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一章
7 番だから
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「いいよ。好きにして」
祐志がはっと顔を上げる。
これは番だからだろうか。祐志が好きだと思う。
ああ、俺、祐志が好きなんだ……。初めての想い。諦めていた感情を得られたことが嬉しい。
「あ、でも傷跡とかあるから、脱ぐのは下だけで良いかな」
「……全部見たい」
「萎えるんじゃないか?」
「番相手にそれはないよ」
「そっか」
祐志が嫌じゃないなら、いいか。
俺が服を脱ぐと、祐志の視線は臍の下の傷跡から、両腕の内側に移った。
「これ……」
「こっちは手術痕。こっちは……勝手にできるからよくわからない」
本気で死ぬ気のない中途半端な傷跡だ。祐志に見られるなんて恥ずかしい。やるんじゃなかった。病んだ自分を恥ずかしく思う。
「萎えた?」
いくら番でも酷いだろう。傷物にも程がある。頭もおかしい。
俺の問いに祐志は首を横に振った。
すごいな、番効果。こんな汚い傷だらけでも良いなんて。
俺の手を取って、傷跡を癒すように舐められる。ひとしきり舐めて、下腹の傷跡に口付けられた。
その後、躊躇いもなくまだ反応していない俺の性器を口に含んだ。
「えっ、あっ、きっ、きたなっ。んーっっ」
激しい水音を立てながらしゃぶられて、呆気なく絶頂してしまう俺。こんなに躊躇いなくできるものなのか? だっていくらオメガで番でも、そこは普通に男のものだ。
「あっ、はっ、っ…」
経験値が皆無に等しい俺は、頭が真っ白になった。
呆然としていると、祐志の指が後ろに触れた。
優しくくすぐる様に辺りに触れて、つぷっと入ってきた。何か濡れてる? ああ、俺、オメガだもんな。子宮無くなっても濡れるんだ……。人体の不思議。
「ごめん。優しくするから」
「んうっ…….、ふ……、あ……」
グチグチと音を立てて後ろがほぐされていく。下腹の傷痕が痛い。
「こっちの方が楽だと思うから」
なんて言って、うつ伏せにされて、熱いものが押し当てられた。首筋にチリッとした感覚。噛んだんじゃなさそうだけど……。
俺の腰を掴む手に、グッと力が込められた。
その時、電話が鳴った。
俺の電話だ。
保育園の呼び出しか?双子が病気になったのか?
俺は一瞬で正気に返って電話を取った。
兄だった。
「何でホテルの中にいる」
え? 何でバレてるんだ? あ、アイポン見つけるアプリ!
俺のスマホは入院中に駄目になってて新しいのを兄に貰ったんだった。
「あっ、ちょっとゆっくり話したくなって」
親に外泊を咎められる娘みたいだな。でもまだ入れてないし、セーフ!
……あとから、トイレに行ってたとでも言えば良かったと後悔した。
祐志を見ると、あっちも正気に返ったみたいで慌てて、脱ぎ散らかした服をかき集めている。ちょっと面白い、この状況……。
「何にもしてないよ」
つい聞かれてもないのにペラペラ話してしまう。
電話の向こうから、フーッと長いため息が聞こえた。
肉食獣が威嚇するみたいな……。違った、鬼だった。
「とにかく、メシが終わったなら帰れ」
「ハイ……」
ちょっと帰るのが、怖い。
電話を見て俯いて固まっていると、祐志が服をかけてくれた。
「あ、ありがと。その……ごめん。祐志まだだったろ? 手とかでよければ」
「サンキュ。大丈夫。正気に返ったよ。俺は馬鹿だ……。健吾のお兄さんに合わせる顔がない」
祐志がまた萎れている。
萎れないで欲しい。だって俺はキラキラしたあの祐志が……?
