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6 無知の恥
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花のあった場所は、小さな屋敷の庭だった。
少年は俺に食料と寝床と、人間らしく戻るきっかけをあたえた。
身体が回復したところで、国に戻ることも今は難しい。
弟の元婚約者の父親である宰相がどんな手段を取るかわからないが、王家がすり替わる可能性もある。
俺を生かしたのはその娘だから、思惑が違うかもしれない。
兄と弟が死んでも、血統を残すための保険か。
だけど護衛の一人もないということは、弟の元婚約者の独断かもしれない。
宰相にとっては血統が残っている方が厄介だろう。
王家を乗っ取るほうが話が早い。
「お茶を飲まない?」
「ああ、すぐに用意しよう」
今の俺の身分は、屋敷の主人の話し相手兼雑用係となっている。
行く先がないと言ったら、そうなった。
かなり裕福な様子で、本家から予算は潤沢に出ているという。
その割に使用人達が質素な様子なのは、全員がこだわった趣味を持っているからだそうだ。
執事は材料にこだわったぬいぐるみ作成、メイド頭(といってもメイドも三人しかいない)はアクセサリー作り、メイド二人は揃って物語を作成しているらしい。
雑用係兼庭師兼護衛官のふたりはナイフ集めと珍しい植物の栽培をしている。
二階建ての屋敷の半分以上が使用人たちの部屋だ。
彼らの主人である少年は、彼らを面白がって自由にさせている。
少年自身は、非常に虚弱なようで、起きてごく少量の食事を食べては寝て、体調がいいと散歩をしてまた眠り、と一日のほとんどを寝ている。
それでも顔を合わせたら俺の話を聞きたがった。
聞けば、幼い頃は床から上がれないような生活をしていて、この屋敷に来てから庭の散策などをできるようになったという。
狭すぎる世界で生きている少年は、いつまで生きられるかわからないけれど、心穏やかに死ねたらいいと言った。
笑わないのかと聞いたら、笑い方なんて忘れてしまったと返されて、己の無神経に反省した。
少年は俺に食料と寝床と、人間らしく戻るきっかけをあたえた。
身体が回復したところで、国に戻ることも今は難しい。
弟の元婚約者の父親である宰相がどんな手段を取るかわからないが、王家がすり替わる可能性もある。
俺を生かしたのはその娘だから、思惑が違うかもしれない。
兄と弟が死んでも、血統を残すための保険か。
だけど護衛の一人もないということは、弟の元婚約者の独断かもしれない。
宰相にとっては血統が残っている方が厄介だろう。
王家を乗っ取るほうが話が早い。
「お茶を飲まない?」
「ああ、すぐに用意しよう」
今の俺の身分は、屋敷の主人の話し相手兼雑用係となっている。
行く先がないと言ったら、そうなった。
かなり裕福な様子で、本家から予算は潤沢に出ているという。
その割に使用人達が質素な様子なのは、全員がこだわった趣味を持っているからだそうだ。
執事は材料にこだわったぬいぐるみ作成、メイド頭(といってもメイドも三人しかいない)はアクセサリー作り、メイド二人は揃って物語を作成しているらしい。
雑用係兼庭師兼護衛官のふたりはナイフ集めと珍しい植物の栽培をしている。
二階建ての屋敷の半分以上が使用人たちの部屋だ。
彼らの主人である少年は、彼らを面白がって自由にさせている。
少年自身は、非常に虚弱なようで、起きてごく少量の食事を食べては寝て、体調がいいと散歩をしてまた眠り、と一日のほとんどを寝ている。
それでも顔を合わせたら俺の話を聞きたがった。
聞けば、幼い頃は床から上がれないような生活をしていて、この屋敷に来てから庭の散策などをできるようになったという。
狭すぎる世界で生きている少年は、いつまで生きられるかわからないけれど、心穏やかに死ねたらいいと言った。
笑わないのかと聞いたら、笑い方なんて忘れてしまったと返されて、己の無神経に反省した。
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