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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
順調な旅路と気になるそれ 1
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「そっち行ったぞ!」
先ほど倒したものよりも体格がよく、武装もしっかりとしたゴブリンは、エルトンの一撃を受けてもそれで倒れる事はなく、逆にその勢いを利用して彼の横を抜けてゆく。
彼ほどの腕前を持つ冒険者でも仕留め切れない魔物を、果たしてそのゴブリンが向かう先にいる者達が対応出来るだろうか。
少なくともそのゴブリンから一番近い場所にいるカイは、目の前に迫りつつある敵の姿にも、今だ碌に身構えてすらいない。
そんな彼に、その魔物へと対処する事など不可能だろう。
彼の後ろに控えているエヴァンもまた、ただただ驚いた表情を見せるばかりで、咄嗟に動けるような状況ではない。
ただ一人、アビーだけが服の下に隠していたナイフを取り出そうとしているが、それも今更間に合う事はないだろう。
であれば、彼らはこのまま為す術なく、そのゴブリンに襲われてしまうのだろうか。
「任せて!!」
当然、そんな事にはならない。
エルトンが相手していたのとは別の魔物を相手にしていたケネスは、相棒からの指示にすぐさま反応すると、カイへと襲い掛かろうとしていたゴブリンに横合いからタックルをかましていた。
その動きは素早く、無防備なカイを仕留めるのに夢中であった、そのゴブリンには反応出来ない。
しかし即応性を重視したそのタックルは、ケネスにも当然代償を求めている。
とにかく急いでゴブリンへと飛び掛った彼は、その得物であるナイフを手放してしまっていたのだった。
「くっ、この!」
組み敷く事には成功したゴブリンも、鎧を身に纏ったその姿では素手で致命傷を与える事は難しいだろう。
彼の技量をもってすれば、ナイフさえあればその隙間から刃を突き刺して、致命傷を与える事も容易な筈だ。
しかし予備のナイフを抜こうにも、彼は暴れまわるそのゴブリンを押さえるのがやっとであり、そんな隙を見つけることも出来そうにない。
元々力で押すタイプのエルトンと違い、身軽さとその技量で勝負するタイプのケネスに、それほどの力強さを求めるのは酷だろう。
そんな彼が一体後どれほど、その屈強なゴブリンを押さえ込んでいられるだろうか。
今この時間にも、その身体は徐々にひっくり返されそうとしていた。
「これを使えっ!」
追い込まれつつあるケネスに、エルトンが自らの短剣を投げて寄越す。
それを受け取る事が出来れば、その状況を一気にひっくり返す事が出来るだろう。
器用ではないエルトンが投げつけた短剣はクルクルと回り、ケネスとゴブリンがもみ合っている場所へと向かっていく。
「って!?もっと、ちゃんと投げて、寄越せよ、な!!」
エルトンが投げつけた短剣は、ケネスの側頭部を直撃していた。
それが刃の部分でなかったのは、まさに行幸といえる出来事であろう。
そして頭へとぶつかり、明後日の方向へと弾け飛ぼうとしていた短剣を、ケネスがどうにか掴まえた事も。
彼はその短剣を掴み直すとすぐに、それをゴブリンへと突き立てている。
短剣の柄が頭を直撃した衝撃に、一瞬身体をふらつかせていたケネスへと襲いかかろうとしていたゴブリンは、その勢いのまま喉を刃に貫かれ、あっという間に絶命してしまっていた。
「どうにか、なったか・・・」
一瞬の隙を突いて、逆にケネスの事を組み敷こうとしていたゴブリンの力は強く、彼の腕にははっきりとその手形が残っていた。
喉を貫かれ絶命したそのゴブリンは急速に力を失っていき、そのまま地面へと倒れ付しては動かなくなっていく。
その様を見守っていたケネスは、そのゴブリンが完全に動かなくなると安堵の息を吐いて、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。
