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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
そして彼はそう囁いた 2
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「そ、それはだな・・・その、なんというか・・・」
「わざわざ自分が手を下すまでもない、そう仰りたいのございましょう?坊ちゃま」
「そ、それだ!そうアビーの言う通り、私自ら手を下すまでもない相手だからな、彼らに任せているのだ!勿論、彼らに手が終えない敵が現れたら、私自ら手を下すのもやぶさかではないぞ?その時はこうズバッとだな・・・一刀両断にしてやるのだ!!」
適当な言い訳が思い浮かばず、視線を彷徨わせる事しか出来ずにいたエヴァンに、アビーが素早く助け舟を出していた。
彼女はこれまで現れた敵程度では、エヴァン自ら手を下すまでもないと語っている。
アビーの言葉にこれ幸いと飛びついたエヴァンは、彼女が話していないことまで大袈裟に話し、決して戦えないのではないのだと猛烈にアピールしている。
エヴァンが自らの力強さのアピールのために掲げた両腕はしかし、寧ろその細い手足に彼の華奢さを強調してしまっていた。
「しかしですね・・・」
「いやいや、キルヒマンさんよぉ。こりゃ、勇者の坊ちゃんの言う通りだぜ?俺らはあくまで露払いよ。本当にやばい奴が現れてからが、勇者様の出番ってもんだろ?」
「そ、そうそう!エルトンの言う通りですよ!雑魚の処理は僕達に任せて、レイモンド様には御力を温存していてもらわないと!」
尚も食い下がろうとしていたカイに、意外な人が口を挟んではエヴァンへと援護射撃をしている。
エヴァンの言葉に同調し、その発言を補強する言葉を述べたエルトンは、カイにもうそれ以上は口を出すなと凄んで見せている。
そんな相棒の意外な機転に、一瞬驚きの表情を見せたケネスは慌ててそれに同調すると、相棒の言葉は間違っていないと主張していた。
「うむ!二人の言う通りなのだ!キルヒマンも、それでいいな?」
「はぁ・・・分かりました」
自分以外の全ての人が同じ意見を主張する中、自分だけが一人別の意見を述べ続けるのは難しい。
エルトンとケネスの擁護を受けて、完全にその立場を確固たるものにしたエヴァンに、もう聞いてくるなと言われれば、カイももはや黙るしかない。
今だにどこか納得いかない様子を見せるカイも、そんな圧力に屈しては納得の言葉を呟いていた。
「駄目じゃないですか、キルヒマンさん!あんな事聞いちゃ!貴方も理解した上で、今回の事に参加したんでしょう?」
「理解・・・?それは・・・レイモンド様が勇者だという事を、ですか?」
カイが納得示した事で満足したのか、彼から離れていったエヴァンと入れ替わるように、ケネスが彼の下へと近づいては耳元で囁いてくる。
その内容はカイの先ほどまでの発言を叱責するもので、カイにある事実の確認を求めるものであった。
それは彼らが共有している筈の、ある約束事を改めて確認するものであったが、それに心当たりのないカイは、取りあえず真っ先に思いついた秘密といえなくもない事実についてを口にしていた。
「そうです!レイモンド様が勇者だという事です!それを守ってくれないと、困りますよ!」
「なるほどなるほど・・・分かりました。これからは気をつけます、すみませんでした」
「いえ、分かってくれればいいんです。その、くれぐれも気をつけてくださいよ?レイモンド様の、勇者様のご気分を害さないように!」
カイが適当に口走った事実は、意外なほどに正鵠を得ている。
確かにケネスが言いたかった事も、エヴァンが勇者であるという事を周りで守ろうという事であった。
ケネスの言葉に、カイは先ほどの振る舞いが勇者の気分を害する行動だったの解釈し、納得を示している。
そんなカイの態度にケネスも、彼がエヴァンが勇者であると周りが必死に守り、盛り立てているのだと理解してくれたと考え、その気分を害してはいけないとだけ言い残して去っていく。
その背中を見送りながら、カイは一人ようやく事態が飲み込めたと深く頷いていた。
「そうか、そうだよな。勇者が為すべきなのは大物の討伐だけで、雑魚の処理ではないものな。あんな程度の相手では、やる気にならなくても当然か。悪い事をしてしまったのかもしれないな、反省しないと」
カイはケネス達の言葉に、エヴァンが本当に手を下すまでもないから、その力を振るわなかったのだと解釈していた。
そんな彼は勇者であるエヴァンに、失礼な事を言ってしまったと反省している。
しかしカイが勇者の力を、その目にしたいという事実は、もはや動かせような欲求となってしまっていた。
「う~ん、しかしどうしても戦っている所が見たいな・・・うん、そうだ。ヴェロニカ達を動かして、少し刺激してみるか。うまく事が運べば、勇者様に恩を売る事が出来るかもしれないしな」
勇者が実際に戦っている所をどうしても見てみたいカイは、ヴェロニカ達を動かしてでも、それを実現させようと思い立つ。
彼は一人一行から離れると、壁に向かって手を伸ばす。
