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第4章 激闘クロッカス直属小隊編
第22話・・・カグツチ_決着_イザナミ・・・
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レイゴこと紅蓮奏華登は、紅蓮奏華家を抜けた後、本家の刺客と一度だけ命がけの戦いをしたことがある。
当時S級のレイゴに匹敵する実力の持ち主であり、中々攻め切れずに時間と疲労だけが蓄積していった。
ハァ、ハァ、ハァと互いに息を切らせながら、レイゴは目の前の二十代後半の男に向かって言った。
「おいおいどうしたよ! 兄貴! そんなんじゃ俺を殺せねえぞ!」
その男の名は紅蓮奏華哉土。レイゴの実兄だ。
「この恥知らず! ……もういい。この技で決めてやる」
哉土が腕を交差させ、二刀を上段に構えた。
紅華鬼燐流・秘奥零式『華喰悉血』。理界踏破の剣技である。
「おうおう! 最後はやっぱ零式だよな! じゃあ俺もやるしかないよな!」
レイゴも同じように構え、気を練り上げ始めた。
「……わかっているのか? 登。『華喰悉血』同士のぶつかり合いでは『天超直感《ディバイン・センス》』がより優れた方に軍配があがる。……確かにお前のそれは凄まじいが、紅蓮奏華家随一の『天超直感』の持ち主が私であることは、誰よりもお前が知っているだろう」
哉土に言われ、過去に兄に一歩及ばなかった頃の記憶が駆け巡る。
散々、辛酸をなめされられたものだ。
「確かに、俺は兄貴に敵わなかった」
実力差をしおらしく認めたかと思いきや……、レイゴがニヤリと笑った。
「でもなぁ……家を抜けて解放されて、なんだか俺の脳までいけない扉開いた感じに解放されちゃったみたいでよ! なんだか俺の勘めちゃくちゃ冴え渡っててよ! ………今マジ誰にも負ける気がしないんだっ」
「………くだらない。その妄想ごと叩き切り、引導を渡してやる! 行くぞ!」
「おうよ!」
「「 紅華鬼燐流・秘奥零式『華喰悉血』 」」
……紅華鬼燐流の絶対的な奥義『華喰悉血』。
強化系の特性は『性能・性質の向上』。
『天超直感』とは言わば、無意識に森羅万象へ干渉し、過程を省いて結果を先取りする力。
その『天超直感』という性能を限界以上に超強化することで、一つの結果を現実化することを可能とした。
……………『全てを斬る』という、結果を。
ここでいう全てとは、〝心〟と〝体〟を指す。
〝心〟とは、信念・矜持・誇り・自負・糧・目的・志など、正に〝心の支え〟。理界踏破によってその〝心〟に干渉し、ズタズタに斬り裂いてしまう。
〝体〟は名の通り物理的な肉体だが、二刀による二斬りに留まらず、『斬る』という結果を幾つもその〝体〟に刻んでしまう。
『華喰悉血』は無意識の内に敵の構成要素全てに干渉し、〝心〟も〝体〟も斬り捨てる。
普通なら〝体〟に刻まれた無数の切り傷による出血多量で死ぬ。
生きていたとしても、〝心〟を斬り裂かれ、立ち上がる気力どころか生きる気力さえも失い、最悪の場合は廃人と化してしまう。
……必殺にして必勝にして残酷な、剣技である。
『華喰悉血』同士の衝突となれば、『天超直感』の干渉力が高い方が勝つ。
超大な気の轟く鳴動で大地や大気を揺らしながら、レイゴと哉土の『華喰悉血』が衝突する。
………そして、最後立っていたのは、レイゴだった。
全身に数えきれない斬撃の跡を刻まれ、目の焦点が合っていない哉土に、
「あばよ。やっぱ俺が一番だ」
そう言って、心臓に刀を突き立てた。
■ ■ ■
「紅華鬼燐・秘奥零式『華喰悉血』」
湊に対し、レイゴが必殺技を繰り出す。
膨大な気を纏って湊に向かって突撃するレイゴは、狂人法で脳に負荷を掛けながら冷静に考えていた。
(『華喰悉血』の唯一の欠点は必中ではないこと! 防硬法越しでもいい! 少し掠らせるだけでもいい! とにかくクロッカスを『斬る』という動作をすれば、『華喰悉血』が発動する!)
レイゴは〝猛毒の剣〟を持っているような状態だ。当たれば殺せるが、当たらなければ意味がない。
『華喰悉血』は身体能力を高める剣技ではないが、『理界踏破』の副次効果で莫大で濃密な気を纏っており、結果的に言えば身体能力も飛躍的に高まっている。
さらに『天超直感』を超強化する剣技なので超直感も優れており、掠らせる程度なら『斬る』という動作も決して難しくない……はずだった。
(やっぱりこいつは一筋縄じゃいかねえな!)
