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1 ここじゃないどこかなら
あの日、あの人に追いかけられなかったら、俺はきっとゴミ溜めのような街の端で誰にも惜しまれずに死んでいたのだろう。
◇
俺の名前はネイジェ。王都から遠く離れたリゼバールの街の端、捨てられた一角にねぐらがある孤児だ。
親は知らない。でも俺の黒い髪はこのあたりでは珍しいから、遠い地の血が流れているのだろう。
ネイジェという名前は、足首に魔法か何かで彫られた文字があったのを読めるやつがいたから、それになった。これがなかったら変な呼び名をつけられるところだった。
無法地帯でも、人間が何人も住んでいたら色々ある。縄張り争いとか上下関係とか。だから人間を識別するための名前が必要になる。
捨てられた街の一角に住む奴らは、まともな街の住人からめちゃくちゃ嫌われてる。
だけど、それはお互い様だ。俺だって、俺たちを人間扱いしない奴らが嫌いだ。
でも、もうすぐ、この街ともおさらばだ。
俺たちを邪魔者として扱う街から出て行く。身体が大きくなって大人のふりができるようになれば、身分証がなくても金を積めば列車に乗れる。
ここじゃなければ俺だって、きっと、もっとマシな生き方ができる……
そんな時の仕事だった。ずっと誰にも捕まらなかったから油断があった。
身なりのいい奴で、隙だらけに見えたんだ。いつもは、ぶつからないようにギリギリまで近づいて、気付かれずにスれるのに、スる直前で隙が消えた。
動揺したけど、ごく普通の良い家の子どもみたいにかわしたつもりだった。そうすれば相手は気付かないものだから。
「あっごめんなさい」
「いいえ。気をつけて」
大人のくせに獣の耳なんてつけてはしゃぎやがってと思ったけれど、そいつのは本物だった。本物の混血獣人。言葉と同時に獣の耳が動いた。魔道具の獣耳は動かない。
獣人の嗅覚は鋭い。俺に不審感を覚えたのか背中に視線が突き刺さる。
どんな相手からも逃げ切る自信があったけど、あいつはやばそうだった。
◇
ケチがついたから、その日はスリをやめた。
ねぐらへ戻ると、妹分のフルーカが出迎えてきた。正確な年はわからないから、みんな誰かより前か後かでだいたいの年を自分で決めている。
俺はだいたい十だ。フルーカは俺より下だから九歳ということにしている。名前がまともなのは、野ネズミと呼ばれていたのが気に入らなくて、俺が新しいのを考えてやったからだ。野ネズミと呼ばれていた理由は、身体が小さくて茶色い髪だから。
「ネイジェ、今日はロゴンに会わなかった?」
「ロゴン? 見てない」
ロゴンはこの辺りの孤児たちを取り仕切るゴロツキだ。
リゼバールの制度では不法移民が捨てた子どもの保護をしないから、俺やフルーカのように親のわからない子どもは野垂れ死ぬしかなかった。
この街は新しい街だから移民が多いけど、俺たちの親は当たり前の移民とは違ったのだろう。ほとんどは簡単な手続きで正式に認められるのに、手続きをしなかった理由として多いのが逃亡中の犯罪者だというものだ。手続きしようとして捕まったら意味がない。だから、俺たちはたぶん、犯罪者の子どもだ。
ロゴンは、そういう、どうしようもない子どもを集めて廃屋に住まわせ、わずかな食料と引き換えに金を徴収する。
不法移民の孤児は嫌われているから、金があっても買い物ができない。食い物にありつくために、ロゴンがどれだけ嫌な奴でも我慢するしかなかった。
俺たちがロゴンに渡す金は、スリや置き引きなどの犯罪行為で得ている。近隣に農地が少ないため、比較的厳しく管理されている食い物を盗むのは、金を盗むよりも難しかった。
そして、昔……今の領主が名実ともに領主として認められる前は、人間のアルファなら、どんな生まれでも裕福な家に引き取られて、まともな生活を送れるようになっていたらしい。ロゴンも、別の街だけど、引き取り手が決まっていたという。
でも、領主になったオメガの王子が変えてしまった。
そもそもリゼバールはこんな立派な街じゃなかったそうだ。領主になった王子が獣人を保護して交易を発展させて、その功績で王様に鉄道の駅を作らせた。それからすごい勢いで村は大きな街になり、獣人も受け入れることから、爆発的に住人も増えた。
