 その言葉と共に、拳が風を裂いた。
 咄嗟に身を引いたが、肩口をかすめただけで視界がボヤけた。
 打撃の重みが骨を軋ませる。よろめきながら、数歩、下がる。

「ねぇ、どうする? このまま続けるのかな?」

 男の問いかけに、俺は無言で短剣を構え直した。
 短剣が微かに熱を帯びているように……俺の身体が悦びを感じ始めているのを理解する。
 少しずつ呼吸が戻り、不本意ながら、生きていると感じてしまう。

「……顔つきが変わったね?」

 男の言葉に、自分の口元が吊り上がってるのがわかった。
 こんな場面で笑っている。
 闘技場の時と同じはずなのに、死ぬと理解しているのに、今は何故か笑っている。
 あの時と、何が違う?
 ふいに、走馬灯のように、この二か月のことが脳裏をよぎった。

(……仲間か)

 この場には仲間がいる。
 死ぬのは嫌だが、リゼットが、ラグナルが。
 甘い考えだが、最強の冒険者たちがギリギリのところで助けてくれるのではないかと、そう思ってしまっているのだ。
 Aランク相手であれば、全力で戦うことができる。
 かなりのダメージを喰らってしまったが、即死はしないことも分かっている。

「まったく……最悪な人間だ」
 
 視線の向こうにはセラがいる。兄妹を抱えて。
 村の人々が、まだどこかに隠れている。
 興奮していいわけがない。
 だが、それでも、この状況を楽しみはじめている。
 狂っていると思われても仕方がない。
 だけど俺は、そんな自分を殺せない。
 代わりに、彼らのことは絶対に守り抜く。
 こんな状況だからこそ狙える勝ち筋も――ある。

「どこまで折れずにいられるか、試してあげるよ」

 男の姿が消えた。

「――ッ!?」

 本能が告げる。こういう時は上だ。
 咄嗟に地面を転がると、直後に叩きつけられた拳が、俺のいた場所を粉砕した。
 石畳が砕け、破片が飛び散る。

「反応速度が上がってるね」

 それを見て、男はますます愉快そうに笑った。
 
「なら次は……これでどうかな」

 男が右手をゆっくりと振り上げ――俺は踏み込んだ。

(距離があるうちに詰める! 先手、先手で削るしかない)

 男の脇腹を狙う。低く、針の穴を通すように正確な一撃は、見事に命中した。
 だが――衝撃が腕に返ってくる。

(固い……!? まだ足りないのか!)

 突き立てた刃先が男の筋肉に食い込まない。
 皮膚の下に鎧を着込んでいるかのようだ。
 それでも、押し込もうと力を込めたが、男は眉一つ動かさない。

「……惜しい。ちょっと痺れたよ」

 嘘だ。まるで効いていない。
 男の肘が振るわれる。腹に直撃する一撃を、なんとか横にずらして受けるも、脇腹に鈍い衝撃が走った。
 呻き声が喉まで込み上げる。

(このままじゃ、先に――)

 その時だった。

「――えっ!? だ、ダメ!」
 
 セラの声が上がった。
 男の背後――レオンが身体を起こし、剣を構えて男の背中に迫っていた。
 だが、腕を振り上げた瞬間、彼の身体がびくりと震える。

「ぐ、あああッ……!!」

 空を裂かんばかりの叫び声。
 彼の持つ武器が手から滑り落ち、膝から崩れる。

「兄さんっ!」

 彼の苦しむ声に目を覚ましたイーリス。
 彼女が必死に呼びかけるが、その声が届いていないかのように苦しんでいる。

「あぁ……やっぱり気付けなかったか。君はさっきも体験したというのに……」

 男が振り返り、レオンに視線を向けた。
 
「余計なことをしたね、うん。じゃあ、君から殺そうか」

 男は腰に下げてあった短剣を抜き、その刃はレオンの心臓を狙う軌道を描いた。

「――やめろッ!!」

 叫ぶよりも早く、俺の身体が飛んでいた。
 突き飛ばすようにレオンを庇う。

「なッ……! マス――」

 腹の奥から音が鳴った。
 身体の内側が焼けるように熱くなる。
 視界が一瞬にして赤く染まった。

「が、ふッ……!」

 口の奥が苦い。
 喉の奥から温かい液体が逆流してきた。
 赤黒い血が噴き出し、顎を伝って地面に滴る。
 腹の中に入り込んでいた異物が引き抜かれる。
 ずるり、と粘ついた音がして、体内に空洞が生まれる感覚。
 それでも、まだ意識は繋がっていた。

(可能性は……ある……)

 獲物を仕留めた時、生物が最も油断する瞬間。
 俺がただの犠牲者だと信じ込んだ、その隙間。
 身体を、腕を、残った力を振り絞って動かす。

「はァッ……!」

 短剣を横薙ぎに振るう。
 渾身の力を込めた刃先が、男の脇腹をかすめる軌道を描く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜

仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。 森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。 その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。 これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語 今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ! 競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。 まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...