湊はレイゴの攻撃を躱して躱して躱して躱して躱しまくっている。
『理界踏破』中は加速法などの法技は使えない場合が多いが、レイゴの『華喰悉血』は発動前で『斬る』ことで発動するので、一部の法技は使える。
……それでも、当たらない。斬れない。
(だけどッッ! 余裕はあんまりなさそうだなおいッッ!!)
爆発的にパワーアップしたレイゴの連撃を躱し捌くので精一杯であることは、例え仮面を被っていて表情が読み取れなくても、わかった。
狂人法と掛け合わせ、例えS級であっても視界に捉えることも困難なレイゴの超スピードから繰り出される斬撃。
神速の横薙を湊は屈んで躱し、間髪入れずに切っ先を体の中心目掛けて突き入れるが湊は風を纏った音叉で軌道を逸らし、二刀の攻撃をいなした間隙に湊は音叉をレイゴの体目掛けて振るうがそれよりも早くレイゴの刀が湊の首元まで接近していて瞬時に横にスライドするように避ける。
だがその避けた先にレイゴの刀が待ち受けており、湊の肩から袈裟斬りせんと豪速で刀を振り下げる。
「『一面結界』」
しかし袈裟斬りを読んでいた湊が予め『一面結界』の準備をしており、レイゴの斬撃に合わせて発動する。
…………だが。
「今は効かねえぜッ!! それッッ!!」
先程は弾かれてしまったが、レイゴは今度こそ『一面結界』のほんの微かに脆い箇所を『天超直感』で察知し、乱流法を纏った刀で、まるで紙でも斬るように『一面結界』の両断してみせた。
「……なるほど。そうなってるわけね。やっと見れた」
しかし湊は既に離れた距離まで移動しており、そこから冷静に分析していた。
「どうしたよぉ? 分析ばっかしやがって。かかってこねえのか?」
「いやいや、今のお前に迂闊に近付けないって。当たったらやられちゃうわけだし」
「だからこうやってのらりくらりと時間稼ぎして、この『華喰悉血』が切れるまで待とうってのか?」
「………」
「西園寺瑠璃の娘…ブローディアっていったか? 確かにあいつと遊び過ぎて気かなり使っちまったし、その後来たコスモスとかいうヤバイ奴にごっそり気消されて、その直後だったら『華喰悉血』も数分で切れちまったと思うが……、イーバのおかげでかなり気回復したからな。……あと半刻は余裕で維持できるぜ?」
「へー? じゃあ当てられるといいね」
「チッ!」
湊のまるで相手にしていない態度に、レイゴがまた怒りを激化させる。
「強がってんじゃねえよ!」
レイゴの気が更に膨れ上がった。
そして湊へ斬りかかった。
湊は音叉で軌道を逸らして防ぎ、レイゴは多少バランスが崩れることなど構わず怒涛の攻撃を続ける。
暗い夜空の下、目にも止まらぬ二人の攻防が繰り広げられ、気の光が微かに二人の軌跡をなぞって綺麗な線を描いでいる。
頂上決戦という名に相応しい戦いの最中、レイゴは心中で叫んだ。
(クロッカスッ! 確かにお前は強いッッ! スピードは間違いなく俺が戦った中で上位三指に入るッッ! 気配消しに関しては鎮静系の極致だろうッッ! 気操作技術も西園寺瑠璃に匹敵するッッ!)
それでも。
(それでもッッ! 唯一お前には力ッッ! 身体能力が足りないッッ! それがお前の弱点だッッ! だからこのまま攻めれば俺が競り勝つッッ!!)
…レイゴの考えは当たっていた。
成長途中とはいえ体格に恵まれていない湊はしなやかさと身軽さを極めたが故に、純粋な力が不足している。
膨大な気量と、『超過演算』を活かした駆け引きで、例え同格のS級を相手にしても互角以上に渡り合えるので十分だったのだ。
……しかし、レイゴという身体能力型の究極系による駆け引きを無視した怒涛攻めによって、強引に力対決に持ち込まれた。
このまま体力と力任せにレイゴが攻め続ければ、先に綻びを見せるのは湊だろう。
(……だが、やっぱこの右眼と右半身じゃ、もう一押し足りねえな)
コスモスに焼き消された右眼と、ブローディアの渾身の反撃によって折られた右腕右脚が、レイゴの付け入る隙となってしまっている。
湊へ怒涛攻めしている今この時も、一瞬でもレイゴが隙を見せればレイゴの右眼右半身を起点に仕留めようとする。
湊相手に、そう簡単にはいかない。
(………………チッ、もたもたしてたらイーバもアルガもやられて足止めの意味がなくなる…ッ。……これ以上はさすがに危険だからやりたくなかったが……やっちまうかッッ!!)
