これ以上ヒモ男を養うのは我慢の限界なので婚約破棄いたします!

日々埋没。

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断罪ルート

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あれからいくつかの月日が流れた。

 マッディとの婚約破棄も少し前に無事完了し、彼もまたその過程で男爵家から不教されて現在は平民落ちとなっている。

 ただロアンナの殺害未遂については貴族社会の通年上、侍従(平民)であることと彼が不教前に犯した行為であることから、残念ながら大した罪に問われることもなく、当然収監されるまでには至っていない。

 せいぜい罰金刑が課せられたくらいなもので、実質的に貴族の身分を取り上げられたことが最大の刑罰といえた。

 そしてその後の行方はようとしてしれない。

 風の噂では借金を理由に奴隷商に身売りされたとか、あるいは酒に酔った勢いで荒くれ者と喧嘩になって暴行死したなどと面白おかしく囁かれている。

 それからのロアンナについてだが、マッディと一緒に男爵家を追放されたあとは修道院に入ったと聞いている。

 しかしお腹の子はやはり手遅れだったらしく、想い人から命を狙われた事実と理不尽に我が子を失った悲しみから気が触れてしまい、結局自ら命を断ったという。

 だが分不相応の恋に手を出した報いだと彼女をそしることはできない。

 妊娠や出産どころか初夜の経験すらないが、私も同じ女である以上、母親としての権利を不当に奪われた彼女の深い絶望はよく理解できたから。
 
 せめてもの手向けとして、いずれ時間を作って彼女の墓に献花をしにいくつもりだ。

 そして最後に私のその後だが、父からは新たな縁談話を連日のように送られてきていた。

 あんなことがあったせいで今はまだそんな気になれず断り続けているが、次に誰かと婚約を結ぶときはただの政略結婚となるだろう。

 今回の一件で人を愛することが怖くなった。

 人から裏切られることが嫌になった。

 最初から愛のない結婚をしていればそういった苦しい思いはしないで済む。

 私は栄えある伯爵家をいずれ継ぐものとして、強くあらねばならない。

 だからこそ女としての幸せは諦めて、これからを生きていく。

「さあ、今日も忙しい一日になるわね」

 誰もいなくなった仕事部屋でひとりごちながらそっと愛用の筆を手に取った。

 ――それからほどなくして私の噂を聞きつけた隣国の王子からなぜか求婚されて溺愛されるハメになるのだが、それはまた別の話である。

              (断罪ルート完)
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