それでも、しばらくの間は、アルファが優遇されることに変わりはなかったけれど、領主が成人した年に変わってしまったそうだ。俺が生まれた頃の話だ。
領主はオメガのくせに、ベータと結婚して、好き勝手やっている。オメガの王子なら、普通はどこかの国の王配になったり大貴族に降嫁するものらしいのに。
領主は、自分が普通じゃないからか、それまで当たり前だった、人間のアルファが一番優れているという価値観を壊してしまった。
この世界には人間と、獣が二足歩行しているような獣人、そして混血がいる。性別は男女のほかにベータとアルファとオメガ、アルファとオメガは同性でも種族が違っても子どもを作れる。人間と獣人の混血は、親がアルファとオメガだ。混血の外見は分かりやすい、人間と獣が混ざったような特徴を持つことが多いからだ。よくあるのが、人間みたいだけど、耳が獣で尻尾があるやつ。
混血は珍しい、本当なら。
領主の伴侶が、魔法研究の片手間に獣の耳がついているように見える魔道具を作ったため、この街では混血風のファッションが流行っている。本物の混血は滅多にいないから、ほとんどは人間が高いおもちゃで混血のふりをしているやつばかりだ。
だから、スリをしている俺にとっては、獣耳をつけているやつは頭が空っぽの金持ちという認識だった。
まさか本物が紛れているなんて。
俺が持っている魔道具は二つ、ウサギの耳と、ネコの耳だ。身分証をくすねてバレる前に大枚はたいて買った正規品だ。耳をつけて歩く奴らに紛れてスリ放題になったから元は取れた。
だけど、潮時だろうか。本物の獣人に目を付けられたら、逃げ切るのは難しい。あいつらは外見だけじゃないところでも人間を判別する。危険を冒して大枚はたいて買った魔道具を使って、ギリギリまで稼ぎたかったんだけど。
「ネイジェ、ロゴンがね、ネイジェがお金を隠してるって」
「……それで、どう返事したんだ?」
「しらないって言ったよ。ほんとうに、知らないもん……」
フルーカは孤児には珍しい「女」だ。ロゴンは男だと思っている。バレたらどういう扱いを受けるかわからない。娼館に売られるだけならまだましだろうが、ロゴンと取り巻きたちのオモチャにされる可能性もある。あいつらは俺以上にクズだから。
俺は街を出る時にフルーカを神殿に預けていくつもりだ。今すぐだと、俺が女を隠していたとロゴンにバレて何をされるかわからない。そろそろロゴン相手でも逃げ切れるかもしれないけど、まだ、確実ではない。
俺が金を隠しているのは事実だ。先日は高そうな懐中時計もスった。売ったら足がつきそうだから厳重に隠してある。ロゴン以外の奴らに見つけられるはずはないけれど……
ロゴンは腐ってもアルファらしく頭がいい。俺のやっていることなんてお見通しで、泳がせているだけの可能性もある。
「フルーカ、前に言ってたよな。俺と離れることになるけど、お前はきっと守ってもらえるって」
捻くれている俺と違って、フルーカは素直に言うことを聞ける。どこででもやっていけるだろう。
「やだ。ネイジェと一緒がいい」
「お前といると、俺はロゴンの言いなりにならなきゃならない」
誰かを守らなきゃならないということは、いい緊張感になったけれど、自分の力だけで生きて行きたい俺には足手まといにしかならない。
無言で大粒の涙をこぼしているフルーカを慰める気にもなれない。ずっと俺に寄りかかって生きるつもりだったのだろうか。
「フルーカは、ネイジェとつがいになれるんだって思ってた」
なんとなく、フルーカがそう思っているのだろうとは感じていた。だから、互いに影響が出る前に離れたいと思ってもいた。アルファの唯一の弱点が、オメガの発情だから。理性を失うなんて御免だ。
「ない。俺はオメガも女もいらない。お前に発情期が来る前に離れたい」
「じゃ、じゃあ、ロゴンのところに行くって言ったら」
「は、好きにしろ」
少し可哀相だと思ったけれど、その言葉で一気に冷めた。フルーカにとっては駆け引きのつもりだったのだろうが、俺に守られてきたおかげでロゴンのヤバさを知らないから。結局俺のせいなのかもしれないけれど、他人の人生の面倒を見れるほどの余裕も情もない。
フルーカが男でアルファでも、年下で俺よりも弱ければ同じように守っただろう。お山の大将をやりたいロゴンのように、俺はアルファだから、そういう……優越感を覚えるための守るべき対象が必要だっただけだ。