湊へ攻撃を繰り出しながら、レイゴは心の中で静かに決心し、強化の気を脳へ集中した。
「っ!」
レイゴが何をするつもりか気付いた湊が声を上げた
「狂人法………その威力は後遺症どころじゃ済まなくなるかもよ?」
そう。
レイゴは更に脳へ負荷を掛け、脳の重度の損傷、後遺症、廃人化も気にせず、出力を爆上げしたのだ。
残った左眼から血の涙を流しながら、レイゴは絶叫した。
「ラアアアアアアアアァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアァァァァァアァァァッッッ!! これで終いだアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァアアアアアアァアァアアァアッッッ!!」
レイゴの身体能力が軽く見積もっても二倍、跳ね上がった。
血管がドクドクと浮き上がった丸太のような右腕での横薙を湊は音叉を軽く当てつつ受け流そう……としたが、そのまま湊の左腕が跳ねるように弾かれてしまう。折れて補強した右腕でこの威力である。
慌てて湊が屈んで躱すが、バランスが崩れている。レイゴは湊が屈んだ瞬間、左脚で大砲の如き蹴り上げを放った。湊はその蹴りに向けて、音叉の尖った先端を突き立てた。
レイゴの左脚の太い脛に音叉が刺さる……が、少し失速したがそのまま蹴り上げた。多少刺さったことなど気にしていない。
「それは悪手だね」
しかし湊はその蹴りを躱しつつ、左脚に刺さったままの音叉を持つ左腕を力強く捻った。
そして次の瞬間、蹴り上げている最中、ボキッッと鈍い音を立ててレイゴの左脚が折れた。
「だからなんだよッッ!」
レイゴはその左脚を瞬時に補強法で補い、あろうことか、蹴り上げた状態から踵堕としを打ちおろした。
「ぅッッ!?」
レイゴの左踵堕としが湊の右肩を直撃し、湊の口から鈍い声が漏れる。
鎮静の気を集中させて防いだが、強化系の攻撃を無傷で済ますことはできず、骨にひびが入ってしまっている。
「オラアァッッ!」
更にレイゴが二刀を振り下ろして畳みかけてくる。
湊は僅かな重心移動で紙一重で躱し、余裕を持って後方へ跳んで距離を取る。
「遅ぇなッッ!!」
しかしレイゴは超強化された加速法で湊の背後に回り込み、二刀を振ってくる。
「『一面結界』」
だが湊はそのレイゴの動きを読んでスモークガラスのような壁を張る。
「だからそれはもう効かねえんだよッ!」
レイゴは叫びながらまるでそこに何の障害も無いかのように斬る。
「ッ!?」
しかし次の瞬間レイゴが眉を顰めた。
湊の姿が消えていたのだ。
スモークガラスのような『一面結界』で視界を塞ぎ、静動法で気配を絶ってその場から離脱したのだろう。
「ッッ!」
そしてレイゴの左右から二人の湊が肉迫していた。
『陽炎空』による空気密度操作で分身幻影を作ったのだ。幻影とはいえ、元々気の気配が希薄な鎮静系であるが故に、探知法だけでは見分けがつかない。
(隙を見せれば小細工ばっかりッッ!! だけど温いんだよッッ!!)
