俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

文字の大きさ
17 / 127

5

しおりを挟む

鈴木太郎(タッキー)side







「何してるのって、聞いてるんだけど」




 平坦な声で再び聞かれると、背筋がぞくっとした。俺とそんなに違わないくらいの年の子が、二つの闇のような目から光を消してただそこに立っている。俺の目の前にいた要は、ひくり、と一瞬表情を引き攣らせて、その後繕うように困ったような笑みを浮かべた。




「あ、え、っとぉ……ちょっと話、盛り上がっちゃってさ。新しい友達出来て嬉しくって顔近づけすぎたみたい」




 はは、とカッキーはさっき俺に見せてくれたような無邪気な顔ではなく、どこか機嫌を窺うような様子で流した。




「……ふーん。そう」




 颯斗と呼ばれたその子はハイライトの消えた目に少し光を取り戻したが、要に友達と紹介された俺を品定めするように目を細めて観察した。もちろん、全くよろしくする気がないことも分かる。強い敵意を感じた。




 この子、話を聞いた時から思っていたがやっぱり普通じゃない。




 今は何かしてくる気配は感じられないが、おそらく俺を必要ない、もしくは気に入らないと思ったらこの子はすぐに殺してくる。それも要の見ていないところでだ。




 温度のない視線に堪えていると、いきなり颯斗君はパッと人懐っこい笑みを浮かべて俺の方に来た。





「初めまして!僕は要の幼馴染で2年3組の漣颯斗です」








 なるほど、そういう……。





 俺は思わずそう心の中で呟いた。普段は優等生、良い子ちゃんなワケだ。スイッチの切り替えが上手い。多分これだとちょっとやそっとじゃこの子がおかしいって分からない。




 俺は負けず劣らずの笑顔で言った。






「お、初めまして俺は鈴木太郎、クラスは3の3。要君ことカッキーとは友達になりました」




「…そうなんですね!」






 俺の名前は完全にスルー、いや、ちょっと反応してたっぽいけど興味なさそう。それよりも俺があだ名で呼んだことと友達、と言ったことに本当に一瞬能面みたいな表情になっていた。要のことを言うのがアウトみたいだ。




 やっぱり、こいつ危険だな。




 要……カッキーはとても優しい。話題は真っ先に向こうから振ってくれたし、俺の話すこともすぐに広げてくれる。俺も人と話すのは苦手じゃないけど、要は俺よりももっと話が上手だし、みんなが話せることを聞いてくれるので答えやすい。ただ話してるように見えるけど、ほんとはすげぇ気遣ってくれてると思う。


 どういう流れか分かんないけど、多分、人間どころか生き物に興味なさそうなこの子は要にはめっちゃ興味ある。むずい言葉で言うと執着してる。それもちょっとどころじゃない。



 こういう人間を、過去に見たことがある。やがて周りを破滅に導く、危険因子だ。



 俺が険しい顔をしているのに気がついた要がハッとして、焦ったようにこっちを見た。




「あ!!タッキーごめん、用事があるんだったよな?引き止めてごめん」





 俺は校舎にかかってる時計にチラリと目を向けた。用事は家のことなので、実はまだもう少し時間がある。そこでちょっと仕掛けようと思って要に笑って頼む。





「おーそうそう。あ、ごめんなんだけどカッキー、向こうの掲揚台に俺の黒いランドセルあるからちょっと取ってきてくれない?俺、ちょっとトイレ行ってくるから」






 すまん!と両手を合わせると、カッキーは笑って「しょうがねぇなぁもう」と言いながら快く掲揚台まで走っていってくれた。




 もちろんトイレは嘘。でもランドセルはホントだから安心してほしい。



 要がいなくなると、颯斗君と俺は二人っきりになった。俺のことをまたあの冷たい目で見てくるあたり俺の嘘に気づいている。






「……行かないんですか、トイレ」




「はは、今行く気なくなっちゃってね」






 俺が笑うとより一層闇を含んだ目をする颯斗君。本当に小2なのかな。








「…さっき、要と何話してたんですか?」







 俺が仕掛ける前に向こうから話てきたので、俺は言おうとしていたことを飲み込んだ。








「颯斗君には関係ないことだよ。俺と、要の秘密」







 途端、颯斗君ははっきりとした殺意を目に忍ばせた。俺が裏で要、と名前で呼んでいることと、挑発されたのが気に入らないのだろう。




「ついでに言うけど、幼馴染っての利用して要を困らせんのやめな。あいつ、気がついてないっぽいけど側から見たらだいぶおかしいから」



「あなたには関係ないですよね」



「あるよ、俺は友達だもん」





 じ、と2つの漆黒が俺を睨む。もう少しで要が帰ってくる。そろそろ引き上げかな。




 そう思っていたら、颯斗君が最後に詰め寄ってきた。





「おかしいって言ったら、あなたの名前、偽名ですよね。そっちこそ要に近づかないでください」




 これにはちょっとびっくりした。鈴木はやっぱ普通すぎたかな?山田のが良かったかも。




 ま、この言葉は流したけど。






「失礼だなー。本当にこういう名前なんだよ。逆に珍しいだろ?」



「………」






 笑顔固めて無言で睨んでくる颯斗君をこちらも笑顔で迎えていると、要が走って戻ってきた。






「うわ、俺のが遅かった?ごめん!」





「いや、全然。ありがとうカッキー」







 はい、これで合ってる?と要が渡すランドセルを受け取って、俺は二人と別れた。







 漣颯斗、ね。






 ちょっと気にした方が良いかもしれない。









┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


ここの小学生の精神年齢と語彙力と滑舌とIQが高すぎる件^^

ま、まぁ二人は特別なのでゴニョゴニョ……
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は未定 ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い ・本格的に嫌われ始めるのは2章から

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

告白を全部ドッキリだと思って振ったら、三人のアイドルが壊れかけたので彼氏役をすることになりました

海野(サブ)
BL
大人気アイドルヘイロー・プリズムのマネージャーである灯也はある日、その担当アイドル 光留 輝 照真 に告白されるが、ドッキリだと思い、振ってしまう。しかし、アイドル達のメンタルに影響が出始めてしまい… 致してるシーンと受けが彼氏役を引き受けるとこしか書いてませんので悪しからず。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

ガラスの靴を作ったのは俺ですが、執着されるなんて聞いてません!

或波夏
BL
「探せ!この靴を作った者を!」 *** 日々、大量注文に追われるガラス職人、リヨ。 疲労の末倒れた彼が目を開くと、そこには見知らぬ世界が広がっていた。 彼が転移した世界は《ガラス》がキーアイテムになる『シンデレラ』の世界! リヨは魔女から童話通りの結末に導くため、ガラスの靴を作ってくれと依頼される。 しかし、王子様はなぜかシンデレラではなく、リヨの作ったガラスの靴に夢中になってしまった?! さらにシンデレラも魔女も何やらリヨに特別な感情を抱いていているようで……? 執着系王子様+訳ありシンデレラ+謎だらけの魔女?×夢に真っ直ぐな職人 ガラス職人リヨによって、童話の歯車が狂い出すーー ※素人調べ、知識のためガラス細工描写は現実とは異なる場合があります。あたたかく見守って頂けると嬉しいです🙇‍♀️ ※受けと女性キャラのカップリングはありません。シンデレラも魔女もワケありです ※執着王子様攻めがメインですが、総受け、愛され要素多分に含みます 不定期更新予定に変更させていただきます。 ♡、お気に入り、しおり、エールありがとうございます!とても励みになっております! 感想も頂けると泣いて喜びます! 第13回BL大賞55位!応援ありがとうございました!

処理中です...