現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 突進して来るファングボアに対して、棍を構えて待つ俺。

 ファングボアはどんどん近付いて来る。

 そしてファングボアとの距離が2mくらいになったその瞬間、棍を振りかぶってファングボアの横っ面に向けてフルスイングを放った。

 棍のフルスイングを受けたファングボアは、バランスを崩して倒れたが、横向きのまま何度か足をシャカシャカさせてから起き上がり、再度突進の態勢をとって来た。

 俺はバックステップで距離を取り、突進をして来る前にファングボアの横っ面目掛けてフルスイング再度入れた。

 ファングボアは再び倒れると、横になったまま足をシャカシャカさせてから、立ち上がる。

 立ち上がったファングボアはなんと予備動作をせずに突進して来た。

 その突進は何とか横方向へ躱し、Uターンしてから再度突進して来たファングボアの横っ面に3度目のフルスイングを叩き込む。

 ファングボアも頭部へのダメージが蓄積して来た様で、倒れて足をシャカシャカする時間が長くなって来た。

 そこで俺は思い付いた。

 ファングボアの機動力=足、その足を使えなくしたらただのサンドバッグになるのではと・・・。

 ファングボアが起き上がる前にファングボアに近付き、棍で足を叩きまくる!

 足を滅多打ちにされたファングボアは激しい痛みを感じている様で、『プギャーーー!』と叫び声に似た鳴き声を上げている。

 何度も棍を振り下ろすと左前足の骨が折れて、曲がってはいけない方向に曲がったのを確認出来た。

 次は後ろ足だ。

 俺は後ろ足にも容赦無く棍を叩き付けた。

 そして後ろ足も曲がってはいけない方向に曲がったのが確認出来た。

 俺はファングボアの頭部に近付いて、頭に向かって棍を叩き付けた。

 それを何度か繰り返していると、ファングボアの体が光の粒子になり、ドロップ品を残して消えて行く。

 ファングボアとの戦闘は終了した。

 ファングボアのドロップ品はビー玉の倍くらいの大きさの魔石と、肉の塊だった。

 ドロップした魔石はリュックにしまい、肉の塊はご丁寧に謎の葉っぱに包まれていたので、収納袋に入れておいた。

 因みにコボルトのドロップ品は、ビー玉よりも少し大きな魔石だけだった。

 俺は休憩がてら先程の戦闘を振り返る。

 コボルトに関しては危なげなく勝利する事ができたが、ファングボアに関しては苦戦とまではいかないが、時間がかかりすぎた。

 横っ面への一撃から、すぐに足を使えない様にすれば時短は可能かもしれないが、足を破壊するまで時間が掛かり過ぎている。

 これがソロでの限界なのか、火力が足りていないのか、どちらかは判断が出来ないが、まだ俺の中での戦闘事例が足りていないので、もう少しファングボアを狩る事にした。

 モンスターハウスに向かって歩きながら、途中何度か戦闘をしたが、スライム・ゴブリン・コボルトは問題無く一撃で倒す事が出来たが、ファングボアはやはり時間が掛かる。

 それでも最初の横っ面への一撃でファングボアを横にさせ、すぐさま足を破壊、それから頭部を滅多打ち、の流れでかなり早く倒す事ができたのだが、足を破壊するのと、頭部へのとどめに時間がかかる。

 今は一匹で出て来るが、これが複数で出て来る様になれば対応は不可能だ。

 順調と思われていた探索が、まさかファングボアで躓く事になるとは・・・。

 それから悶々としながらモンスターハウスまで辿り着き中の様子を伺うと、最悪の光景が見えた。

 モンスターハウスの中はファングボアの群れに支配されていたのだ。

 俺はモンスターハウスの攻略を諦め、ゲートに戻る事にした。

 ファングボアとの戦闘を最適化させたかったので、2階は階段室までモンスターを狩りながら歩き、1階はゲート近くまで転移してゲートに戻った。

 ゲートを通って地上に戻り、係員のおじさんに退場処理をして貰ってから、武器屋に向かった。

「すいません。棍は便利なんですがファングボアと戦うのに少し火力不足を感じてまして・・・。携帯性の良い破壊に特化した武器ってありませんか?」

 武器屋のおじさんに相談を持ち掛けてみた。

「たしか兄ちゃんは今日で3日目だったよな?ファングボアって言うともう2階層に入ったのか?」

 おじさんからの問い掛けに頷いて返す。

「なるほどなぁ・・・。ファングボアへの対抗策はロングソードで首を斬るか、パーティ組んで袋にするか、そのあたりがメジャーな方法なんだが、兄ちゃんはまだソロで潜りたいんだろう?」

 俺は頷いて返事を返す。

「だったら方法が無い訳じゃない。破壊に特化した武器も一応扱っているが、どちらも不人気商品なんだな。最近の探索者は見た目が華やかな武器しか選ばないからな。不人気な武器だが気になるか?」

 「はい」、俺は返事を返した。

 おじさんは「ちょっと待っててくれ」と言って奥に引っ込んで行った。

 暫くして戻って来たおじさんの手には、工事現場で使うような柄の長い鉄のハンマーと、1mくらいの長さの金属製の柄にスパイクかが沢山着いた鉄球が取り付けられている鈍器が持たれていた。

「こいつがバトルハンマーだ。要は戦闘用のハンマーだが、工事現場で使う大ハンマーと大差は無い。そしてこいつがバトルメイスだ。見た目は地味だが破壊力と使い勝手は抜群だ。両方とも破壊に特化した武器だが、どっちが気になる?」

 俺はハンマーよりもバトルメイスが気になる。

 ハンマーよりも携帯性が良さそうで、ハンマーの機能も兼ね揃えている様に見えたからだ。

「バトルメイスが気になります。ハンマーよりも携帯性が良さそうですし、取り回しも良さそうです。それにハンマーの機能も兼ね揃えている様に見えたので」 

 そう答えるとおじさんは笑いながら俺の肩をバシバシ叩いて来た。

「久々に本当の探索者に会えた気がするわ!武器はな、見た目じゃないんだわ。俺に言わせれば見た目なんぞ二の次三の次だ。武器に必要なのは[自分の必要とする機能性]なんだな。兄ちゃんも見た目が華やかだがクソ弱い武器なんざ使いたくないだろう?でも最近の探索者達は見た目の華やかなクソ弱い武器を使いたがる。でも兄ちゃんは自分に必要な武器を選ぼうとしている。それだけでも大きな違いだ!」

 おじさんはここまで一気に話すと水筒を口に付けて水分補給をしてから、続きを話し始めた。

「棍を選んだ時もそうだ。そして今回のバトルメイスもそうだ。必要な機能が備わっている武器を自然と選べるのは、探索者として成功したいのであれば絶対に必要な事だ。それが自然と出来る兄ちゃんは絶対成功する!断言してもいい!」

 おじさんは興奮しきっていた・・・。
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