レイゴは刀を後方へ振り上げた。
そして。
「こっちだッ!」
ガキンッ!と刀と音叉が受け止める。
左右の湊は両方共幻影で、本物は背後から姿と気配を絶って接近していたのだ。
「今のバレるかっ」
「俺の『天超直感』は絶賛最高潮中だぜッッ!」
ぐっと、レイゴが力を入れると骨にひびが入った湊の右肩から力が抜け、バランスが崩れてしまう。
なんとか刀を受け流したが、もう一本の刀が湊の首に差し迫っており、湊はコンマ一ミリの差で躱す。
そこからは夥しいレイゴの斬撃に対し、湊は防戦一方であった。
首、目、腕、手首、心臓、鳩尾、脇腹、太腿、脛、足首。数秒の間に様々な部位を斬りつけようとするレイゴの攻撃を、湊は持ち前のしなやかさで捌き、防ぎ、躱してみせる。
………だが、それも長くは続かなかった。
ガキィィンッ、と右手に持っていた湊の音叉がレイゴの力に耐えきれず手放してしまう。
すかさずレイゴの横薙による連撃を繰り出して湊が躱す間もなく音叉で対処させられる。今度は音叉を手放さなかったが、衝撃に耐えきれず腕が広がってしまった。
「ここだアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアァァアアアッッッ!」
湊の決定的な隙を、レイゴは見逃さなかった。
腕が弾かれ広がってしまうほどの反動で一瞬湊の体が鈍くなった、その時、レイゴの刀による振り下ろしが湊の胴体を、捉えた。
………そして、刃が、届いた。
『華喰悉血』
その、瞬間。………………湊の瞳が、輝いた。
理界踏破 『誘靡』
■ ■ ■
「な……に、が…ッッ!?」
勝ったはずだった。
殺したはずだった。
奥の手『華喰悉血』で湊の全てを斬り刻んだはずだった。
…………それなのに、気が付けば、レイゴは顎を蹴り上げられ、体が宙を舞っていた。
「ぐっ…!」
レイゴはアジトの屋上を転がりながらも受け身を取ろうとするが、ごろごろと転がり擦ってしまう。
「なん…ッ、だよ…ッ! これッ!?」
立ち上がろうとするが、視界が揺れ、膝が震えて上手く立ち上がれない。
「無駄だよ。脳震盪を起こしてるからね」
湊が落とした音叉を拾いながら、軽く言葉を投げかけた。
「自分で言うのもあれだけど、俺の振動法はS級の中でもピカイチでね。音叉はあくまで補助、素手や蹴りでも〝振動〟の威力は結構ヤバイんだ。
……それで今、あんたの顎を蹴って脳を揺らし、ヤバめの脳震盪が起こした。ついでに鎮静の気で狂人法もほぼ解いちゃったから、その反動で脳みそかなりキツイ状態になってると思うよ」
「ハァッ、ハアァッ、ハアァッッ! …………そんなことッッ! 聞いてないんだよッッ!」
狂人状態から正気に戻りつつあるレイゴは、刀を手放してズキズキと痛む頭を押さえながら大声を張り上げた。
「今ッッ! 何をやったッッ!? 俺の刀は届いたはずだ! 『華喰悉血』が決まるはずだったッッ!! それなのに……どうして俺がこんな目に遭ってごぼっっっ!」
自分の大声が体調に障ったのか、レイゴが吐血する。
湊が言っていたように、脳震盪と狂人法を酷使した代償が相当レイゴを蝕んでいるのだ。
(ぅぐッ、補強法が…ッ)
脳のダメージがどんどん重くなり気操作が覚束なくなって折れた右腕両脚を補っていた補強法が解けてしまう。
四つん這いで膝を付くこともできなくなって倒れ込み、その衝撃でまた吐血してしまう。
(なんだよ……この血……なんで………なにが…………ッッッ!!!)
脳の損傷が激しい所為か、精神面が脆くなり、自分が吐いた血溜まりと骨折の激痛で目尻に涙を浮かべている。
数秒経つごとに力がどんどん抜けていき、息切れと痛みが激化していき、そんな自分が既に限界近いことを悟って絶望がレイゴの脳を満たしていく。
……レイゴは今日だけで幾度か絶望に見舞われたが、心の片隅にまだ余裕が残っていた。
奥の手『華喰悉血』があったからだ。
例え『聖』の隊長であろうと、『華喰悉血』を決めれば確実に死ぬ。
一対一という逃げやすい場に持ち込んだ湊を嘲笑していた。
…………それなのに、今、レイゴは脳内を掻き乱され、五体満足に動かせない状態で地に伏している。
「とりま、ありがとね。………本気の殺意が籠った『華喰悉血』。よかったよっ」
そんな心身共にぼろぼろなレイゴに、湊が声を掛けた。
……………ようやくレイゴは、自分の終焉を悟り、これから自分がどうなってしまうのか想像して、今度こそ本物の〝絶望〟に見舞われた。
■ ■ ■
クロッカスこと漣湊の理界踏破。
名を、『誘靡』。
その能力は………〝未来の消滅〟。
『超過演算』によって起こりうる〝未来〟全てを予測し、その〝未来〟に干渉して、消し去る。
湊は確かに今、掠った程度であるが、レイゴに『斬られた』。
