現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

文字の大きさ
41 / 96

35

しおりを挟む
 カミュを自宅の納屋に呼び出して、スキルオーブを受け取ったまでは良かったが、納屋にオカンが乱入して来たのは予想外だった。

「あんた折角友達が来てるのに、納屋で何してるの?入って貰いなさいよ!それにしても変わった格好ね?今流行りのコスプレとかって奴かしら?」 

 オカンのマシンガントークが続いている。

「大丈夫だから戻って!もう送る所だから!」

「あら、ご飯を食べて貰えば良いじゃない!用意しておくから、用事が終わったら入って来なさい!」

 緊急事態だ。

 うちのオカンはこう言ったら待ったナシで、カミュを連れて入らなければ何が起きるか分からない。

 俺は腹を括って、カミュを連れて入る事にしたが、はたしてカミュは鎧を、脱ぐ事が出来るのだろうか?

 オカンを家に追いやってから、俺はカミュに仕込みと脱皮をさせる為、色々と話しかけた。

「ごめんカミュ、厄介な事に巻き込んでしまった・・・」
 
「私は一向に構いません。先程の方は主の母上様ですか?」

「うん。俺の母親。ああ言ったらテコでも動かないし、俺がこの世で唯一逆らえなくて、敵わない存在・・・」

 俺の言葉にカミュはフリーズしている。

「あのさー、カミュってその鎧脱げる?変な意味じゃなくて、これから俺の家でカミュも一緒に夕食を食べる事になったんだけど、鎧のままだと流石にオカンが何か言いそうだから・・・」

 俺がそう言うとカミュは、ハッとして表情になり俺の質問に答えてくれた。

「主と夕食をご一緒出来るのですか?脱げます!脱ぎます!元よりこの鎧は飾りの様な物です。して、どの様な格好になればよろしいでしょうか?服は魔力で作れますゆえ」

「今の俺の服みたいな格好になれる?それと、俺の名前はシンだから、主ではなくて[シン]と呼び捨てにして。ついでに敬語も無しでフランクな感じでお願い」

「それは流石に主に失礼かと・・・」

「大丈夫!フランクにしてくれないと、カミュが戻った後のオカンからの尋問が怖い!」

 俺がそう言うと、不承不承だが俺の言う事を了承してくれた。

 その後、鎧を消して普通の格好に変身したカミュを連れて家に入り、無事に食事を終える事が出来た。

 カミュの見た目から、異国の方だと判断してくれた我が母上は、カミュには箸ではなく、ナイフとフォーク、そしてスプーンを用意してくれており、カミュも初めてのこの世界の食事を楽しむ事が出来た様だった。

 ダイニングにカミュを連れて入った時にウメがビクっとして、「なんでお前がここにいるの?なんで?」って感じのリアクションは見ていて楽しかった。

 そしてウメがオカンに溺愛されている姿を見たカミュの、「プフラウメ様は凄く大切にされている様ですね」の呟きが聞こえたが、その呟きを聞いて何か嬉しい気持ちになったのはカミュには内緒だ。

 カミュを送還する為に外に連れて出る際に、「カミュ君、いつでも遊びに来てね。おばちゃんご飯沢山作るから」と、オカンに言われたカミュは心底嬉しそうだった。

 カミュは元の世界への帰り間際に、

「今度お邪魔する際は、魔界の一番いいお酒を父上様と母上様にお持ちいたします。大変恐縮ですが、主のご両親様によろしくお伝えくださいます様お願い申し上げます」

 と言って、空間の裂け目に入って行った。

 ちょっとカミュとの距離が縮まった気がする。


 カミュが戻った後、俺は我が家の魔界へと戻り、カミュから貰ったスキルオーブを片っ端から鑑定する事にした。

 もしかしてもしかしたら、お目当ての[収納]のスキルがあるかもしれないからだ。

 俺はスキルオーブを手に取り[鑑定]と念じてみた。

 【スキルオーブ:高密度の魔力が濃縮される事によって、魔力が球状に結晶化し、結晶の内部で魔力がスキルへと変質して封入されたオーブ。このオーブには全属性魔法が封入されている】

 おっと・・・、お目当てでは無いが、いきなりラスボスみたいなスキルが現れた。

 俺はマスキングテープに[全属性魔法]と書いてオーブに貼り付けておいた。

 それから次々とスキルオーブを鑑定していく、[魔力操作]・[攻撃力上昇]・[睡眠]・[結界]・[自宅警備]・[鑑定]・・・、なかなかお目当てのスキルが出て来ない。

 たまにおかしなスキルが出て来るが、気にせず鑑定を続けていく。

 [剣術]・[体術]・[料理]・[現実逃避]、おっふ・・・、変なの混ざってる・・・。

 [魔法剣]・[切れ味上昇]・[収納]・・・、
来た・・・、ついに来た・・・。

 念願の収納スキルのスキルオーブがついに出てくれた!

