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第二部 オッドアイの行方ー失われた記憶を求めて
ダブルベッド R指定
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(BL要素の強い性描写がありますのでご注意を)
*
あれから更に数日経ち、傷口も落ち着き入院をしている必要もなくなって後は自分で動いてリハビリをするよう医師に言われ、俺は自分のアパートに戻ろうとした。だがアパートにはエレベーターがなく、三階までを毎日昇降出来るほどの軽い傷でもなく結局染谷に説得されて染谷達と同じホテルに泊まることになった。
フィンは何だか忙しいらしくあれから一度も病室に来なかった。傷つけた手前、顔を見たいと我儘も言えず、気になりながらも結局はそのまま退院となった。
石原さんと東さんはもうすぐ日本へ帰るので観光へ出かけている。俺は身一つで染谷とタクシーでホテルへ向かっていた。
**
タクシーの中、染谷は背広を脱いで腕を覆い、俺との間にその背広を置くと運転手に見えないようにそっと俺の手を手繰り寄せて握る。
「…っ…やめろよ、車の中でどうして手を繋ぐんだよっ。」
運転手に日本語はわからない。
「嫌ですか?」
「嫌っていうか…。」
「嫌じゃないなら、握らせてください。あなたに触れていたい。」
「…っ……。」
染谷は俺が起きてからずっとこんな調子だ。記憶をなくす前はこんなにベタベタして無かったはずなのに、一体どうしたんだ。
『…海静様。愛しています…。離したくない…』
手を繋ぐととめどなく流れ込むその狂おしいまでの熱量に頭がぼぅっとしてしまう。解こうとすると哀しい顔をされ、嫌がる素振りも傷つけるようで、ずっと手を繋いでいるから常に愛を頭の中に囁かれて彼の想いが俺の中に積もって行く。
程なくしてホテルに着き、部屋を開けた俺は目が点になった。
「おい、この部屋ダブルじゃないかっ!!」
「えぇ。部屋は他に空いていないんです。」
「そんな事ないだろう…、か、変えてもらえよ!それか別のホテルに行こう。ダメならアパートに…。」
「お嫌なら私はソファで寝ますから心配なさらず、さぁどうぞ。」
そう言って俺の抗議に聞く耳持たず、支えながら俺をソファへ連れて行く。
「ホテルの部屋の空きはどこも似たようなものです、本当に部屋が取れないんです。学生の起こしたデモは今や社会現象になってしまい、ビジネスで訪れる人が少なくなった代わりに学生たちの運動を支持する人達が集まって来てホテルは本当にどこもいっぱいなんですよ。傷口のケアもしたい。傍に居ないと不安なんです、我慢してください。」
病院で見ていたTVのニュースでそう言えばそんな事を言っていた。仕方なく俺は染谷と同じ部屋で過ごす事になった。
それにしても…何だか落ち着かない…。まだ昼過ぎで、石原さん達はきっと夜にならないと戻ってこない。ずっと染谷と二人で過ごすのかと思うと妙に緊張してしまう。
ソファに座る俺の隣に座った染谷はまた手を握る。
「…なぁ…もう手繋がなくても、俺別に逃げたりしないし、お前の記憶消してどっか行ったりしないから…暑いだろ?離せよ…。」
流れ込んでくる愛の言葉はホテルの部屋に入ってからどんどん大胆になっていて、ドキドキし過ぎて体がもちそうに無い。
「それに、ちょっと一人になりたい…。」
「どうしてですか?私は一緒に居たい。」
『その艶やかな唇にキスしたい。』
「…俺にだってプライベートな時間が必要だ。」
「私は貴方の全てを見ていたい。」
『あの夜の様に貴方と繋がりたい…舐め回して…喘がせて…』
「おい!!!!度が過ぎるだろう?もう手離せって!トイレっ!」
遠慮を知らない彼の心の声はあまりにも刺激が強すぎて、俺はいたたまれなくなってトイレへ入った。
トイレの蓋を下ろして座る。俺の中心が頭を擡げて硬さを増して泣いている。染谷が心の中で喋る中身が過激になり、一つになった夜を思い出させて、俺の中に積もった想いを吐き出さねばもう耐えられなくなっていた。
窮屈なズボンを下ろし自分の欲望をおずおずと取り出すと籠もっていた熱が空気に触れて少し逃げる。それだけでも少し楽になった。
俺は座ったままで恐る恐る括れから垂れる涙を指で掬い、滑りを助けるように全体に纏わりつかせる。
さっきまで染谷と繋いでいた手の温度が他の体の部分より暖かくて、不思議な感覚に襲われた。まるで彼が触っているようだ。
四六時中囁かれた言葉が頭に浮かびあの夜の事を思い出す。
「っ…ぁ…」
上下の動きを少しずつ早めると声が漏れそうになり、反対の手で自分の口を塞ぎ自分への刺激を強める。早くしないと染谷に勘付かれてしまう…。
―――だがもう遅かった。バスルームにノックが響く。
「海静様…。大丈夫ですか?お腹の調子でも悪くなりましたか?」
「…っ…ぅっ…」
もうちょっとなのに…。
鍵を掛け忘れていたようで、染谷はそっとドアを開けた。嘘だろ!入ってくるなんて!
