地味顔令嬢の私を「嘘の告白」で笑いものにするつもりですか? 結構です、なら本気で惚れさせてから逆にこっちが盛大に振ってあげます!

日々埋没。

文字の大きさ
6 / 9

06

しおりを挟む
 事情を知らない端から見れば順調で、当人たちからしてみれば双方に複雑な思惑のある交際関係はおおよそ滞りなく続き、早数日が過ぎた。

 当初こそ学園のアイドルであるマルスと一部で地味顔令嬢と呼ばれるリーンベイルとのまさかの熱愛発覚ということで騒がれ、同時に様々な憶測を呼んだりもしたのだがそれも徐々に薄れ、また恋の影響で覚醒を果たしたリーンベイル(本来の姿に戻っただけ)に少しずつ周囲からの応援の声も増えていき、今ではこれといったスキャンダルにもならなくなったのは有り難いというべきか。

「マルス様、これから占いでもどうでしょうか」

 そして本日、お互い帰宅の路につく途中で唐突にリーンベイルがそう切り出した。

「はあ? 占い?」

 興味ないのか露骨に顔をしかめるマルスの態度もなんのその、リーンベイルは続ける。

「ええ、ちょうど今よく当たると評判の占い師がこの辺りにおりまして。本来なら予約をするのも難しいのですが、運良く予約を取ることができたのでこれからどうかと思いまして」

「……まあいいけど」

 はあー女ってホント占いとかスピリチュアル系好きだよな、的な心の声が漏れて聞こえてきそうだが、あえて無視。
 それからリーンベイルはマルスを連れ立って件のの占い師がいる場所に赴いた。

 ◆

「――おやおや、そこの通りがかったカップル、どれ、記念に一つ占ってはいかないかね?」

 大仰で芝居がかった嗄れ声でリーンベイルたちを引き止めるのは、目深にフードをかぶった全身ローブ姿の御仁――というかミネルバだった。

「あれ、占いの予約してたんじゃないのか?」

 と、疑わしげなまなざしをここまで連れてきたリーンベイルに向けるマルス。

「え、ええ、ちゃんと! 占いの予約を! したはず! ですが!?」

 ちらっちらっとリーンベイルもまた近くの相方に視線をそれとなく流す。

「ごほんごほん! そうじゃったそうじゃった! リーベル、じゃなくてそこのお嬢ちゃんの予約が入っておったんじゃった! ついうっかり!」

「おいおい、大丈夫かよこの婆さん」

「どぅあれが婆さんじゃまだピチピチのじゅうだ――いやぁこの年になると色々と耄碌が始まって敵わんからのぉ。じゃが占いの腕に関していえば問題ないから安心なされよ」

 こめかみに青筋立てながらもなんとかそう取り繕うミネルバの姿に涙が禁じ得ない。

「ふーん、まあ別に俺は占いなんて正直どうでもいいんだけどさ、こい……彼女がどうしてもっていうからな」

 あいつ、リーンベイルのことをこいつと呼ぼうとしたな! あいつとこいつで紛らわしいけど! とミネルバ。

「ほほほ、興味ないのに彼女に付き合うだなんて反吐が出そうなほど素敵な彼、死(ボソッと)様ですなぁー。いやホントに反吐が出そうなくらい素敵、というかエネミー

「あれ、なんか俺アンタの恨みを買うようなことあった? めっちゃ当たりキツいんだけど」

 それはあったよ、とは口が裂けても言うまい。

「さあさ、じゃあ占うからそこに掛けて」

 言われた通りに占い師(ミネルバ)の目の前にある椅子に腰掛ける二人。ちなみに材質は片方はちゃんとした椅子で(リーンベイルはこっち)、もう片方は明らかにビールケースだった(マルスにはこれで充分)。

