現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

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 なんとか地上に戻った俺は、足を引きづりながらダンジョンショップに入った。

 ダンジョンショップ内は、探索者用のカバンや、服、防具、お目当ての回復薬などを販売しており、どれも良いお値段のプライスカードが付けられていた。

 武器は探索者協会でしか購入出来ないので、今まで武器屋には何度も足を運んだが、カバンや服は民間での販売品で代用が効くのでダンジョンショップには足を運ぶ事が無かった。

 初めてのダンジョンショップでのショッピングは、ブラックカウから受けた傷を治療する為の回復薬を購入する為に入る事になるなんて、思ってもみなかった。

 鈍く痛む足を引きづりながらカウンターまで辿り着き、店員さんに回復薬が欲しいと伝える。

 店員のお姉さんは、

「初めて来られた探索者さんですね。回復薬はありますが、結構良いお値段がしますよ。お支払いは大丈夫ですか?」

 と聞いて来たので、俺は銀級探索者証をカウンターに出して、「大丈夫」と伝えた。

 店員のお姉さんは、回復薬を棚から持って来ると値段と回復薬の説明をして来た。

「傷の程度が分かりませんが、軽度の怪我ならこの回復薬で治療出来ます。この回復薬は低級回復薬と言いまして、軽度の切り傷や軽度の火傷なら完治させる事が出来ますが、回復薬と言われるだけあって、お値段もそれなりにします。回復薬は低級が1本15万円、中級が1本60万円、上級になると1本240万円になります。探索者様は自分で歩ける様なので、この低級回復薬で大丈夫だと思いますが、低級回復薬を購入されますか?」

 回復薬は低級から中級、中級から上級とランクが変わる度に価格が4倍になるようだ。

 そして自分で歩ける俺が受けた傷なら低級で十分効果があるらしいので、俺は低級回復薬を購入する事にした。

 購入の意思を伝え、財布から15万円取り出して支払う。

 支払いが済むと、回復薬の使い方を説明されたので、説明を聞いてからすぐに使うと言うと、傷の場所を聞かれたので傷の場所を伝えた。

 店員のお姉さんはカウンターから身を乗り出して俺の足を見ると、血で染まったスボンを見て、予想に反して緊急性が高いと判断したようで、協会の処置室で回復薬を使う様言って来た。

 そして協会の処置室を使用出来る様に手筈も整えてくれるらしく、協会の何処かに電話を掛け始めた。

「もしもしお疲れ様です、ダンジョンショップです。緊急性の高い受傷をされている探索者の方を処置室に搬送をお願いします。・・・・・・・・・。はい、探索者の方の氏名は安達臣様、ランクは銀級になります。・・・・・・・・・。はい、ではこちらでお待ちいただくので、至急搬送をお願します」

 店員のお姉さんは電話を切ってから、俺に話し掛けて来た。

「搬送する為の職員が今こちらに向かっていますので、もう暫くこちらでお待ちください。結構出血されている様ですが、応急処置はされていますか?」

「はい。圧迫止血をした後、傷を蝶型テープで止めてからガーゼを当てて包帯を巻いてあります」

 俺がそう答えると、店員のお姉さんは何度か頷くと、

「止血と応急処置がしてあるなら、少しだけ安心しました。後は低級回復薬で完治出来れば良いのですが・・・・・っと、搬送してくれる職員が来た様ですね」

 お姉さんがそう言うと、ダンジョンショップの扉から、車椅子を押しながら協会職員が入って来た。

 その協会職員はなんと錦織さんだった。

「安達様が怪我をされたと聞いたので、私が搬送をさせていただく事にしました。話を聞いて支部長も来ると申しておりましたが、仕事が溜まっていたので私一人でこちらに来ました」

 そう言いながらカウンターにもたれかかった俺に近付いて、俺のズボンを見た瞬間、錦織さんの顔が青ざめた。

「ズボンがそこまで血で染まる程の怪我、本当に軽い怪我ですか?西村さん!本当に低級回復薬で大丈夫ですか?」

 錦織さんは何時ものクールな感じから一変して、本当に低級回復薬で治るのか店員のお姉さんに問い詰めている。

 店員のお姉さんも、俺が自分で歩けているから低級回復薬で大丈夫と答えたが、錦織さんは納得していない様だ。

 店員のお姉さんに「急いだ方が良いかも」と言われて我に返った錦織さんは、押して来た車椅子に俺を座らせると、協会の処置室へと車椅子を押して移動を始めた。

 処置室に着き、処置用のベッドに座らせられた俺は、先程購入した低級回復薬をポーチから取り出してから包帯を外す為にズボンを脱ごうとした所である事に気が付いた。

 この部屋の中に錦織さんが居る事を・・・。

「あの・・・、包帯を外す為にズボンを脱ぎたいので、一人にしていただけると・・・」

 俺は彼女いない歴=年齢の残念な所もあるが、お年頃の健康な男性だ。

 病院で医療関係者の前でズボンを脱ぐのと、協会で美人な職員さんの前でズボンを脱ぐのは色々と違ってくる。

「脱いでいただいて大丈夫です!私は協会職員として務めていますので、負傷された探索者の方を目にした事も、治療の為に服を脱がれるのを目にした事も、数え切れない程あります!ですので気になさらず続けてください」

 そう言われた俺は、気にせずに脱ぐ事にした。

 ・・・・・訳ではなく、年頃の羞恥心たっぷりな俺はズボンをなかなか脱ぐ事が出来なかったが、治療を急ぎたがる錦織さんに無理矢理すズボンを脱がされて、俺は無事にパンイチになった・・・。

 無理矢理にではあるが・・・。

 パンイチは恥ずかしが、俺は巻いてあった包帯を外して、その下のガーゼも外した。

 それからリュックからタオルを取り出して太腿の下に敷いて、回復薬をかける用意を整えた。

 ダンジョンショップのお姉さんは確か、半分傷にかけてから半分飲むと言っていた。

 予め用意しておいた回復薬に手を伸ばすと、その回復薬の隣で俺の太腿の傷を見て唖然としている錦織さんの顔が見えた。

 唖然とした表情の錦織さんよりも、今はこの痛みから解放される方が先だ。

 俺は太腿の傷に低級回復薬を半分かけてから、残り半分を飲み干した。

 初めての回復薬レポートだが、傷にかけた時は、傷に液体がかかる感じしかしなかったが、問題は口に流し込んだ時だ!

 青臭くて苦味があって、少しでも飲みやすくする為に添加された甘さが青臭さと苦味をブーストしている。

 わかりづらい?例え様が無いんだよ!

 とにかく不味い!

 不味いが傷はみるみるうちに治っていく。

 高速再生と言えばいいのか?それとも逆再生と言えばいいのか?

 回復薬を傷にかけた瞬間から、傷は治り始めて、回復薬を飲んで口内の粘膜に触れた瞬間から、痛みは引き始めた。

 凄い・・・。

 これは凄い・・・。

 凄すぎる!!!!!

 無事に傷の治療が終わったのだが、その後錦織さんに謎の説教をされたのはまた別の話。



 

 
 
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