「坊ちゃま、お下がりを!」
「ひ、ひぃぃぃ!!」
そうして何とか窮地を脱した彼は忘れていたのだ、自分が何と戦っていたのを投げ出して、そちらへと向かっていたのかを。
ケネスが戦っていた魔物、スライムは彼によって相応の傷を負わされてはいたが、まだ動くには問題ないようで貪欲に獲物を求めて襲い掛かっていた。
それはエルトンやケネスのような熟練の冒険者ではなく、碌に警戒することも出来ないエヴァンを狙ってだ。
「しまった!?」
アビーの声とエヴァンの悲鳴に、その事を思い出したケネスは、今更やらかしたと声を上げる。
彼は慌てて彼らを助けに足を急がせるが、それが間に合うことはないだろう。
ケネスの目線の先では、エヴァンへと襲い掛かろうとその軟体の身体を膨張させているスライムと、彼を何とか助けようとしているカイとアビーの姿が映っていた。
「そら、よっと!」
エヴァンへと襲い掛かろうとしてスライムは、その直前にその動きを止めてしまう。
それはその反対側、そのスライムがもし獣の姿をしていたならば尻尾といえる部分を掴んだエルトンが原因であった。
スライムの尻尾を掴んだエルトンは、それを力任せに引っ張ると、スライムの身体ごと地面から引き剥がし、豪快に投げ飛ばしてみせていた。
「俺を無視してんじゃねぇぞ、っと」
地面へと投げつけられたスライムは、その衝撃にその粘性の身体を絨毯状に広げてしまっていた。
それはその身体の核である、内臓部分をも狙いやすく剥き出しにしてしまっている。
エルトンは別にそれを狙ってやった訳ではないだろうが、その狙いやすい身体の形は彼が放り出した得物を拾いに歩いてからでも、十分に急所を突き刺せるほどの状況であった。
「助かったよ、エルトン」
「へっ、こんぐらい余裕だっての」
急所を貫かれたスライムは、まるで始めからそういった存在であったかのように、液体状に広がっていき、そのまま地面の染みへとその姿を変えていく。
後に残されたのは、そのスライムの内臓といえる部分だけだろう。
その姿を確認しては、剣を鞘へと収めたエルトンに、ケネスは助かったと声を掛けている。
そんな彼の言葉に、エルトンはそんな程度で礼を言われる事じゃないと、鼻を擦っていた。
先ほど倒したものよりも体格がよく、武装もしっかりとしたゴブリンは、エルトンの一撃を受けてもそれで倒れる事はなく、逆にその勢いを利用して彼の横を抜けてゆく。
彼ほどの腕前を持つ冒険者でも仕留め切れない魔物を、果たしてそのゴブリンが向かう先にいる者達が対応出来るだろうか。
少なくともそのゴブリンから一番近い場所にいるカイは、目の前に迫りつつある敵の姿にも、今だ碌に身構えてすらいない。
そんな彼に、その魔物へと対処する事など不可能だろう。
彼の後ろに控えているエヴァンもまた、ただただ驚いた表情を見せるばかりで、咄嗟に動けるような状況ではない。
ただ一人、アビーだけが服の下に隠していたナイフを取り出そうとしているが、それも今更間に合う事はないだろう。
であれば、彼らはこのまま為す術なく、そのゴブリンに襲われてしまうのだろうか。
「任せて!!」
当然、そんな事にはならない。
エルトンが相手していたのとは別の魔物を相手にしていたケネスは、相棒からの指示にすぐさま反応すると、カイへと襲い掛かろうとしていたゴブリンに横合いからタックルをかましていた。
その動きは素早く、無防備なカイを仕留めるのに夢中であった、そのゴブリンには反応出来ない。
しかし即応性を重視したそのタックルは、ケネスにも当然代償を求めている。
とにかく急いでゴブリンへと飛び掛った彼は、その得物であるナイフを手放してしまっていたのだった。
「くっ、この!」
組み敷く事には成功したゴブリンも、鎧を身に纏ったその姿では素手で致命傷を与える事は難しいだろう。
彼の技量をもってすれば、ナイフさえあればその隙間から刃を突き刺して、致命傷を与える事も容易な筈だ。
