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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
魔物達はその存在に我慢できない 2
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『でもよ、もう遅いみたいだぜ?』
『は?一体、何の話を・・・』
ニックは声が聞こえてきた部屋の方を示しながら、肩を竦めてはもう遅いと話している。
その意味が理解できなかったレクスは、慌てて通路から歩みを進めるとそこから顔を出し、ニックが示す方へと視線を向けていた。
『なっ!?あいつら何を!?』
通路から顔を覗かせて、通路へと視線を向けたレクスの目に飛び込んできたのは、雄叫びを上げながらその部屋へとなだれ込んでいく、ゴブリンとオーク達の姿であった。
『そりゃ、勇者なんて聞いちゃ黙ってられないのが、俺達の本能ってもんだろ?それにあれは・・・フリンスの所の連中と、オーク共だろう?あいつらも手柄を立てようと必死なのかもな』
血走った目で一直線に駆けていく彼らの狙いが何であるかは、聞かずとも明白であろう。
彼らは皆一様に、勇者の命を狙って走り続けているのだ。
その面々を冷静に分析しては、彼らがダンジョンの運営にあまり携われておらず、ここで手柄を立てようと企てているのだとニックは語る。
彼らの心情は理解出来るし、それは致し方ないことなのかもしれない。
しかしこのエリアは、レクスが管理しているエリアなのだ。
そんな場所で、ヴェロニカ達の計画を台無しにしてしまったらどうなるか、それもまた明白な事であった。
『あぁ・・・!あいつらよりにもよって、こんな場所でっ!ぐっ、くぅ!?胃、胃が・・・!』
目の前で繰り広げられる、今までこつこつと積み重ねてきたものを全部ぶち壊していく光景に、レクスは近頃慢性的に痛めている胃の痛みを再発させる。
お腹から鳩尾の辺りを押さえては蹲ってしまったレクスを見下ろしながら、ニックはどこか冷静な態度を崩していはいない。
いやよく見れば、その口元はどこか好戦的な角度を描いては吊り上っているようだった。
『で、どうするよ?放っておくのか?』
『っ!そんな訳にいくか!!行くぞニック、奴らを止めるんだ!!』
もはや収拾のつかない状況にある部屋を眺めながら、レクスへどうするのかと尋ねているニックの手には、既にその得物が握られている。
それは彼にはレクスがどう返事するか、最初から分かっていたからだろう。
そしてそれは違える事なく、的中する。
ニックの言葉に跳ね起きたレクスは、その顎から垂れそうだった脂汗を拭うと、自らもまたその得物を構えていたのだった。
『へへっ、そうこなくっちゃ!!俺としちゃ、暴れられれば相手が勇者だろうが、フリンスの連中だろうがどうでもいいからよ!』
『一応言っとくが、勇者には手を出すなよ!』
『分かってるって!でもよぉ、間違って当たっちまうのは仕方ないだろ?』
『それも極力控えろ!クライネルト様のご機嫌を損ねたらどうなるか・・・お前も知っているだろ!!』
『へぇへぇ、分かりました、分かりましたよ』
既に駆け出し始めているレクスの姿に嬉しそうに歓声を上げたニックは、すぐに彼の後ろについて走り出し始めていた。
彼は相手が誰でも暴れられれば構わないと笑っていたが、それは別に勇者と戦う事を諦めた訳ではない。
その気配を敏感に感じ取ったレクスは、勇者には決して手を出すなと一言釘を刺す。
その言葉は勇者の力を恐れてのものというより、それに手を出す事によってヴェロニカの反感を買ってしまう事に怯えたものであった。
『それに、さっきの声・・・あれは、あの御方のものだったような・・・一体、あの部屋では何が起こっているんだ?』
今も致命的な事態が進行しつつある部屋へと急ぐ道中、レクスは先ほど聞こえた声について考えを巡らしていた。
このダンジョンの支配者たるカイ・リンデンバウムと直接会話をした事のある彼は当然、その声もはっきりと覚えている。
しかし先ほど聞こえた声は、それとは明らかに違ったものであった。
しかしそれもカイの種族がドッペルゲンガーである事を考えれば、おかしな事でもない。
そしてレクスは、以前に一度カイが変身した男の声を聞いた事があった。
それは、先ほど響いた声と瓜二つではなかっただろうか。
「おーい、レクスー!置いてくぞー!!」
「っと、今はそれ所じゃなかったな。すまない、今行く!」
考え事に没頭していたレクスは、その急いでいた足を緩めてしまっていた。
彼とは違い全速力で駆けていたニックは、既にその部屋の入口にまで辿り着いていたようで、もはや僅かな時間でも待っていられないと、レクスに早く来いと呼び掛けている。
その声は、ニックの焦れた感情が滲んだものであろう。
しかしそれは、焦燥感にも似てレクスの思考を振り払う。
そう、今やるべきはこの目の前の事態への対処に他ならない。
思考を断ち切り駆けだしたレクスの足は全速力で進み、それはニックに追いついても止まる事はない。