「入ってくるなよ!何考えてんだ!トイレだって!」
とっさに露出していた部分を手で隠して抗議したが、染谷はドアを開けて後ろ手で閉めた。
蓋の上に座り自慰に耽る俺を見て染谷が息を飲み目を見開く。そして綺麗な眉根を寄せて悩ましい顔をして近寄る。俺は両膝を持ち上げ、中心を隠した。太ももの傷が引きつる。
「っやめろ!何で入って来るんだよ!俺のプライベート空間を侵すなよ!」
「…お手伝いを…させてください。」
「手伝いなんて要らないから、早く出てけ!」
「こんな状態の貴方をそのままにしておくような薄情な男では有りません。」
「そこは薄情でいいんだよ!近寄るな!」
彼に触られたらどうなるか自分でよく分かってる。
「良臣!!」
俺の言葉をまるで聴いていない染谷は膝裏と腰に腕を入れて俺を抱きかかえるとそのままベッドへと連れて行った。
*
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あれから更に数日経ち、傷口も落ち着き入院をしている必要もなくなって後は自分で動いてリハビリをするよう医師に言われ、俺は自分のアパートに戻ろうとした。だがアパートにはエレベーターがなく、三階までを毎日昇降出来るほどの軽い傷でもなく結局染谷に説得されて染谷達と同じホテルに泊まることになった。
フィンは何だか忙しいらしくあれから一度も病室に来なかった。傷つけた手前、顔を見たいと我儘も言えず、気になりながらも結局はそのまま退院となった。
石原さんと東さんはもうすぐ日本へ帰るので観光へ出かけている。俺は身一つで染谷とタクシーでホテルへ向かっていた。
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タクシーの中、染谷は背広を脱いで腕を覆い、俺との間にその背広を置くと運転手に見えないようにそっと俺の手を手繰り寄せて握る。
「…っ…やめろよ、車の中でどうして手を繋ぐんだよっ。」
運転手に日本語はわからない。
「嫌ですか?」
「嫌っていうか…。」
「嫌じゃないなら、握らせてください。あなたに触れていたい。」
「…っ……。」
染谷は俺が起きてからずっとこんな調子だ。記憶をなくす前はこんなにベタベタして無かったはずなのに、一体どうしたんだ。
『…海静様。愛しています…。離したくない…』
手を繋ぐととめどなく流れ込むその狂おしいまでの熱量に頭がぼぅっとしてしまう。解こうとすると哀しい顔をされ、嫌がる素振りも傷つけるようで、ずっと手を繋いでいるから常に愛を頭の中に囁かれて彼の想いが俺の中に積もって行く。
程なくしてホテルに着き、部屋を開けた俺は目が点になった。
「おい、この部屋ダブルじゃないかっ!!」
「えぇ。部屋は他に空いていないんです。」
「そんな事ないだろう…、か、変えてもらえよ!それか別のホテルに行こう。ダメならアパートに…。」
「お嫌なら私はソファで寝ますから心配なさらず、さぁどうぞ。」
そう言って俺の抗議に聞く耳持たず、支えながら俺をソファへ連れて行く。
「ホテルの部屋の空きはどこも似たようなものです、本当に部屋が取れないんです。学生の起こしたデモは今や社会現象になってしまい、ビジネスで訪れる人が少なくなった代わりに学生たちの運動を支持する人達が集まって来てホテルは本当にどこもいっぱいなんですよ。傷口のケアもしたい。傍に居ないと不安なんです、我慢してください。」