しかし『華喰悉血』の〝心〟と〝体〟をズタズタに斬り裂くという結果、レイゴの干渉力から自分がどのような状態に陥るかを『超過演算』で完璧に予測し、その〝全てを斬り裂かれた未来〟を〝消滅〟させた。
結果、湊には何も起こらず、勝ちを確信して隙だらけだったレイゴの顎を蹴り上げたのだ。
………そもそも『華喰悉血』を喰らう以前、レイゴに『斬られる』という〝未来〟を消滅させれば、レイゴの干渉力から『華喰悉血』によって自分がどのような状態に陥るかなどという複雑な未来を予測する必要もない。
だが湊は本気の『天超直感』による干渉力を体験すべく、万が一の時の為にコスモスが遠くで控えていることを確認し、レイゴの土俵で『理界踏破』の勝負を仕掛けたのだ。
都合の悪い未来を消してしまう。
それが漣湊の理界踏破『誘靡』である。
当時S級のレイゴに匹敵する実力の持ち主であり、中々攻め切れずに時間と疲労だけが蓄積していった。
ハァ、ハァ、ハァと互いに息を切らせながら、レイゴは目の前の二十代後半の男に向かって言った。
「おいおいどうしたよ! 兄貴! そんなんじゃ俺を殺せねえぞ!」
その男の名は紅蓮奏華哉土。レイゴの実兄だ。
「この恥知らず! ……もういい。この技で決めてやる」
哉土が腕を交差させ、二刀を上段に構えた。
紅華鬼燐流・秘奥零式『華喰悉血』。理界踏破の剣技である。
「おうおう! 最後はやっぱ零式だよな! じゃあ俺もやるしかないよな!」
レイゴも同じように構え、気を練り上げ始めた。
「……わかっているのか? 登。『華喰悉血』同士のぶつかり合いでは『天超直感《ディバイン・センス》』がより優れた方に軍配があがる。……確かにお前のそれは凄まじいが、紅蓮奏華家随一の『天超直感』の持ち主が私であることは、誰よりもお前が知っているだろう」
哉土に言われ、過去に兄に一歩及ばなかった頃の記憶が駆け巡る。
散々、辛酸をなめされられたものだ。
「確かに、俺は兄貴に敵わなかった」
実力差をしおらしく認めたかと思いきや……、レイゴがニヤリと笑った。
「でもなぁ……家を抜けて解放されて、なんだか俺の脳までいけない扉開いた感じに解放されちゃったみたいでよ! なんだか俺の勘めちゃくちゃ冴え渡っててよ! ………今マジ誰にも負ける気がしないんだっ」
「………くだらない。その妄想ごと叩き切り、引導を渡してやる! 行くぞ!」
「おうよ!」
「「 紅華鬼燐流・秘奥零式『華喰悉血』 」」
……紅華鬼燐流の絶対的な奥義『華喰悉血』。
強化系の特性は『性能・性質の向上』。
『天超直感』とは言わば、無意識に森羅万象へ干渉し、過程を省いて結果を先取りする力。
その『天超直感』という性能を限界以上に超強化することで、一つの結果を現実化することを可能とした。
……………『全てを斬る』という、結果を。
ここでいう全てとは、〝心〟と〝体〟を指す。
〝心〟とは、信念・矜持・誇り・自負・糧・目的・志など、正に〝心の支え〟。理界踏破によってその〝心〟に干渉し、ズタズタに斬り裂いてしまう。
〝体〟は名の通り物理的な肉体だが、二刀による二斬りに留まらず、『斬る』という結果を幾つもその〝体〟に刻んでしまう。
『華喰悉血』は無意識の内に敵の構成要素全てに干渉し、〝心〟も〝体〟も斬り捨てる。
普通なら〝体〟に刻まれた無数の切り傷による出血多量で死ぬ。
生きていたとしても、〝心〟を斬り裂かれ、立ち上がる気力どころか生きる気力さえも失い、最悪の場合は廃人と化してしまう。
……必殺にして必勝にして残酷な、剣技である。
『華喰悉血』同士の衝突となれば、『天超直感』の干渉力が高い方が勝つ。
超大な気の轟く鳴動で大地や大気を揺らしながら、レイゴと哉土の『華喰悉血』が衝突する。
………そして、最後立っていたのは、レイゴだった。
全身に数えきれない斬撃の跡を刻まれ、目の焦点が合っていない哉土に、
「あばよ。やっぱ俺が一番だ」
そう言って、心臓に刀を突き立てた。
■ ■ ■
「紅華鬼燐・秘奥零式『華喰悉血』」
湊に対し、レイゴが必殺技を繰り出す。
膨大な気を纏って湊に向かって突撃するレイゴは、狂人法で脳に負荷を掛けながら冷静に考えていた。
(『華喰悉血』の唯一の欠点は必中ではないこと! 防硬法越しでもいい! 少し掠らせるだけでもいい! とにかくクロッカスを『斬る』という動作をすれば、『華喰悉血』が発動する!)
レイゴは〝猛毒の剣〟を持っているような状態だ。当たれば殺せるが、当たらなければ意味がない。
『華喰悉血』は身体能力を高める剣技ではないが、『理界踏破』の副次効果で莫大で濃密な気を纏っており、結果的に言えば身体能力も飛躍的に高まっている。
さらに『天超直感』を超強化する剣技なので超直感も優れており、掠らせる程度なら『斬る』という動作も決して難しくない……はずだった。
(やっぱりこいつは一筋縄じゃいかねえな!)