勘違いしないように、いずれ別々で生きるのだからと言い聞かせてきたのに、このザマだ。
めそめそしているフルーカのいるねぐらで休む気にもなれず、俺はまた街に向かった。
◇
俺の名前はネイジェ。王都から遠く離れたリゼバールの街の端、捨てられた一角にねぐらがある孤児だ。
親は知らない。でも俺の黒い髪はこのあたりでは珍しいから、遠い地の血が流れているのだろう。
ネイジェという名前は、足首に魔法か何かで彫られた文字があったのを読めるやつがいたから、それになった。これがなかったら変な呼び名をつけられるところだった。
無法地帯でも、人間が何人も住んでいたら色々ある。縄張り争いとか上下関係とか。だから人間を識別するための名前が必要になる。
捨てられた街の一角に住む奴らは、まともな街の住人からめちゃくちゃ嫌われてる。
だけど、それはお互い様だ。俺だって、俺たちを人間扱いしない奴らが嫌いだ。
でも、もうすぐ、この街ともおさらばだ。
俺たちを邪魔者として扱う街から出て行く。身体が大きくなって大人のふりができるようになれば、身分証がなくても金を積めば列車に乗れる。
ここじゃなければ俺だって、きっと、もっとマシな生き方ができる……
そんな時の仕事だった。ずっと誰にも捕まらなかったから油断があった。
身なりのいい奴で、隙だらけに見えたんだ。いつもは、ぶつからないようにギリギリまで近づいて、気付かれずにスれるのに、スる直前で隙が消えた。
動揺したけど、ごく普通の良い家の子どもみたいにかわしたつもりだった。そうすれば相手は気付かないものだから。
「あっごめんなさい」
「いいえ。気をつけて」
大人のくせに獣の耳なんてつけてはしゃぎやがってと思ったけれど、そいつのは本物だった。本物の混血獣人。言葉と同時に獣の耳が動いた。魔道具の獣耳は動かない。
獣人の嗅覚は鋭い。俺に不審感を覚えたのか背中に視線が突き刺さる。
どんな相手からも逃げ切る自信があったけど、あいつはやばそうだった。
◇
ケチがついたから、その日はスリをやめた。
ねぐらへ戻ると、妹分のフルーカが出迎えてきた。正確な年はわからないから、みんな誰かより前か後かでだいたいの年を自分で決めている。
俺はだいたい十だ。フルーカは俺より下だから九歳ということにしている。名前がまともなのは、野ネズミと呼ばれていたのが気に入らなくて、俺が新しいのを考えてやったからだ。野ネズミと呼ばれていた理由は、身体が小さくて茶色い髪だから。
「ネイジェ、今日はロゴンに会わなかった?」
「ロゴン? 見てない」
ロゴンはこの辺りの孤児たちを取り仕切るゴロツキだ。
リゼバールの制度では不法移民が捨てた子どもの保護をしないから、俺やフルーカのように親のわからない子どもは野垂れ死ぬしかなかった。
この街は新しい街だから移民が多いけど、俺たちの親は当たり前の移民とは違ったのだろう。ほとんどは簡単な手続きで正式に認められるのに、手続きをしなかった理由として多いのが逃亡中の犯罪者だというものだ。手続きしようとして捕まったら意味がない。だから、俺たちはたぶん、犯罪者の子どもだ。
ロゴンは、そういう、どうしようもない子どもを集めて廃屋に住まわせ、わずかな食料と引き換えに金を徴収する。
不法移民の孤児は嫌われているから、金があっても買い物ができない。食い物にありつくために、ロゴンがどれだけ嫌な奴でも我慢するしかなかった。
俺たちがロゴンに渡す金は、スリや置き引きなどの犯罪行為で得ている。近隣に農地が少ないため、比較的厳しく管理されている食い物を盗むのは、金を盗むよりも難しかった。
そして、昔……今の領主が名実ともに領主として認められる前は、人間のアルファなら、どんな生まれでも裕福な家に引き取られて、まともな生活を送れるようになっていたらしい。ロゴンも、別の街だけど、引き取り手が決まっていたという。
でも、領主になったオメガの王子が変えてしまった。
そもそもリゼバールはこんな立派な街じゃなかったそうだ。領主になった王子が獣人を保護して交易を発展させて、その功績で王様に鉄道の駅を作らせた。それからすごい勢いで村は大きな街になり、獣人も受け入れることから、爆発的に住人も増えた。
それでも、しばらくの間は、アルファが優遇されることに変わりはなかったけれど、領主が成人した年に変わってしまったそうだ。俺が生まれた頃の話だ。