病院で見ていたTVのニュースでそう言えばそんな事を言っていた。仕方なく俺は染谷と同じ部屋で過ごす事になった。
それにしても…何だか落ち着かない…。まだ昼過ぎで、石原さん達はきっと夜にならないと戻ってこない。ずっと染谷と二人で過ごすのかと思うと妙に緊張してしまう。
ソファに座る俺の隣に座った染谷はまた手を握る。
「…なぁ…もう手繋がなくても、俺別に逃げたりしないし、お前の記憶消してどっか行ったりしないから…暑いだろ?離せよ…。」
流れ込んでくる愛の言葉はホテルの部屋に入ってからどんどん大胆になっていて、ドキドキし過ぎて体がもちそうに無い。
「それに、ちょっと一人になりたい…。」
「どうしてですか?私は一緒に居たい。」
『その艶やかな唇にキスしたい。』
「…俺にだってプライベートな時間が必要だ。」
「私は貴方の全てを見ていたい。」
『あの夜の様に貴方と繋がりたい…舐め回して…喘がせて…』
「おい!!!!度が過ぎるだろう?もう手離せって!トイレっ!」
遠慮を知らない彼の心の声はあまりにも刺激が強すぎて、俺はいたたまれなくなってトイレへ入った。
トイレの蓋を下ろして座る。俺の中心が頭を擡げて硬さを増して泣いている。染谷が心の中で喋る中身が過激になり、一つになった夜を思い出させて、俺の中に積もった想いを吐き出さねばもう耐えられなくなっていた。
窮屈なズボンを下ろし自分の欲望をおずおずと取り出すと籠もっていた熱が空気に触れて少し逃げる。それだけでも少し楽になった。
俺は座ったままで恐る恐る括れから垂れる涙を指で掬い、滑りを助けるように全体に纏わりつかせる。
さっきまで染谷と繋いでいた手の温度が他の体の部分より暖かくて、不思議な感覚に襲われた。まるで彼が触っているようだ。
四六時中囁かれた言葉が頭に浮かびあの夜の事を思い出す。
「っ…ぁ…」
上下の動きを少しずつ早めると声が漏れそうになり、反対の手で自分の口を塞ぎ自分への刺激を強める。早くしないと染谷に勘付かれてしまう…。
―――だがもう遅かった。バスルームにノックが響く。
「海静様…。大丈夫ですか?お腹の調子でも悪くなりましたか?」
「…っ…ぅっ…」
もうちょっとなのに…。
鍵を掛け忘れていたようで、染谷はそっとドアを開けた。嘘だろ!入ってくるなんて!
「入ってくるなよ!何考えてんだ!トイレだって!」
とっさに露出していた部分を手で隠して抗議したが、染谷はドアを開けて後ろ手で閉めた。
蓋の上に座り自慰に耽る俺を見て染谷が息を飲み目を見開く。そして綺麗な眉根を寄せて悩ましい顔をして近寄る。俺は両膝を持ち上げ、中心を隠した。太ももの傷が引きつる。
「っやめろ!何で入って来るんだよ!俺のプライベート空間を侵すなよ!」
「…お手伝いを…させてください。」
「手伝いなんて要らないから、早く出てけ!」
「こんな状態の貴方をそのままにしておくような薄情な男では有りません。」
「そこは薄情でいいんだよ!近寄るな!」
彼に触られたらどうなるか自分でよく分かってる。
「良臣!!」
俺の言葉をまるで聴いていない染谷は膝裏と腰に腕を入れて俺を抱きかかえるとそのままベッドへと連れて行った。
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