妹に全てを奪われた私、実は周りから溺愛されていました

日々埋没。

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 他人の不幸は蜜の味というが、それは貴族社会でも例外ではない。
 衆人環視の中で行われる公爵令嬢の婚約破棄、などというのはきっと最高の娯楽に違いない。

 だからこそアルフレッドに近づいたのだろう。
 おそらく、理想の婚約破棄の状況を実現させるために。

 どこまでも腐った性根である。
 あれは私を、リディア=ヴァンディールを辱め、貶めるためならば、そういった道理に反した悪行ですらいとも簡単に行う畜生なのだから。
 消えればいいのに。
 他人に甘え、他人に媚び、他人に力を借りないと物事をなすことのできない正真正銘の人豚が。

「…………(ニタァ)」

 気がつけば、あいつが勝ち誇った顔で私のことを見ていた。

 憎らしいことこの上ない。
 まるでなにもかも奪ってやったぞ、どうだ見たか! とでも言外に告げているかのようだ。
 自分は幸せで、私は不幸だとほくそ笑んでいるのかもしれないが、ふざけるな。
 お前のそれは幸せの前借りだ。
 いつかきっと必ずその代償を支払う時がくる。
 私はその時お前の哀れな姿を見て狂喜し、胸がすく想いに至るだろう。
 慈愛じあい愛惜あいせき憐憫れんびんもお前には今後一切抱くことはない。
 唯一お前に抱く感情はたった一つ、あえて言葉にするなら『ざまあみろ!』、だ。

 だからこちらも睨み返す。
 少しでもこの敵愾心てきがいしんが豚に伝わるように。

「アルフレッド殿下、ご準備が整ったようです」

「そうか、ではここに運んでくれ」

「はっ!」

 これまでアルフレッドの傍らに控えていた衛兵たちが一旦大広間の奥に消え、それから少ししてから再びキュルキュルと車輪の音を響かせながら戻ってきた。

 どうやらなにかを運んでいるらしい。
 ざわざわと物々しい雰囲気の中、衛兵たちの手によって持ち込まれたのは、

「……金の豚?」

 と表現しかできないものだった。
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