おまけの兄さん自立を目指す 番外編集

松沢ナツオ

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ifストーリー エルビス編

Aー7

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次の日の朝…。俺達はもう一度、万が一に備える打ち合わせをしてから、ダイニングへと向かった。
そこには、ニルバ君がいた。エルビスの心配は的中していた事に、俺は元気な姿が嬉しいのと、すぐに逃げなくちゃいけないのではと言う思いで背中に冷たい物が流れてた。

「おお、ジュードちゃん、エイデンさんおはよう!ニルバが元気になったんだよ!」
「良かった、ですね。」
「おはよう!ジュードさん、エイデンさん!」

口ごもってしまったが、幸い元気になった事への喜びで気がつかなかった様だ。

「おうさ!あの薬が効いたんだな~。」

エルビスと目を合わせて、これなら大丈夫かなと安心した。ちょうど薬を貰ったタイミングと合ったからバレなくて幸いだ。
ホッとした俺達は朝食をご馳走になり、泊めて貰うお礼として働く事にした。
染めの仕事をしているので、水を大量に使うのだが、その水の様子が最近違うのだそうだ。

「仕事すれば疲れるのは当たり前だ。でもな、ここん所やたらと疲れるんだ。」

キリルさんがボヤく。それは穢れって奴のせいなのかな。

「俺達は王都の方から来たけど、水がおかしいって思わなかったなぁ。」
「ああ、王都の水源はなんともないらしいぞ?だから王都に病人が治療に集まってるんだが、俺んところから王都は遠いから一番近くて大きめの教会に行ったんだよ。ツテもないからニルバを王都に居させることも出来んし。行くとしたら、教会になるしなぁ。」
「そうなんだ...。」
「でも、今日は調子が良いぞ!目一杯仕事出来そうだ!」
「それは良かった。」

良かったんだけど大丈夫なのか?それでも変な事が言えないし、俺達は染料の入れ物を移動させたり混ぜたりの手伝いをした。
そうこうして、あっという間に2日経ち、俺達は朝一の馬車に乗る事になった。キリルさんとバーリンさん達が見送ってくれる。早朝なので、ニルバはまだ夢の中だ。

「キリルさん、ありがとうございました。」
「お世話になりました。良くして頂きありがとうございます。」
「いやいや、手伝って貰って返って助かったよ。」

ぎゅっと握手する。

「ジュードちゃん…あんた不思議な力を持ってるな?」

俺もエルビスもビクッと震えた。

「あ、の、俺…!」
「キリルさん…あなたは…。」

エルビスの手から冷たい空気流れ、何かがキラリと光った。何?魔法って奴!?

「心配すんな。訳ありの様だが、儂らはあんたらの事話さないから、安心しな。命の恩人を売ったりしないさ。」

俺の手は震えていたと思う。その手をキリルさんはポンポンと軽く叩いた。

「ニルバが元気になったのは、あんたの力だろ?儂らも元気になったよ。ありがとうな。」
「エイデンさん、これを持っていってくれ。」
「バーリンさん、これは?」

俺も見せて貰う。粉?

「染め粉だ。…必要なんだろう?」
「「!?」」

気がついてた?なんで?

「2人来たって、噂が流れてな。持って行きな。」

そんな噂が流れてたなんて。この先も気をつけなくちゃいけないんだ…。

「ありがとう…ございます…。」
「このご恩は今は返せませんが…お二方に受けた恩は決して忘れません。」

エルビスと二人、深々と頭を下げた。

「良いって事よ。さぁ、馬車が出ちまうぞ?」
「気をつけてな。」

俺達は、もう一度頭を下げて馬車へと向かった。

「ジュンヤ様…。」
「うん…。」

それ以外何も言えないけど、俺達は心の底からキリルさん達に感謝していた。泣かない様に必死で堪え、視線を合わせ頷き合った。

味方ばかりとは限らない。だけど…今はその小さな奇跡を感謝して、次の旅に出る。
馬車に乗り込み、だんだんと遠ざかる町を見つめながら俺達は手を握っていた。

「次は、クードラって所へ行くんだっけ?」
「はい。クードラから先は沢山の馬車が有るので、また考えましょう。」
「うん。あー、結構乗るよね。クッション貰って助かった!エル…エイデンも使う?」
「いいえ、ジュードが使って下さい。」

エルビス、敬語に戻ってる。名前はセーフだけど…。そんな所がエルビスらしいなぁ。クードラまで一気に移動したい俺達だが、あの街でも俺と歩夢君の噂が流れているという。だから、大きな街は不安だ。
クードラからは中央都市ユーフォーンへの馬車など、沢山の方面の馬車があるので、そこから俺達の事を辿るのは難しいだろうと考えたんだ。

「どこかで歩いても良いね。そういう旅も良いんじゃないかな?」
「そうですね。ひとまずは二つ先の街まで行って考えましょう。次は農村だそうですから、降りても困るでしょうし。」

この先はエルビスもあまり知らないらしい。大きな街は色々行ったことがあるらしいけど、基本殿下に付いているからあまり王都を離れないそうなんだ。

窓の外をら見ると、農作地なんだが…気のせいかな?あまり緑が鮮やかじゃない様な。
そういうものかな?

「どうしました?」
「ん?うーん、なんだか、色がなぁと思って。」
「確かにさっきの村より、緑の色がくすんで見えますね。」

二人で頭を捻っていると、近場にいたおじさんが声をかけて来た。

「ここいら迄穢れが来てるんだよ。でも、まだマシだぜ?川の支流から外れた所や、穢れた泉やチョスーチの近隣とかは酷いもんだ。」
「そうなんですか…。」
「なんだって水があんな事になっちまったのかねぇ…。神子様が浄化してくれるってはなしだが、いつになる事やら。
きっと貴族がいる様な所や、大きな神殿がある所からなんだろうな。オレら庶民の所にいつ来てくれるやら。」

おじさんのグチはなかなか終わらなかった。俺に浄化の力をあるってエルビスは言った…。
あんな目に合わせた奴らはムカつくけど、キリルさん達の事がよぎった。歩夢君は何故いつまでも王都にいるのか。その力は俺だけなのか?

適当な相づちで誤魔化しながら、ずっと考えていた。

1つ目の村は休息だけにして、次の町へ。そう思っていた。
でも、困っている人達が沢山いるのなら…?俺はそんな人達を見捨てて、この国を出て行くのか?キリルさん達への恩も捨てて?
少しずつ、自分がこの世界に来た意味について考え始めていた。
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