俺を殺す君に!

馬酔木ビシア

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 自己紹介が全員行われ、一旦1時間目のホームルームは終了ということになった。次の時間からは通常授業ということになっている。数学、英語、家庭科という初日から容赦のない午前科目だ。やっぱ学生の本分は勉強、か……なんて思いながら席にて大人しく授業を受けることになった。とほほ。




 ちなみに、中学くらいまでは前世の記憶もあって勉強なんて余裕だったけど、幽谷が名門なこともあって勉強のレベルが上がって流石に気を抜けない感じになってきた。やっぱ王道学園と同じ設定なだけあって偏差値が高いから授業の難易度も高いな、ここ。




「うぉおお……終わったぁ」






 人生設計について考えるワークシートを提出して、4時間目の家庭科が終わると俺はすっかり学生気分だった。チャイム共に机にぐてーと伸びる。





「やっと終わったね……」






 その俺の隣で深春が、初日から結構重い教科ばっかりだったし、とため息を吐く。ほんとにそれな。救いなさすぎてびっくりしたわ。深春以外にも新しい友達作りたいなとか、他の人とも話してみたいとか思ってたのに全っ然時間ないし、交流の機会もないし。これは今日他の人と話すのはむずいかもなー。



 中々うまくいかないもんだなーと口を尖らせる。すると、そのほぼ同時に俺の腹が鳴って思わず深春と顔を見合わせた。すぐに深春が軽やかに吹き出す。





「ふふっ、成瀬君って、可愛いよね」




「笑うなよー、俺ほんとは2時間目の後半くらいからお腹すいてたんだから!」




「お昼ご飯食べよっか」




「よっしゃ!!!!」








 ガッツポーズをしながら深春について教室を出る。深春によると、学校の食堂は人気なため混むらしい。その辺も小説内には描写がなかったので俺はほーんと思っていた。





「早く行けば座れるし、広いからそんなにちょっとやそっとでは満席にならないけど…今日は初日だし、きっとみんな食堂に行きたがると思うから人が多いかも」





 一応覗いてみよっか、と深春が提案してくれたので案内に身を任せて向かうと、なるほど入り口の前にもうたくさんいた。でっかい扉があって中は見えないけど、周りにいる生徒が、「中満員なんだってー」と話しているのが聞こえたから多分めっちゃ混んでるんだろうな。そうそう、あのでっかい扉はお馴染みの、『学園の有名人扉バーン』に使われるやつである。開けたらキャー!!とか大歓声上がるやつね。いや一々扉確認せずにご飯食べなさいとか思っちゃダメなやつね。うん。




 俺同様に混み具合を察知して、深春がうーんと渋い顔をした。





「すごく、混んでるみたい……」




「食堂は無理そうだなー。購買なら行けそ?」






 確か購買もあるよなここ、と小説の中での知識を基に言うと、購買はいつも買えるくらいの状態だという返事が来て、俺達は購買でパンを買って教室で食べることになった。パンが色んな種類あって選ぶのめっちゃ悩んだ…購買のお兄さんがスッゲェ商売上手でさ、おすすめとか聞いてたら迷って仕方なかったよ。前世社会人の俺より接客うまいと思う。糸目の美形お兄さん、恐るべし。


 考えて考えて吟味しまくった後にどうしても絞れなくて、結局俺はパンを4個買った。買った後に、今日一気に4個も買わなくてもこれから毎日学校あるんだし買いに来ればいいんじゃないかとか思ったけど知らない知らない。俺は今食べたいんだー!!



 どっさりパンを抱えて教室に戻り、もっきゅもっきゅとパンを頬張る。めっちゃ美味しいいいいい!なんだこれ、人気のパン屋さんのパンと同じ味がする!!




 はぐはぐと口にパンを運んで幸せな気持ちになっていると、深春が目を丸くして俺を見ていることに気がついて首を傾げる。





「ん?」




「あ、いや…ハムスターみたいだなって思って…」






 え、俺が?



 ハムスター?あのチマっとした可愛い可愛い?





 もぐもぐ~食べるよカナ太郎~♪みたいな?






 ……似合わねー。というか、カナ太郎ってなんだよ。






「うーん、俺に小動物はちょっと…どっちかというと深春の方が似合う気がする。うさぎとか」





「そうかなぁ、食べてるとこがすごくそっくりだと思ったんだけど…」






 あ。口にいっぱい入れてるっていう観点から見た共通点ね、把握。






「ここのパンめっちゃ美味しいからついめっちゃ食べちゃってたわ……」



「購買の人、すごく嬉しそうだったね」



「俺だけでめっちゃ金落としたからな!!俺、食堂も気になるけど購買のパンも制覇したいなぁ」






 多分成瀬君がいっぱいパン買ってくれたから喜んでただけじゃないと思うけど…と困った顔で深春が言っていたが、俺は次に食べるパンを決めかねていたので耳に入らなかった。うーん、次はチーズパン食べよ。





 と、その時、急に横からヒョイ、と顔を覗き込まれた。






「っべー、こんなにパン買ってるやつ初めて見たわぁ」



「んぐっ!?!?っゲホ、ゴホッ!!」



「成瀬君大丈夫!?」






 いきなりすぎて思わずパンを喉に詰まらせてしまい盛大に咽せた。深春が慌てて自分が買ったジャスミンティーを差し出してくれたので、その優しさに感涙しそうになりながら飲んでなんとか落ち着ける。くっそぉ、人がパンなんて水分量の少ないもの食ってる時に覗きやがって…狙ってるとしか思えん!!
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