俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

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「写真販売、なんとかして中止になんないかな…」



「無理だろうなー」






 あの後、なぜか修学旅行中に何回もあのカメラマンのお兄さんに出くわしてパシャパシャ写真を撮られた。いやマジで、お兄さん俺達専属なの?ってくらい行く先々に現れてた。しかもお兄さん、めっちゃ俺とタッキーの絡み期待してくんのよ。俺まともな顔してる写真一枚もないよあれ。


 隣でにべもなく希望を否定してくるタッキーをひと睨みし、ため息を吐く。周りを見るとみんな大体寝てて、疲れてるのが丸わかりだった。





 人生2回目の修学旅行というのもあっという間で、今はとうとう駅から学校までの帰りのバス。写真撮られまくり事件から一夜が明け、今からついに家に帰るのである。




 いやー、修学旅行も普段と違って楽しいし新鮮だけど、やっぱ家が一番だよなぁ。ファミコンの俺としては家よりいい場所は他にない。


 でも、修学旅行中俺がホームシックにならなかったのはやっぱりタッキーのおかげだろうなぁ。重度のファミコンでブラコンの俺ならそろそろ泣いてそうなもんだけど、この三日間はほとんどタッキーと過ごしたから全然寂しくなかった。棗に会いたいとかは思ったけど、早く帰りたいとかマイナスなことは考えなかったや。





 友達の力ってすげぇなぁ、とタッキーの横顔を盗み見る。窓の外を物憂げに眺めるその姿はまさにイケメン。くっそ、モブのくせにっ!!俺より顔いいじゃねぇかっ!!!どーなってんだこの世界!!






 …はぁあああもう、しーらねっ。どうせ俺はこの世界じゃ顔面偏差値低いですよーだ。







 勝手に不貞腐れて肘置きに肘を突くと、バスの程よい揺れによって途端に眠気が襲ってくる。うーん、俺も大概疲れてたのかも……ねむ…。


























 




















_____







「__ろ、……キー。こら、起きろ~カッキー」


 

「……んん?タッキー…?」



 




 ゆさゆさ、と肩を優しく揺らされて目を覚ます。あれ、俺寝てたのか……と目を擦りながら体を起こすと、他のみんなも眠そうな顔で起きるところだった。タッキーが窓の外を指差す。


 

「ほら、ついたみたいだぞ」


「んー?……おぉ、ほんとだ」




 見慣れたグラウンドにバスが停車する。先生が忘れ物はないか、とか寝てる人は起こせだとか指示を出して、みんな少し怠そうに腰を上げる。




「んぁー、マジ眠い…」


「思いっきり寝てたわ」

 
「やっと着いたー」

 
「荷物おもっ」

 



 ぞろぞろとバスから降りてグラウンドに集合。そして半ばみんな船を漕ぎながら先生のありがたいお話を聞いて、代表の挨拶を聞いて、カメラマンさんへお礼を言う。俺はお兄さんへお礼を言う時あの写真のこと思い出して顔が引き攣りそうになったけどね!!!



 まぁ、何はともかく、解散宣言が先生からされて楽しい修学旅行は幕を閉じた。



 ここからは自由解散、つまりいつも通り下校である。何人かは保護者が迎えに来ているけど、大概の生徒は普通に歩いて家まで帰るみたい。先生が拡声器で、



「無事に家に帰るまでが修学旅行です!!」



なんて言いながらグランドに残っている生徒に呼びかけていた。最後まで大変だ、先生も。





 
「俺たちも帰ろっか」




「ん、そうしよ」


 



 とはいえいつ先生の矛先がこちらに向くか分からない。俺たちは顔を見合わせ、早々に退散することにした。二人で門まで歩く。




「俺こっち行くけど、タッキーはどっち?」



「ん、俺も左」



「よっしゃ、じゃ一緒に帰れるな!」





 何だかんだ初めて帰るタッキーとの帰り道、俺は気分るんるんで歩いた。ちょっと疲れてるけど、人生2回目だしそんなに気疲れはしてない。それよりも、みんなに買ったお土産を渡すのが楽しみだ。母さんは要望あって八ツ橋にしたけど、父さんと棗、颯斗の3人は完全に俺の独断と偏見で決めたものだから少しドキドキしてる。喜んでくれるといいな。


 大事に紙袋を抱いて、のそのそと夕暮れの中を歩く。6時半ともなると流石にもう薄暗くて、街灯もちらほら点灯していた。沈黙がしばらく続く。何か話でも振ろうかと思ったけど、横のタッキーを見ると何だか別にいっかと思ってしまった。だって、タッキーはどこか遠くを見つめていたから。もしかしたら、疲れたのかもしれない。俺と違って初めての修学旅行なわけだし…というか、そもそも旅行が初めてなんだった。そりゃ疲れるわ。


 明日が土曜で良かった。これでいきなり次の日は授業ですとか言われたらみんなメンタルブレイクされてただろうな。俺はまだ耐えれるけど、タッキーみたいに疲れてる人からしたら地獄だ、きっと。





