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カイ・リンデンバウムの恐ろしき計画
魔物達はその存在に我慢できない 1
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「勇者様!!私が押さえておきます!今の内に!!!」
響き渡ったその声は、ダンジョンに所属する者に対しては自動的に翻訳されている。
そのためその声は、このダンジョンのエリアマネージャーであるレクスの耳にも届いていた。
『勇者?もうこんな所までやってきていたのか・・・それに、あの声は・・・とにかく、一度クライネルト様に確認を取ってみなければ』
聞こえてきた声は、勇者の存在がそこにいる事を伝えている。
今このダンジョンは勇者抹殺計画の真っ最中であり、それがここにいること自体は何も問題はない。
しかし既にこんなダンジョンの奥深くにまで侵入されたという話は聞いておらず、レクスはその事実を上司であるヴェロニカに確認しようと、近くの壁へと手を伸ばそうとしていた。
『そんな確認、必要か?勇者がやってきたんだ、ならぶち殺しちまえばそれで終いだろう?』
しかしそんなレクスの行動は、彼の傍から響いた好戦的な声によって止められてしまう。
レクスの傍で先ほど響き渡った声を聞いていた、彼の相棒ともいえるゴブリン、ニックは上司へとお伺いを立てようとしているレクスに振る舞いに、心底不思議そうな表情を見せていた。
『ニック、お前は・・・クライネルト様の説明を聞いてなかったのか?』
『あぁ?聞いてたから、今までずっと冒険者共を追い払ってたんだろ?今このダンジョンに残ってる奴らなんて、その部屋にいる連中と例の勇者ぐらいだろうさ』
さっさとその勇者を倒してしまおうと提案し、好戦的にニヤリと笑う相棒の姿に、レクスは心底困り果てたように頭を抱えてしまっている。
そもそも複数の部屋を管理しているエリアマネージャーである彼がこの場にいるのは、そんなニックの事が心配だったからだろう。
そんなレクスの心配にも、ニックは自分の仕事は果たしたと胸を張っている。
彼はヴェロニカ達が進行する勇者抹殺計画のために、邪魔な他の冒険者達をこのダンジョンから追い払っていたようだった。
『それが分かってるなら、今手出ししたら不味いってことも理解してる筈だろう?計画ではもっと奥に誘い込んでから、仕掛けるって話だったじゃないか』
『それぐらい分かってるに決まってんだろ!しかしよぉ、レクス。その計画じゃ、勇者と戦うのはセッキの旦那だけじゃねぇか?俺達だって少しは戦ってみたいだろう、そいつとよ』
計画を遵守しろと訴えるレクスに、ニックはそんなこと百も承知だと返している。
彼はその計画を従ったところで、自分達に勇者と戦う機会は巡ってこないと訴え、そんな事を続けるぐらいならこのチャンスに奴と戦ってみないかとレクスに誘いを掛けていた。
『それは・・・』
ニックの提案は、この一ヶ月間の中で彼らが黙々と築き上げた今の地位を、ぶち壊しにしてしまいかねない危険なものであった。
そんな彼の提案にも、レクスがすぐに反論出来ずに言葉を飲み込んだのは何故だろうか。
それは、彼の隠れて握った拳を見れば分かる。
この一ヶ月、エリアマネージャとしての業務に追われ、自ら前線に立つ事などほとんどなくなってしまった彼も、その本来の姿は戦士だ。
その血は決して、失っていないのだとその拳は語っている。
『いや、それは出来ない。俺達が勝手な事をすれば、部族の皆が苦しむ事になる。そんな事を自らの欲求のためだけにやる訳には・・・』
しかしそれでも、レクスは踏み止まる。
その握った拳に血が滲んでいても、それは自らの痛みでしかない。
そんなもののために仲間を、部族の皆を苦しい立場へと追い込む訳になどいかないのだ。
未来を担うべき戦士の一員でしかなかった彼は、いつしか部族の命運そのものを背負う存在となってしまっていた。
そんな彼が、軽々しく動く訳にはいかないのだ。
『ふーん。ま、そりゃ道理だわな』
そんなレクスの言葉に、ニックは意外なほどにあっさりと納得を示していた。
流石の彼にも、部族の命運を一手に背負っているレクスの立場には思うところはあるのだろう。
しかしそれにしても、彼の態度は素直過ぎはしないだろうか。