領主はオメガのくせに、ベータと結婚して、好き勝手やっている。オメガの王子なら、普通はどこかの国の王配になったり大貴族に降嫁するものらしいのに。
領主は、自分が普通じゃないからか、それまで当たり前だった、人間のアルファが一番優れているという価値観を壊してしまった。
この世界には人間と、獣が二足歩行しているような獣人、そして混血がいる。性別は男女のほかにベータとアルファとオメガ、アルファとオメガは同性でも種族が違っても子どもを作れる。人間と獣人の混血は、親がアルファとオメガだ。混血の外見は分かりやすい、人間と獣が混ざったような特徴を持つことが多いからだ。よくあるのが、人間みたいだけど、耳が獣で尻尾があるやつ。
混血は珍しい、本当なら。
領主の伴侶が、魔法研究の片手間に獣の耳がついているように見える魔道具を作ったため、この街では混血風のファッションが流行っている。本物の混血は滅多にいないから、ほとんどは人間が高いおもちゃで混血のふりをしているやつばかりだ。
だから、スリをしている俺にとっては、獣耳をつけているやつは頭が空っぽの金持ちという認識だった。
まさか本物が紛れているなんて。
俺が持っている魔道具は二つ、ウサギの耳と、ネコの耳だ。身分証をくすねてバレる前に大枚はたいて買った正規品だ。耳をつけて歩く奴らに紛れてスリ放題になったから元は取れた。
だけど、潮時だろうか。本物の獣人に目を付けられたら、逃げ切るのは難しい。あいつらは外見だけじゃないところでも人間を判別する。危険を冒して大枚はたいて買った魔道具を使って、ギリギリまで稼ぎたかったんだけど。
「ネイジェ、ロゴンがね、ネイジェがお金を隠してるって」
「……それで、どう返事したんだ?」
「しらないって言ったよ。ほんとうに、知らないもん……」
フルーカは孤児には珍しい「女」だ。ロゴンは男だと思っている。バレたらどういう扱いを受けるかわからない。娼館に売られるだけならまだましだろうが、ロゴンと取り巻きたちのオモチャにされる可能性もある。あいつらは俺以上にクズだから。
俺は街を出る時にフルーカを神殿に預けていくつもりだ。今すぐだと、俺が女を隠していたとロゴンにバレて何をされるかわからない。そろそろロゴン相手でも逃げ切れるかもしれないけど、まだ、確実ではない。
俺が金を隠しているのは事実だ。先日は高そうな懐中時計もスった。売ったら足がつきそうだから厳重に隠してある。ロゴン以外の奴らに見つけられるはずはないけれど……
ロゴンは腐ってもアルファらしく頭がいい。俺のやっていることなんてお見通しで、泳がせているだけの可能性もある。
「フルーカ、前に言ってたよな。俺と離れることになるけど、お前はきっと守ってもらえるって」
捻くれている俺と違って、フルーカは素直に言うことを聞ける。どこででもやっていけるだろう。
「やだ。ネイジェと一緒がいい」
「お前といると、俺はロゴンの言いなりにならなきゃならない」
誰かを守らなきゃならないということは、いい緊張感になったけれど、自分の力だけで生きて行きたい俺には足手まといにしかならない。
無言で大粒の涙をこぼしているフルーカを慰める気にもなれない。ずっと俺に寄りかかって生きるつもりだったのだろうか。
「フルーカは、ネイジェとつがいになれるんだって思ってた」
なんとなく、フルーカがそう思っているのだろうとは感じていた。だから、互いに影響が出る前に離れたいと思ってもいた。アルファの唯一の弱点が、オメガの発情だから。理性を失うなんて御免だ。
「ない。俺はオメガも女もいらない。お前に発情期が来る前に離れたい」
「じゃ、じゃあ、ロゴンのところに行くって言ったら」
「は、好きにしろ」
少し可哀相だと思ったけれど、その言葉で一気に冷めた。フルーカにとっては駆け引きのつもりだったのだろうが、俺に守られてきたおかげでロゴンのヤバさを知らないから。結局俺のせいなのかもしれないけれど、他人の人生の面倒を見れるほどの余裕も情もない。
フルーカが男でアルファでも、年下で俺よりも弱ければ同じように守っただろう。お山の大将をやりたいロゴンのように、俺はアルファだから、そういう……優越感を覚えるための守るべき対象が必要だっただけだ。
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