「それじゃあまずはそっちのいかにも女を泣かすことに関しては右に出る者のなさそうないかにもクズっぽい感じの男から」

「おい誰がクズだ! こっちは客だぞ!」

「あくまでクズ、っぽい感じだから。あーそれでどうする、なにで呪ってほしいの?」

「呪うんじゃなくて一応占いにきたんだよ俺は!? つーかさっきからなんなんだよマジでこいつ!」

 こうして絶対に笑ってはいけない占い、というていのコントが始まるのだった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

冷遇夫がお探しの私は、隣にいます

終日ひもの干す紐
恋愛
愛人がいるなら、さっさと言ってくれればいいのに! 妻に駆け落ちされた、傷心の辺境伯ロシェのもとへ嫁いでほしい。 シャノンが王命を受け、嫁いでから一年……とんでもない場面に立ち会ってしまう。 「サフィール……またそんなふうに僕を見つめて、かわいいね」 シャノンには冷たいの夫の、甘ったるい囁き。 扉の向こうの、不貞行為。 これまでの我慢も苦労も全て無駄になり、沸々と湧き上がる怒りを、ロシェの愛猫『アンブル』に愚痴った。 まさかそれが、こんなことになるなんて! 目が覚めると『アンブル』になっていたシャノン。 猫の姿に向けられる夫からの愛情。 夫ロシェの“本当の姿”を垣間見たシャノンは……? * * * 他のサイトにも投稿しています。

王太子殿下が好きすぎてつきまとっていたら嫌われてしまったようなので、聖女もいることだし悪役令嬢の私は退散することにしました。

みゅー
恋愛
 王太子殿下が好きすぎるキャロライン。好きだけど嫌われたくはない。そんな彼女の日課は、王太子殿下を見つめること。  いつも王太子殿下の行く先々に出没して王太子殿下を見つめていたが、ついにそんな生活が終わるときが来る。  聖女が現れたのだ。そして、さらにショックなことに、自分が乙女ゲームの世界に転生していてそこで悪役令嬢だったことを思い出す。  王太子殿下に嫌われたくはないキャロラインは、王太子殿下の前から姿を消すことにした。そんなお話です。  ちょっと切ないお話です。

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。

【完結】本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました

音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。 ____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。 だから私は決めている。 この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。 彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。 ……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。

余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる

ラム猫
恋愛
 王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています ※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。

あなたへの愛を捨てた日

柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。 しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。 レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。 「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」 エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。

煤かぶり姫は光の貴公子の溺愛が罰ゲームだと知っている。

朝霧心惺
恋愛
「ベルティア・ローレル。僕の恋人になってくれないかい?」  煌めく猫っ毛の金髪に太陽の瞳、光の貴公子の名を欲しいがままにするエドワード・ルードバーグ公爵令息の告白。  普通の令嬢ならば、嬉しさのあまり失神してしまうかもしれない状況に、告白された令嬢、ベルティア・ローレルは無表情のままぴくりとも頬を動かさない。  何故なら———、 (罰ゲームで告白なんて、最低の極みね)  黄金の髪こそが美しいという貴族の価値観の中で、煤を被ったような漆黒の髪を持つベルティアには、『煤かぶり姫』という蔑称がある。  そして、それは罰ゲーム結果の恋人に選ばれるほどに、貴族にとっては酷い見た目であるらしい。  3年間にも及ぶ学園生活も終盤に迫ったこの日告白されたベルティア、実家は伯爵家といえども辺境であり、長年の凶作続きにより没落寸前。  もちろん、実家は公爵家に反抗できるほどの力など持ち合わせていない。  目立つ事が大嫌いでありながらも渋々受け入れた恋人生活、けれど、彼の罰ゲームはただ付き合うだけでは終わらず、加速していく溺愛、溺愛、溺愛………!!  甘すぎる苦しみが、ベルティアを苦しめる。 「どうして僕の愛を疑うんだっ!!」 (疑うも何も、そもそもこの恋人ごっこはあなたへの罰ゲームでしょ!?)

処理中です...