湊はレイゴの攻撃を躱して躱して躱して躱して躱しまくっている。
『理界踏破』中は加速法などの法技は使えない場合が多いが、レイゴの『華喰悉血』は発動前で『斬る』ことで発動するので、一部の法技は使える。
……それでも、当たらない。斬れない。
(だけどッッ! 余裕はあんまりなさそうだなおいッッ!!)
爆発的にパワーアップしたレイゴの連撃を躱し捌くので精一杯であることは、例え仮面を被っていて表情が読み取れなくても、わかった。
狂人法と掛け合わせ、例えS級であっても視界に捉えることも困難なレイゴの超スピードから繰り出される斬撃。
神速の横薙を湊は屈んで躱し、間髪入れずに切っ先を体の中心目掛けて突き入れるが湊は風を纏った音叉で軌道を逸らし、二刀の攻撃をいなした間隙に湊は音叉をレイゴの体目掛けて振るうがそれよりも早くレイゴの刀が湊の首元まで接近していて瞬時に横にスライドするように避ける。
だがその避けた先にレイゴの刀が待ち受けており、湊の肩から袈裟斬りせんと豪速で刀を振り下げる。
「『一面結界』」
しかし袈裟斬りを読んでいた湊が予め『一面結界』の準備をしており、レイゴの斬撃に合わせて発動する。
…………だが。
「今は効かねえぜッ!! それッッ!!」
先程は弾かれてしまったが、レイゴは今度こそ『一面結界』のほんの微かに脆い箇所を『天超直感』で察知し、乱流法を纏った刀で、まるで紙でも斬るように『一面結界』の両断してみせた。
「……なるほど。そうなってるわけね。やっと見れた」
しかし湊は既に離れた距離まで移動しており、そこから冷静に分析していた。
「どうしたよぉ? 分析ばっかしやがって。かかってこねえのか?」
「いやいや、今のお前に迂闊に近付けないって。当たったらやられちゃうわけだし」
「だからこうやってのらりくらりと時間稼ぎして、この『華喰悉血』が切れるまで待とうってのか?」
「………」
「西園寺瑠璃の娘…ブローディアっていったか? 確かにあいつと遊び過ぎて気かなり使っちまったし、その後来たコスモスとかいうヤバイ奴にごっそり気消されて、その直後だったら『華喰悉血』も数分で切れちまったと思うが……、イーバのおかげでかなり気回復したからな。……あと半刻は余裕で維持できるぜ?」
「へー? じゃあ当てられるといいね」
「チッ!」
湊のまるで相手にしていない態度に、レイゴがまた怒りを激化させる。
「強がってんじゃねえよ!」
レイゴの気が更に膨れ上がった。
そして湊へ斬りかかった。
湊は音叉で軌道を逸らして防ぎ、レイゴは多少バランスが崩れることなど構わず怒涛の攻撃を続ける。
暗い夜空の下、目にも止まらぬ二人の攻防が繰り広げられ、気の光が微かに二人の軌跡をなぞって綺麗な線を描いでいる。
頂上決戦という名に相応しい戦いの最中、レイゴは心中で叫んだ。
(クロッカスッ! 確かにお前は強いッッ! スピードは間違いなく俺が戦った中で上位三指に入るッッ! 気配消しに関しては鎮静系の極致だろうッッ! 気操作技術も西園寺瑠璃に匹敵するッッ!)
それでも。
(それでもッッ! 唯一お前には力ッッ! 身体能力が足りないッッ! それがお前の弱点だッッ! だからこのまま攻めれば俺が競り勝つッッ!!)
…レイゴの考えは当たっていた。
成長途中とはいえ体格に恵まれていない湊はしなやかさと身軽さを極めたが故に、純粋な力が不足している。
膨大な気量と、『超過演算』を活かした駆け引きで、例え同格のS級を相手にしても互角以上に渡り合えるので十分だったのだ。
……しかし、レイゴという身体能力型の究極系による駆け引きを無視した怒涛攻めによって、強引に力対決に持ち込まれた。
このまま体力と力任せにレイゴが攻め続ければ、先に綻びを見せるのは湊だろう。
(……だが、やっぱこの右眼と右半身じゃ、もう一押し足りねえな)
コスモスに焼き消された右眼と、ブローディアの渾身の反撃によって折られた右腕右脚が、レイゴの付け入る隙となってしまっている。
湊へ怒涛攻めしている今この時も、一瞬でもレイゴが隙を見せればレイゴの右眼右半身を起点に仕留めようとする。
湊相手に、そう簡単にはいかない。
(………………チッ、もたもたしてたらイーバもアルガもやられて足止めの意味がなくなる…ッ。……これ以上はさすがに危険だからやりたくなかったが……やっちまうかッッ!!)