 と、そんなことを考えてたらいつの間にか家に到着していた。あれ、ということはタッキーの家はこれよりもさらに先なのか…。





 遠いんだなぁ、と憐れみつつ、俺は笑顔でタッキーに声を掛けた。






「んじゃ、俺ん家ここだから帰るな。まじで三日間ありがと、タッキーのおかげですっげぇ楽しかった!!気をつけて帰れよ、また学校で会おうな!」







 そう言って手を振り、玄関に向かおうとする。すると、後ろから呼び止めるように名前を呼ばれた。





 




「要」




 




 え、名前だ。



 びっくりした顔で振り返ると、タッキーがこちらに歩み寄ってきて目の前に立った。でっか、縮めよ…とどうでもいい身長アンチが頭をよぎる。
 

 タッキーがゆっくり瞬きして、静かに口を開いた。



  

「…手、出してくんね?」




「え?」






 急な言葉に面食らい、間の抜けた声が出る。けれど、タッキーはすごく真剣な顔をしていて、俺はついその気迫に流されて紙袋を手首に引っ掛けて両手を出した。タッキーは、ん、と少し頷くと、何やら手に持っていた袋から小さな包みを取り出して、俺の手の上にそっと置いた。



 そして少し柔らかく笑む。







「あげる。俺からのプレゼント」





「えっ!?」







 俺はそれはもうびっくりして、思わずタッキーの顔と包みを交互に見てしまった。

 

 それは、俺が箸置きを買ったお土産屋さんの包装だった。え、じゃあ、あの時タッキーが買った物の中にこれも含まれてたの!?まじで!?そんな初期段階で買ってたのか…って、いや待て待て、





 
「お、俺お前に何も買ってない……」






 さーっと血の気が引いて、絶望する。

 どうしよ俺、家族と颯斗以外の人にお土産買ってないから咄嗟に渡せるもん何にもないんだが!?いやだって、一緒に修学旅行行ったやつがプレゼントくれるとか誰が予想できんの?待って、俺ただでさえタッキーにアイス奢ってもらってるのにこんなん貰ったら俺めっちゃしてもらってばっかになっちゃうじゃん!!




 しかしタッキーは俺の言葉をクスッと笑って一蹴する。







「いいんだよ、別に俺見返りを求めてるわけじゃないし」





 それどころか、





「そんなことより開けてみて」





 と俺に開封を急かした。慎重に包装紙を開ける。斜めにすると、シャッ、と中から何かが滑り出てきた。それをまじまじを見つめる。






「っえ、これ……ペンダント?」






 それは、銀色に輝くシンプルなペンダントだった。


 男女兼用デザインっぽくて、中央に四角い銀のタグみたいなのと白く輝く綺麗な石がチェーンに吊り下がっている。光が当たるとキラキラと艶やかに輝いていた。




 え、めっちゃ綺麗……でもこれ、どう見ても高そう…こいつもしかして、これ買ってほとんどお土産代消費したんじゃ……。




 青ざめる俺に、タッキーは淡々と説明する。







「錫と京都オパールのペンダントなんだけど、男でも割といけそうなデザインだし、結構綺麗だろ?」







 いや何その高そうな二種。







「いや、めっちゃ綺麗だし、すっげぇ嬉しいけど……これ高いだろ?」





「いやそうでもない。値段だけなら箱のお菓子買うのとそんな変わらないし」








 え、ええ……ほんとかよ…。





 半信半疑でタッキーを見るけど、本人は悠然と微笑んでてこれ以上何も知れなさそうだった。







「あ、俺着けてみてもい?」







 それどころか話題転換までされてしまい、俺はすっかり真相を問うのを諦めて頷いた。着けやすいようにシャツを第二ボタンまで開けて首元を見せると、タッキーが後ろに回って首の後ろで留めてくれた。







「ん、いいな。似合ってる」







 俺からはイマイチ見えないのでなんとも言えないが、タッキーがとても嬉しそうにするので何も言わないでおく。



 その内なんだか妙に照れくさくなってきて、俺は頬を掻きながらお礼を言った。恋人同士かよ。





「あー……サンキュ。めっちゃ嬉しいし、大事にする。今度絶対俺からもなんか返すわ」




「別にいいって……毎日それ着けてくれれば」






 え。





「そんなんでいいのかお前……」




「そんなんでって結構重要だからこれ」






 笑いながらタッキーはそう言って、約束な、と目を細めた。俺は頷いて、バイバイ、と今度こそ手を振ると、タッキーが思い出したようにこちらを再度見た。















「じゃあな、要」














 ふに、と柔らかい感触が額にぶつかる。唖然としていると、してやったり、みたいな顔でタッキーが軽やかに笑って離れていった。そして一回振り返って片手を上げると、そのまま去って行く。








 

「……っ!?」











 こ、この天然タラシ兼プレイボーイがっ!!!!!







 爆弾落として帰ってんじゃねぇー!!!
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