 逸る気持ちを抑えて、マスキングテープに鑑定した内容を書いて、収納以外のスキルオーブに貼っていく。

 ちなみにスキルオーブの鑑定の進捗状況はまだ50%に達していない。

 鑑定済のスキルオーブをコンビニ袋に入れてから、カミュのくれた袋に入れて、収納袋に収納する。

 それから風呂に入り、寝る準備をしてから、スキルオーブを使う為にベッドに横になった。

 スキルオーブを手に取り、スキルの取得をしようとした瞬間、携帯に着信が入ったので画面を見ると、知らない番号からの着信だった。

 最近の調査によると、知らない番号やフリーダイヤルからの着信を取らない人が急増中らしい。

 だから俺も知らない番号からの着信を取りたくない!・・・と思っていましたが、あまりにもしつこいので取らない事にしました。

 なり続ける携帯電話を放置し、スキルオーブを両手で握り締めて、[スキル取得]と念じた。

 多分一生慣れる事の無い強烈な頭痛が襲って来て、俺はそのまま意識を失った。

 翌朝の目覚めはあまり気分の良いものではなかったが、スキルを取得出来たのであれば、この不快感のある目覚めも受け入れる事が出来る。

 確認の為にステータスを表示させると・・・、

名前:安達臣
種族:ヒューマン
年齢:18歳
スキル:テイム・転移・身体強化・他種族言語・鑑定・収納

 あった!

 収納があった!

 俺は早速空になったスキルオーブに手をかざして、[収納]と念じてみた。

 ・・・・・スキルオーブは手をかざしただけで、きちんと収納された。

 そしてベッドの上にスキルオーブが出る様に意識しながら、[排出]と念じると、指定した場所にきちんと収納した物が排出される。

 それから暫くの間、収納スキルの効果を検証する為に色々と試してみた。

 収納可能な距離、収納されている物を把握する方法、収納出来る量、収納可能な大きさ、収納した物の効果的な取り出し方、色々と検証してみた結果は驚くべき物だった。

 まず収納可能な距離は約3m程で、手をかざさなくても収納したい物を視界に入れて[収納]と念じるだけで、収納する事が出来た。

 収納されている物の把握は、[収納物確認]と念じると、目の前にリストが表示された。

 収納出来る量は、収納袋内の物を全て入れる事が出来たので、かなりの量が収納可能と思われる。

 収納可能な大きさは、我が家の魔界にある最大の物体である、セミダブルベッドを収納する事が出来たので、おそらくセミダブルベッドサイズまでは収納が可能なのは間違いない。

 そして収納した物の効果的な取り出し方だが、わざわざ[排出]と念じなくても、[メイスを右手に握る]と思い浮かべれば、その通りに出て来てくれた。

 もちろん複数の取り出しも可能で、[スキルオーブ2個]と思い浮かべればその通り出て来てくれる。

 痒い所に手が届くスキルだと言う事が分かった。

 時間の経過に関しては検証が出来ていないが、時間経過により劣化する物は収納袋に再度収納してから、スキルの方に入れてあるので大丈夫だろう。

 ちなみに収納スキルで収納した収納袋は、わざわざ出さなくてもスキルの中で物の出し入れが出来る事も分かったので、量に関してはまだ検証が終わっていないが、実質無限と考えても良いだろう。

 収納スキルの最低限の検証が終わったので、朝食を取ってから桜ダンジョンに向かう事にした。

 今日から協会職員の横澤さんと一緒に潜る事になっている・・・。

 憂鬱な気持ちで、桜ダンジョンに向かって車を走らせた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

異世界に飛ばされた人見知りの僕は、影が薄かったから趣味に走る事にしました!

まったりー
ファンタジー
主人公は、人見知りな占いが大好きな男の子。 そんな主人公は、いるのか分からない程の影の薄さで、そんなクラスが異世界に召喚されてしまいます。 生徒たちは、ステータスの確認を進められますが、主人公はいるとは思われず取り残され、それならばと外に1人で出て行き、主人公の異世界生活が始まります。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。 ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。 仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

処理中です...