現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

文字の大きさ
10 / 96

9

しおりを挟む
 突進して来るファングボアに対して、棍を構えて待つ俺。

 ファングボアはどんどん近付いて来る。

 そしてファングボアとの距離が2mくらいになったその瞬間、棍を振りかぶってファングボアの横っ面に向けてフルスイングを放った。

 棍のフルスイングを受けたファングボアは、バランスを崩して倒れたが、横向きのまま何度か足をシャカシャカさせてから起き上がり、再度突進の態勢をとって来た。

 俺はバックステップで距離を取り、突進をして来る前にファングボアの横っ面目掛けてフルスイング再度入れた。

 ファングボアは再び倒れると、横になったまま足をシャカシャカさせてから、立ち上がる。

 立ち上がったファングボアはなんと予備動作をせずに突進して来た。

 その突進は何とか横方向へ躱し、Uターンしてから再度突進して来たファングボアの横っ面に3度目のフルスイングを叩き込む。

 ファングボアも頭部へのダメージが蓄積して来た様で、倒れて足をシャカシャカする時間が長くなって来た。

 そこで俺は思い付いた。

 ファングボアの機動力=足、その足を使えなくしたらただのサンドバッグになるのではと・・・。

 ファングボアが起き上がる前にファングボアに近付き、棍で足を叩きまくる!

 足を滅多打ちにされたファングボアは激しい痛みを感じている様で、『プギャーーー!』と叫び声に似た鳴き声を上げている。

 何度も棍を振り下ろすと左前足の骨が折れて、曲がってはいけない方向に曲がったのを確認出来た。

 次は後ろ足だ。

 俺は後ろ足にも容赦無く棍を叩き付けた。

 そして後ろ足も曲がってはいけない方向に曲がったのが確認出来た。

 俺はファングボアの頭部に近付いて、頭に向かって棍を叩き付けた。

 それを何度か繰り返していると、ファングボアの体が光の粒子になり、ドロップ品を残して消えて行く。

 ファングボアとの戦闘は終了した。

 ファングボアのドロップ品はビー玉の倍くらいの大きさの魔石と、肉の塊だった。

 ドロップした魔石はリュックにしまい、肉の塊はご丁寧に謎の葉っぱに包まれていたので、収納袋に入れておいた。

 因みにコボルトのドロップ品は、ビー玉よりも少し大きな魔石だけだった。

 俺は休憩がてら先程の戦闘を振り返る。

 コボルトに関しては危なげなく勝利する事ができたが、ファングボアに関しては苦戦とまではいかないが、時間がかかりすぎた。

 横っ面への一撃から、すぐに足を使えない様にすれば時短は可能かもしれないが、足を破壊するまで時間が掛かり過ぎている。

 これがソロでの限界なのか、火力が足りていないのか、どちらかは判断が出来ないが、まだ俺の中での戦闘事例が足りていないので、もう少しファングボアを狩る事にした。

 モンスターハウスに向かって歩きながら、途中何度か戦闘をしたが、スライム・ゴブリン・コボルトは問題無く一撃で倒す事が出来たが、ファングボアはやはり時間が掛かる。

 それでも最初の横っ面への一撃でファングボアを横にさせ、すぐさま足を破壊、それから頭部を滅多打ち、の流れでかなり早く倒す事ができたのだが、足を破壊するのと、頭部へのとどめに時間がかかる。

 今は一匹で出て来るが、これが複数で出て来る様になれば対応は不可能だ。

 順調と思われていた探索が、まさかファングボアで躓く事になるとは・・・。

 それから悶々としながらモンスターハウスまで辿り着き中の様子を伺うと、最悪の光景が見えた。

 モンスターハウスの中はファングボアの群れに支配されていたのだ。

 俺はモンスターハウスの攻略を諦め、ゲートに戻る事にした。

 ファングボアとの戦闘を最適化させたかったので、2階は階段室までモンスターを狩りながら歩き、1階はゲート近くまで転移してゲートに戻った。

 ゲートを通って地上に戻り、係員のおじさんに退場処理をして貰ってから、武器屋に向かった。

「すいません。棍は便利なんですがファングボアと戦うのに少し火力不足を感じてまして・・・。携帯性の良い破壊に特化した武器ってありませんか?」

 武器屋のおじさんに相談を持ち掛けてみた。

「たしか兄ちゃんは今日で3日目だったよな?ファングボアって言うともう2階層に入ったのか?」

 おじさんからの問い掛けに頷いて返す。

「なるほどなぁ・・・。ファングボアへの対抗策はロングソードで首を斬るか、パーティ組んで袋にするか、そのあたりがメジャーな方法なんだが、兄ちゃんはまだソロで潜りたいんだろう?」

 俺は頷いて返事を返す。

「だったら方法が無い訳じゃない。破壊に特化した武器も一応扱っているが、どちらも不人気商品なんだな。最近の探索者は見た目が華やかな武器しか選ばないからな。不人気な武器だが気になるか?」

 「はい」、俺は返事を返した。

 おじさんは「ちょっと待っててくれ」と言って奥に引っ込んで行った。

 暫くして戻って来たおじさんの手には、工事現場で使うような柄の長い鉄のハンマーと、1mくらいの長さの金属製の柄にスパイクかが沢山着いた鉄球が取り付けられている鈍器が持たれていた。

「こいつがバトルハンマーだ。要は戦闘用のハンマーだが、工事現場で使う大ハンマーと大差は無い。そしてこいつがバトルメイスだ。見た目は地味だが破壊力と使い勝手は抜群だ。両方とも破壊に特化した武器だが、どっちが気になる?」

 俺はハンマーよりもバトルメイスが気になる。

 ハンマーよりも携帯性が良さそうで、ハンマーの機能も兼ね揃えている様に見えたからだ。

「バトルメイスが気になります。ハンマーよりも携帯性が良さそうですし、取り回しも良さそうです。それにハンマーの機能も兼ね揃えている様に見えたので」 

 そう答えるとおじさんは笑いながら俺の肩をバシバシ叩いて来た。

「久々に本当の探索者に会えた気がするわ!武器はな、見た目じゃないんだわ。俺に言わせれば見た目なんぞ二の次三の次だ。武器に必要なのは[自分の必要とする機能性]なんだな。兄ちゃんも見た目が華やかだがクソ弱い武器なんざ使いたくないだろう?でも最近の探索者達は見た目の華やかなクソ弱い武器を使いたがる。でも兄ちゃんは自分に必要な武器を選ぼうとしている。それだけでも大きな違いだ!」

 おじさんはここまで一気に話すと水筒を口に付けて水分補給をしてから、続きを話し始めた。

「棍を選んだ時もそうだ。そして今回のバトルメイスもそうだ。必要な機能が備わっている武器を自然と選べるのは、探索者として成功したいのであれば絶対に必要な事だ。それが自然と出来る兄ちゃんは絶対成功する!断言してもいい!」

 おじさんは興奮しきっていた・・・。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

東京ダンジョン物語

さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。 大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。 ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。 絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。 あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。 やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。 スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。 無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...