そして、ヴェロニカ達へと静かに命令を下していた。
「手緩いのではないか、ヴェロニカ。手加減は許さん、全力でやれ」
と。
「わざわざ自分が手を下すまでもない、そう仰りたいのございましょう?坊ちゃま」
「そ、それだ!そうアビーの言う通り、私自ら手を下すまでもない相手だからな、彼らに任せているのだ!勿論、彼らに手が終えない敵が現れたら、私自ら手を下すのもやぶさかではないぞ?その時はこうズバッとだな・・・一刀両断にしてやるのだ!!」
適当な言い訳が思い浮かばず、視線を彷徨わせる事しか出来ずにいたエヴァンに、アビーが素早く助け舟を出していた。
彼女はこれまで現れた敵程度では、エヴァン自ら手を下すまでもないと語っている。
アビーの言葉にこれ幸いと飛びついたエヴァンは、彼女が話していないことまで大袈裟に話し、決して戦えないのではないのだと猛烈にアピールしている。
エヴァンが自らの力強さのアピールのために掲げた両腕はしかし、寧ろその細い手足に彼の華奢さを強調してしまっていた。
「しかしですね・・・」
「いやいや、キルヒマンさんよぉ。こりゃ、勇者の坊ちゃんの言う通りだぜ?俺らはあくまで露払いよ。本当にやばい奴が現れてからが、勇者様の出番ってもんだろ?」
「そ、そうそう!エルトンの言う通りですよ!雑魚の処理は僕達に任せて、レイモンド様には御力を温存していてもらわないと!」
尚も食い下がろうとしていたカイに、意外な人が口を挟んではエヴァンへと援護射撃をしている。
エヴァンの言葉に同調し、その発言を補強する言葉を述べたエルトンは、カイにもうそれ以上は口を出すなと凄んで見せている。
そんな相棒の意外な機転に、一瞬驚きの表情を見せたケネスは慌ててそれに同調すると、相棒の言葉は間違っていないと主張していた。
「うむ!二人の言う通りなのだ!キルヒマンも、それでいいな?」
「はぁ・・・分かりました」
自分以外の全ての人が同じ意見を主張する中、自分だけが一人別の意見を述べ続けるのは難しい。
エルトンとケネスの擁護を受けて、完全にその立場を確固たるものにしたエヴァンに、もう聞いてくるなと言われれば、カイももはや黙るしかない。
今だにどこか納得いかない様子を見せるカイも、そんな圧力に屈しては納得の言葉を呟いていた。
「駄目じゃないですか、キルヒマンさん!あんな事聞いちゃ!貴方も理解した上で、今回の事に参加したんでしょう?」
「理解・・・?それは・・・レイモンド様が勇者だという事を、ですか?」
カイが納得示した事で満足したのか、彼から離れていったエヴァンと入れ替わるように、ケネスが彼の下へと近づいては耳元で囁いてくる。
その内容はカイの先ほどまでの発言を叱責するもので、カイにある事実の確認を求めるものであった。
それは彼らが共有している筈の、ある約束事を改めて確認するものであったが、それに心当たりのないカイは、取りあえず真っ先に思いついた秘密といえなくもない事実についてを口にしていた。
「そうです!レイモンド様が勇者だという事です!それを守ってくれないと、困りますよ!」
「なるほどなるほど・・・分かりました。これからは気をつけます、すみませんでした」
「いえ、分かってくれればいいんです。その、くれぐれも気をつけてくださいよ?レイモンド様の、勇者様のご気分を害さないように!」
カイが適当に口走った事実は、意外なほどに正鵠を得ている。
確かにケネスが言いたかった事も、エヴァンが勇者であるという事を周りで守ろうという事であった。
ケネスの言葉に、カイは先ほどの振る舞いが勇者の気分を害する行動だったの解釈し、納得を示している。
そんなカイの態度にケネスも、彼がエヴァンが勇者であると周りが必死に守り、盛り立てているのだと理解してくれたと考え、その気分を害してはいけないとだけ言い残して去っていく。
その背中を見送りながら、カイは一人ようやく事態が飲み込めたと深く頷いていた。
「そうか、そうだよな。勇者が為すべきなのは大物の討伐だけで、雑魚の処理ではないものな。あんな程度の相手では、やる気にならなくても当然か。悪い事をしてしまったのかもしれないな、反省しないと」
カイはケネス達の言葉に、エヴァンが本当に手を下すまでもないから、その力を振るわなかったのだと解釈していた。
そんな彼は勇者であるエヴァンに、失礼な事を言ってしまったと反省している。
しかしカイが勇者の力を、その目にしたいという事実は、もはや動かせような欲求となってしまっていた。
「う~ん、しかしどうしても戦っている所が見たいな・・・うん、そうだ。ヴェロニカ達を動かして、少し刺激してみるか。うまく事が運べば、勇者様に恩を売る事が出来るかもしれないしな」
勇者が実際に戦っている所をどうしても見てみたいカイは、ヴェロニカ達を動かしてでも、それを実現させようと思い立つ。
彼は一人一行から離れると、壁に向かって手を伸ばす。
そして、ヴェロニカ達へと静かに命令を下していた。
「手緩いのではないか、ヴェロニカ。手加減は許さん、全力でやれ」
と。
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