あれ? 頭が痛い。
「服、着せていいか?」
固まっている俺に、祐志が服を着せてくれる。
ネクタイを結ぶのがうまい。アルファだもんな、スーツ着ることも多いよな。
アルファにはアルファだけのコミュニティがある。
交流会と称してよくパーティもしている。祐志も幼い頃からそういう場に出入りしていたんだろう。
何もかもが俺とは違う……。
祐志がはっと顔を上げる。
これは番だからだろうか。祐志が好きだと思う。
ああ、俺、祐志が好きなんだ……。初めての想い。諦めていた感情を得られたことが嬉しい。
「あ、でも傷跡とかあるから、脱ぐのは下だけで良いかな」
「……全部見たい」
「萎えるんじゃないか?」
「番相手にそれはないよ」
「そっか」
祐志が嫌じゃないなら、いいか。
俺が服を脱ぐと、祐志の視線は臍の下の傷跡から、両腕の内側に移った。
「これ……」
「こっちは手術痕。こっちは……勝手にできるからよくわからない」
本気で死ぬ気のない中途半端な傷跡だ。祐志に見られるなんて恥ずかしい。やるんじゃなかった。病んだ自分を恥ずかしく思う。
「萎えた?」
いくら番でも酷いだろう。傷物にも程がある。頭もおかしい。
俺の問いに祐志は首を横に振った。
すごいな、番効果。こんな汚い傷だらけでも良いなんて。
俺の手を取って、傷跡を癒すように舐められる。ひとしきり舐めて、下腹の傷跡に口付けられた。
その後、躊躇いもなくまだ反応していない俺の性器を口に含んだ。
「えっ、あっ、きっ、きたなっ。んーっっ」
激しい水音を立てながらしゃぶられて、呆気なく絶頂してしまう俺。こんなに躊躇いなくできるものなのか? だっていくらオメガで番でも、そこは普通に男のものだ。
「あっ、はっ、っ…」
経験値が皆無に等しい俺は、頭が真っ白になった。
呆然としていると、祐志の指が後ろに触れた。
優しくくすぐる様に辺りに触れて、つぷっと入ってきた。何か濡れてる? ああ、俺、オメガだもんな。子宮無くなっても濡れるんだ……。人体の不思議。
「ごめん。優しくするから」
「んうっ…….、ふ……、あ……」
グチグチと音を立てて後ろがほぐされていく。下腹の傷痕が痛い。
「こっちの方が楽だと思うから」
なんて言って、うつ伏せにされて、熱いものが押し当てられた。首筋にチリッとした感覚。噛んだんじゃなさそうだけど……。
俺の腰を掴む手に、グッと力が込められた。
その時、電話が鳴った。
俺の電話だ。
保育園の呼び出しか?双子が病気になったのか?
俺は一瞬で正気に返って電話を取った。
兄だった。
「何でホテルの中にいる」
え? 何でバレてるんだ? あ、アイポン見つけるアプリ!
俺のスマホは入院中に駄目になってて新しいのを兄に貰ったんだった。
「あっ、ちょっとゆっくり話したくなって」
親に外泊を咎められる娘みたいだな。でもまだ入れてないし、セーフ!
……あとから、トイレに行ってたとでも言えば良かったと後悔した。
祐志を見ると、あっちも正気に返ったみたいで慌てて、脱ぎ散らかした服をかき集めている。ちょっと面白い、この状況……。
「何にもしてないよ」
つい聞かれてもないのにペラペラ話してしまう。
電話の向こうから、フーッと長いため息が聞こえた。
肉食獣が威嚇するみたいな……。違った、鬼だった。
「とにかく、メシが終わったなら帰れ」
「ハイ……」
ちょっと帰るのが、怖い。
電話を見て俯いて固まっていると、祐志が服をかけてくれた。
「あ、ありがと。その……ごめん。祐志まだだったろ? 手とかでよければ」
「サンキュ。大丈夫。正気に返ったよ。俺は馬鹿だ……。健吾のお兄さんに合わせる顔がない」
祐志がまた萎れている。
萎れないで欲しい。だって俺はキラキラしたあの祐志が……?
あれ? 頭が痛い。
「服、着せていいか?」
固まっている俺に、祐志が服を着せてくれる。
ネクタイを結ぶのがうまい。アルファだもんな、スーツ着ることも多いよな。
アルファにはアルファだけのコミュニティがある。
交流会と称してよくパーティもしている。祐志も幼い頃からそういう場に出入りしていたんだろう。
何もかもが俺とは違う……。
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