ダンジョンに用意された隠し通路で会話していたニックは、そこから顔を出すと先ほど声が聞こえてきた部屋へと視線を向けていた。
響き渡ったその声は、ダンジョンに所属する者に対しては自動的に翻訳されている。
そのためその声は、このダンジョンのエリアマネージャーであるレクスの耳にも届いていた。
『勇者?もうこんな所までやってきていたのか・・・それに、あの声は・・・とにかく、一度クライネルト様に確認を取ってみなければ』
聞こえてきた声は、勇者の存在がそこにいる事を伝えている。
今このダンジョンは勇者抹殺計画の真っ最中であり、それがここにいること自体は何も問題はない。
しかし既にこんなダンジョンの奥深くにまで侵入されたという話は聞いておらず、レクスはその事実を上司であるヴェロニカに確認しようと、近くの壁へと手を伸ばそうとしていた。
『そんな確認、必要か?勇者がやってきたんだ、ならぶち殺しちまえばそれで終いだろう?』
しかしそんなレクスの行動は、彼の傍から響いた好戦的な声によって止められてしまう。
レクスの傍で先ほど響き渡った声を聞いていた、彼の相棒ともいえるゴブリン、ニックは上司へとお伺いを立てようとしているレクスに振る舞いに、心底不思議そうな表情を見せていた。
『ニック、お前は・・・クライネルト様の説明を聞いてなかったのか?』
『あぁ?聞いてたから、今までずっと冒険者共を追い払ってたんだろ?今このダンジョンに残ってる奴らなんて、その部屋にいる連中と例の勇者ぐらいだろうさ』
さっさとその勇者を倒してしまおうと提案し、好戦的にニヤリと笑う相棒の姿に、レクスは心底困り果てたように頭を抱えてしまっている。
そもそも複数の部屋を管理しているエリアマネージャーである彼がこの場にいるのは、そんなニックの事が心配だったからだろう。
そんなレクスの心配にも、ニックは自分の仕事は果たしたと胸を張っている。
彼はヴェロニカ達が進行する勇者抹殺計画のために、邪魔な他の冒険者達をこのダンジョンから追い払っていたようだった。
『それが分かってるなら、今手出ししたら不味いってことも理解してる筈だろう?計画ではもっと奥に誘い込んでから、仕掛けるって話だったじゃないか』
『それぐらい分かってるに決まってんだろ!しかしよぉ、レクス。その計画じゃ、勇者と戦うのはセッキの旦那だけじゃねぇか?俺達だって少しは戦ってみたいだろう、そいつとよ』
計画を遵守しろと訴えるレクスに、ニックはそんなこと百も承知だと返している。
彼はその計画を従ったところで、自分達に勇者と戦う機会は巡ってこないと訴え、そんな事を続けるぐらいならこのチャンスに奴と戦ってみないかとレクスに誘いを掛けていた。
『それは・・・』
ニックの提案は、この一ヶ月間の中で彼らが黙々と築き上げた今の地位を、ぶち壊しにしてしまいかねない危険なものであった。
そんな彼の提案にも、レクスがすぐに反論出来ずに言葉を飲み込んだのは何故だろうか。
それは、彼の隠れて握った拳を見れば分かる。
この一ヶ月、エリアマネージャとしての業務に追われ、自ら前線に立つ事などほとんどなくなってしまった彼も、その本来の姿は戦士だ。
その血は決して、失っていないのだとその拳は語っている。
『いや、それは出来ない。俺達が勝手な事をすれば、部族の皆が苦しむ事になる。そんな事を自らの欲求のためだけにやる訳には・・・』
しかしそれでも、レクスは踏み止まる。
その握った拳に血が滲んでいても、それは自らの痛みでしかない。
そんなもののために仲間を、部族の皆を苦しい立場へと追い込む訳になどいかないのだ。
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そんな彼が、軽々しく動く訳にはいかないのだ。
『ふーん。ま、そりゃ道理だわな』
そんなレクスの言葉に、ニックは意外なほどにあっさりと納得を示していた。
流石の彼にも、部族の命運を一手に背負っているレクスの立場には思うところはあるのだろう。
しかしそれにしても、彼の態度は素直過ぎはしないだろうか。
ダンジョンに用意された隠し通路で会話していたニックは、そこから顔を出すと先ほど声が聞こえてきた部屋へと視線を向けていた。
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