湊へ攻撃を繰り出しながら、レイゴは心の中で静かに決心し、強化の気を脳へ集中した。
「っ!」
レイゴが何をするつもりか気付いた湊が声を上げた
「狂人法………その威力は後遺症どころじゃ済まなくなるかもよ?」
そう。
レイゴは更に脳へ負荷を掛け、脳の重度の損傷、後遺症、廃人化も気にせず、出力を爆上げしたのだ。
残った左眼から血の涙を流しながら、レイゴは絶叫した。
「ラアアアアアアアアァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアァァァァァアァァァッッッ!! これで終いだアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァアアアアアアァアァアアァアッッッ!!」
レイゴの身体能力が軽く見積もっても二倍、跳ね上がった。
血管がドクドクと浮き上がった丸太のような右腕での横薙を湊は音叉を軽く当てつつ受け流そう……としたが、そのまま湊の左腕が跳ねるように弾かれてしまう。折れて補強した右腕でこの威力である。
慌てて湊が屈んで躱すが、バランスが崩れている。レイゴは湊が屈んだ瞬間、左脚で大砲の如き蹴り上げを放った。湊はその蹴りに向けて、音叉の尖った先端を突き立てた。
レイゴの左脚の太い脛に音叉が刺さる……が、少し失速したがそのまま蹴り上げた。多少刺さったことなど気にしていない。
「それは悪手だね」
しかし湊はその蹴りを躱しつつ、左脚に刺さったままの音叉を持つ左腕を力強く捻った。
そして次の瞬間、蹴り上げている最中、ボキッッと鈍い音を立ててレイゴの左脚が折れた。
「だからなんだよッッ!」
レイゴはその左脚を瞬時に補強法で補い、あろうことか、蹴り上げた状態から踵堕としを打ちおろした。
「ぅッッ!?」
レイゴの左踵堕としが湊の右肩を直撃し、湊の口から鈍い声が漏れる。
鎮静の気を集中させて防いだが、強化系の攻撃を無傷で済ますことはできず、骨にひびが入ってしまっている。
「オラアァッッ!」
更にレイゴが二刀を振り下ろして畳みかけてくる。
湊は僅かな重心移動で紙一重で躱し、余裕を持って後方へ跳んで距離を取る。
「遅ぇなッッ!!」
しかしレイゴは超強化された加速法で湊の背後に回り込み、二刀を振ってくる。
「『一面結界』」
だが湊はそのレイゴの動きを読んでスモークガラスのような壁を張る。
「だからそれはもう効かねえんだよッ!」
レイゴは叫びながらまるでそこに何の障害も無いかのように斬る。
「ッ!?」
しかし次の瞬間レイゴが眉を顰めた。
湊の姿が消えていたのだ。
スモークガラスのような『一面結界』で視界を塞ぎ、静動法で気配を絶ってその場から離脱したのだろう。
「ッッ!」
そしてレイゴの左右から二人の湊が肉迫していた。
『陽炎空』による空気密度操作で分身幻影を作ったのだ。幻影とはいえ、元々気の気配が希薄な鎮静系であるが故に、探知法だけでは見分けがつかない。
(隙を見せれば小細工ばっかりッッ!! だけど温いんだよッッ!!)
レイゴは刀を後方へ振り上げた。
そして。
「こっちだッ!」
ガキンッ!と刀と音叉が受け止める。
左右の湊は両方共幻影で、本物は背後から姿と気配を絶って接近していたのだ。
「今のバレるかっ」
「俺の『天超直感』は絶賛最高潮中だぜッッ!」
ぐっと、レイゴが力を入れると骨にひびが入った湊の右肩から力が抜け、バランスが崩れてしまう。
なんとか刀を受け流したが、もう一本の刀が湊の首に差し迫っており、湊はコンマ一ミリの差で躱す。
そこからは夥しいレイゴの斬撃に対し、湊は防戦一方であった。
首、目、腕、手首、心臓、鳩尾、脇腹、太腿、脛、足首。数秒の間に様々な部位を斬りつけようとするレイゴの攻撃を、湊は持ち前のしなやかさで捌き、防ぎ、躱してみせる。
………だが、それも長くは続かなかった。
ガキィィンッ、と右手に持っていた湊の音叉がレイゴの力に耐えきれず手放してしまう。
すかさずレイゴの横薙による連撃を繰り出して湊が躱す間もなく音叉で対処させられる。今度は音叉を手放さなかったが、衝撃に耐えきれず腕が広がってしまった。
「ここだアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアアァァアアアッッッ!」
湊の決定的な隙を、レイゴは見逃さなかった。
