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 あれからハルバード様と私は二人揃って伯爵家のご両親へ結婚のご挨拶に伺いました。
 もちろん最初は反対されましたがハルバード様が何時間も説得し、最終的には私がテナス商会の娘であることも考慮されてなんとか婚約を認めていただきました。

 そしてついに本日私たちは結婚式を挙げる運びとなりました。
 今現在私は控室で人の手を借りながら着替えをしていたところです。
 すると、ちょうど着替えが終わったタイミングで控室に父が入ってきます。

「おおメリエッダ、病で亡くなったわたしの妻、いやそれ以上に綺麗になったな」

「ありがとうございますお父様。今日という日を迎えられたのも、これまで育ててくれたお父様のおかげです」

「その言葉を聞けただけでもわたしは満足だよ。――さて、向こう方の妹君が訪ねてこられたからそちらにも挨拶をしなさい」

「はい、お父様」

「幸せになりなさい、メリエッダ」

 振り返った父は、涙が入り混じったような声で祝福の言葉を残してから控室を出ていきました。

「失礼するわ」

 しばらくしてから、私にはない気品にあふれた女性がやってまいりました。
 例の妹御です。

「まずは結婚おめでとうメリエッダ。お兄様との結婚、心から祝福するわ」

「ありがとうございます。これも婚約のご挨拶に伺った際、ハルバード様と一緒になってご両親に口添えをしてくれたあなた様のおかげです」

「ちょっと、顔を上げなさいな。いい? アナタはこれから私の義姉になるのだから、そんな風にかしこまらなくてもいいのよ。むしろ伯爵家の妻として堂々としてくれないと困るわ」

 の長女である様は、頭を下げた私に呆れたように声をかけます。

「そういうものなのですか。……分かりました、ではこれからよろしくお願いしますねルアンナ」

 そうそうその調子よと上品に笑うルアンナの姿に、なんだか自分にも妹ができたみたいで嬉しくなりました。
 上手くやっていけるか不安でしたが、これなら心配はいらないでしょう。

「ただね、二人の結婚がわたしのおかげってことだけは全面的に同意させてもらうわ。男爵家の男あんなヒモに別れさせ屋まがいのことまでしてアナタたちの恋のキューピッド役を買って出たのだから、感謝してほしいわ」

「別れさせ屋?」

「な、なんでもないわ、こっちの話よ」 

 なにやら不穏な単語を耳にしましたが、ここは聞かなかったことにいたしましょう。
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