ニックもそれを分かっていたかのように歩調を合わし、彼らはそのままその部屋へと突入していったのだった。
『は?一体、何の話を・・・』
ニックは声が聞こえてきた部屋の方を示しながら、肩を竦めてはもう遅いと話している。
その意味が理解できなかったレクスは、慌てて通路から歩みを進めるとそこから顔を出し、ニックが示す方へと視線を向けていた。
『なっ!?あいつら何を!?』
通路から顔を覗かせて、通路へと視線を向けたレクスの目に飛び込んできたのは、雄叫びを上げながらその部屋へとなだれ込んでいく、ゴブリンとオーク達の姿であった。
『そりゃ、勇者なんて聞いちゃ黙ってられないのが、俺達の本能ってもんだろ?それにあれは・・・フリンスの所の連中と、オーク共だろう?あいつらも手柄を立てようと必死なのかもな』
血走った目で一直線に駆けていく彼らの狙いが何であるかは、聞かずとも明白であろう。
彼らは皆一様に、勇者の命を狙って走り続けているのだ。
その面々を冷静に分析しては、彼らがダンジョンの運営にあまり携われておらず、ここで手柄を立てようと企てているのだとニックは語る。
彼らの心情は理解出来るし、それは致し方ないことなのかもしれない。
しかしこのエリアは、レクスが管理しているエリアなのだ。
そんな場所で、ヴェロニカ達の計画を台無しにしてしまったらどうなるか、それもまた明白な事であった。
『あぁ・・・!あいつらよりにもよって、こんな場所でっ!ぐっ、くぅ!?胃、胃が・・・!』
目の前で繰り広げられる、今までこつこつと積み重ねてきたものを全部ぶち壊していく光景に、レクスは近頃慢性的に痛めている胃の痛みを再発させる。
お腹から鳩尾の辺りを押さえては蹲ってしまったレクスを見下ろしながら、ニックはどこか冷静な態度を崩していはいない。
いやよく見れば、その口元はどこか好戦的な角度を描いては吊り上っているようだった。
『で、どうするよ?放っておくのか?』
『っ!そんな訳にいくか!!行くぞニック、奴らを止めるんだ!!』
もはや収拾のつかない状況にある部屋を眺めながら、レクスへどうするのかと尋ねているニックの手には、既にその得物が握られている。
それは彼にはレクスがどう返事するか、最初から分かっていたからだろう。
そしてそれは違える事なく、的中する。
ニックの言葉に跳ね起きたレクスは、その顎から垂れそうだった脂汗を拭うと、自らもまたその得物を構えていたのだった。
『へへっ、そうこなくっちゃ!!俺としちゃ、暴れられれば相手が勇者だろうが、フリンスの連中だろうがどうでもいいからよ!』
『一応言っとくが、勇者には手を出すなよ!』
『分かってるって!でもよぉ、間違って当たっちまうのは仕方ないだろ?』
『それも極力控えろ!クライネルト様のご機嫌を損ねたらどうなるか・・・お前も知っているだろ!!』
『へぇへぇ、分かりました、分かりましたよ』
既に駆け出し始めているレクスの姿に嬉しそうに歓声を上げたニックは、すぐに彼の後ろについて走り出し始めていた。
彼は相手が誰でも暴れられれば構わないと笑っていたが、それは別に勇者と戦う事を諦めた訳ではない。
その気配を敏感に感じ取ったレクスは、勇者には決して手を出すなと一言釘を刺す。
その言葉は勇者の力を恐れてのものというより、それに手を出す事によってヴェロニカの反感を買ってしまう事に怯えたものであった。
『それに、さっきの声・・・あれは、あの御方のものだったような・・・一体、あの部屋では何が起こっているんだ?』
今も致命的な事態が進行しつつある部屋へと急ぐ道中、レクスは先ほど聞こえた声について考えを巡らしていた。
このダンジョンの支配者たるカイ・リンデンバウムと直接会話をした事のある彼は当然、その声もはっきりと覚えている。
しかし先ほど聞こえた声は、それとは明らかに違ったものであった。
しかしそれもカイの種族がドッペルゲンガーである事を考えれば、おかしな事でもない。
そしてレクスは、以前に一度カイが変身した男の声を聞いた事があった。
それは、先ほど響いた声と瓜二つではなかっただろうか。
「おーい、レクスー!置いてくぞー!!」
「っと、今はそれ所じゃなかったな。すまない、今行く!」
考え事に没頭していたレクスは、その急いでいた足を緩めてしまっていた。
彼とは違い全速力で駆けていたニックは、既にその部屋の入口にまで辿り着いていたようで、もはや僅かな時間でも待っていられないと、レクスに早く来いと呼び掛けている。
その声は、ニックの焦れた感情が滲んだものであろう。
しかしそれは、焦燥感にも似てレクスの思考を振り払う。
そう、今やるべきはこの目の前の事態への対処に他ならない。
思考を断ち切り駆けだしたレクスの足は全速力で進み、それはニックに追いついても止まる事はない。
ニックもそれを分かっていたかのように歩調を合わし、彼らはそのままその部屋へと突入していったのだった。
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