腕が弾かれ広がってしまうほどの反動で一瞬湊の体が鈍くなった、その時、レイゴの刀による振り下ろしが湊の胴体を、捉えた。
………そして、刃が、届いた。
『華喰悉血』
その、瞬間。………………湊の瞳が、輝いた。
理界踏破 『誘靡』
■ ■ ■
「な……に、が…ッッ!?」
勝ったはずだった。
殺したはずだった。
奥の手『華喰悉血』で湊の全てを斬り刻んだはずだった。
…………それなのに、気が付けば、レイゴは顎を蹴り上げられ、体が宙を舞っていた。
「ぐっ…!」
レイゴはアジトの屋上を転がりながらも受け身を取ろうとするが、ごろごろと転がり擦ってしまう。
「なん…ッ、だよ…ッ! これッ!?」
立ち上がろうとするが、視界が揺れ、膝が震えて上手く立ち上がれない。
「無駄だよ。脳震盪を起こしてるからね」
湊が落とした音叉を拾いながら、軽く言葉を投げかけた。
「自分で言うのもあれだけど、俺の振動法はS級の中でもピカイチでね。音叉はあくまで補助、素手や蹴りでも〝振動〟の威力は結構ヤバイんだ。
……それで今、あんたの顎を蹴って脳を揺らし、ヤバめの脳震盪が起こした。ついでに鎮静の気で狂人法もほぼ解いちゃったから、その反動で脳みそかなりキツイ状態になってると思うよ」
「ハァッ、ハアァッ、ハアァッッ! …………そんなことッッ! 聞いてないんだよッッ!」
狂人状態から正気に戻りつつあるレイゴは、刀を手放してズキズキと痛む頭を押さえながら大声を張り上げた。
「今ッッ! 何をやったッッ!? 俺の刀は届いたはずだ! 『華喰悉血』が決まるはずだったッッ!! それなのに……どうして俺がこんな目に遭ってごぼっっっ!」
自分の大声が体調に障ったのか、レイゴが吐血する。
湊が言っていたように、脳震盪と狂人法を酷使した代償が相当レイゴを蝕んでいるのだ。
(ぅぐッ、補強法が…ッ)
脳のダメージがどんどん重くなり気操作が覚束なくなって折れた右腕両脚を補っていた補強法が解けてしまう。
四つん這いで膝を付くこともできなくなって倒れ込み、その衝撃でまた吐血してしまう。
(なんだよ……この血……なんで………なにが…………ッッッ!!!)
脳の損傷が激しい所為か、精神面が脆くなり、自分が吐いた血溜まりと骨折の激痛で目尻に涙を浮かべている。
数秒経つごとに力がどんどん抜けていき、息切れと痛みが激化していき、そんな自分が既に限界近いことを悟って絶望がレイゴの脳を満たしていく。
……レイゴは今日だけで幾度か絶望に見舞われたが、心の片隅にまだ余裕が残っていた。
奥の手『華喰悉血』があったからだ。
例え『聖』の隊長であろうと、『華喰悉血』を決めれば確実に死ぬ。
一対一という逃げやすい場に持ち込んだ湊を嘲笑していた。
…………それなのに、今、レイゴは脳内を掻き乱され、五体満足に動かせない状態で地に伏している。
「とりま、ありがとね。………本気の殺意が籠った『華喰悉血』。よかったよっ」
そんな心身共にぼろぼろなレイゴに、湊が声を掛けた。
……………ようやくレイゴは、自分の終焉を悟り、これから自分がどうなってしまうのか想像して、今度こそ本物の〝絶望〟に見舞われた。
■ ■ ■
クロッカスこと漣湊の理界踏破。
名を、『誘靡』。
その能力は………〝未来の消滅〟。
『超過演算』によって起こりうる〝未来〟全てを予測し、その〝未来〟に干渉して、消し去る。
湊は確かに今、掠った程度であるが、レイゴに『斬られた』。
しかし『華喰悉血』の〝心〟と〝体〟をズタズタに斬り裂くという結果、レイゴの干渉力から自分がどのような状態に陥るかを『超過演算』で完璧に予測し、その〝全てを斬り裂かれた未来〟を〝消滅〟させた。
結果、湊には何も起こらず、勝ちを確信して隙だらけだったレイゴの顎を蹴り上げたのだ。
………そもそも『華喰悉血』を喰らう以前、レイゴに『斬られる』という〝未来〟を消滅させれば、レイゴの干渉力から『華喰悉血』によって自分がどのような状態に陥るかなどという複雑な未来を予測する必要もない。
だが湊は本気の『天超直感』による干渉力を体験すべく、万が一の時の為にコスモスが遠くで控えていることを確認し、レイゴの土俵で『理界踏破』の勝負を仕掛けたのだ。
都合の悪い未来を消してしまう。
それが漣湊の理界踏破『誘靡』である。
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