しかし予備のナイフを抜こうにも、彼は暴れまわるそのゴブリンを押さえるのがやっとであり、そんな隙を見つけることも出来そうにない。
元々力で押すタイプのエルトンと違い、身軽さとその技量で勝負するタイプのケネスに、それほどの力強さを求めるのは酷だろう。
そんな彼が一体後どれほど、その屈強なゴブリンを押さえ込んでいられるだろうか。
今この時間にも、その身体は徐々にひっくり返されそうとしていた。
「これを使えっ!」
追い込まれつつあるケネスに、エルトンが自らの短剣を投げて寄越す。
それを受け取る事が出来れば、その状況を一気にひっくり返す事が出来るだろう。
器用ではないエルトンが投げつけた短剣はクルクルと回り、ケネスとゴブリンがもみ合っている場所へと向かっていく。
「って!?もっと、ちゃんと投げて、寄越せよ、な!!」
エルトンが投げつけた短剣は、ケネスの側頭部を直撃していた。
それが刃の部分でなかったのは、まさに行幸といえる出来事であろう。
そして頭へとぶつかり、明後日の方向へと弾け飛ぼうとしていた短剣を、ケネスがどうにか掴まえた事も。
彼はその短剣を掴み直すとすぐに、それをゴブリンへと突き立てている。
短剣の柄が頭を直撃した衝撃に、一瞬身体をふらつかせていたケネスへと襲いかかろうとしていたゴブリンは、その勢いのまま喉を刃に貫かれ、あっという間に絶命してしまっていた。
「どうにか、なったか・・・」
一瞬の隙を突いて、逆にケネスの事を組み敷こうとしていたゴブリンの力は強く、彼の腕にははっきりとその手形が残っていた。
喉を貫かれ絶命したそのゴブリンは急速に力を失っていき、そのまま地面へと倒れ付しては動かなくなっていく。
その様を見守っていたケネスは、そのゴブリンが完全に動かなくなると安堵の息を吐いて、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。
「坊ちゃま、お下がりを!」
「ひ、ひぃぃぃ!!」
そうして何とか窮地を脱した彼は忘れていたのだ、自分が何と戦っていたのを投げ出して、そちらへと向かっていたのかを。
ケネスが戦っていた魔物、スライムは彼によって相応の傷を負わされてはいたが、まだ動くには問題ないようで貪欲に獲物を求めて襲い掛かっていた。
それはエルトンやケネスのような熟練の冒険者ではなく、碌に警戒することも出来ないエヴァンを狙ってだ。
「しまった!?」
アビーの声とエヴァンの悲鳴に、その事を思い出したケネスは、今更やらかしたと声を上げる。
彼は慌てて彼らを助けに足を急がせるが、それが間に合うことはないだろう。
ケネスの目線の先では、エヴァンへと襲い掛かろうとその軟体の身体を膨張させているスライムと、彼を何とか助けようとしているカイとアビーの姿が映っていた。
「そら、よっと!」
エヴァンへと襲い掛かろうとしてスライムは、その直前にその動きを止めてしまう。
それはその反対側、そのスライムがもし獣の姿をしていたならば尻尾といえる部分を掴んだエルトンが原因であった。
スライムの尻尾を掴んだエルトンは、それを力任せに引っ張ると、スライムの身体ごと地面から引き剥がし、豪快に投げ飛ばしてみせていた。
「俺を無視してんじゃねぇぞ、っと」
地面へと投げつけられたスライムは、その衝撃にその粘性の身体を絨毯状に広げてしまっていた。
それはその身体の核である、内臓部分をも狙いやすく剥き出しにしてしまっている。
エルトンは別にそれを狙ってやった訳ではないだろうが、その狙いやすい身体の形は彼が放り出した得物を拾いに歩いてからでも、十分に急所を突き刺せるほどの状況であった。
「助かったよ、エルトン」
「へっ、こんぐらい余裕だっての」
急所を貫かれたスライムは、まるで始めからそういった存在であったかのように、液体状に広がっていき、そのまま地面の染みへとその姿を変えていく。
後に残されたのは、そのスライムの内臓といえる部分だけだろう。
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