現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン

文字の大きさ
42 / 96

閑話7

しおりを挟む
ある大人達の少し前の会話

「ここ最近、桜ダンジョンで色々とイレギュラーが発生している様だが、原因は把握出来ているのかね?」

「申し訳ございません。未だ原因の究明が出来ておらず、原因の把握は出来ておりません」

「当該ダンジョンでの未発見モンスターの出現や、特Sアイテムの発見、これは本部が本格的な調査をするべき案件だと思うが、君の部署には調査に回れる有能な職員はいないのかね?森田君」

 そう、ここは探索者協会本部で、探索者協会本部総務部部長の森田と会話をしているのは、探索者協会会長の田辺だ。

 会長の田辺は探索者出身ではなく、代々有力者を輩出している名家の出身で、日本の政財界への影響力が大きい人物だ。

 名家の出身だが、組織の管理能力や 危機管理能力に非常に長けており、家柄だけでなく実力の方も申し分ない。

「申し訳ございません。私の部署にはダンジョンの調査が出来る人材がおらりません。ですので警備部から人員をお借りしたいのですが・・・」

「そうか・・・、ならば警備部に連絡を入れておくから、警備部から金級相当の職員を連れて、現地に入ってくれ。その職員には未発見モンスターと特Sを持ち込んだ探索者との探索同行と、桜ダンジョンの調査を指示してくれ。君はエリクサーを探索者から受け取ってから本部へ移送してくれ。移送が完了後は再度桜ダンジョンに向かい、協会支部の監査とイレギュラーの調査に当たってくれ」

「承知いたしました。例の探索者への買取金の支払いと、協会からのバックアップ、黒級昇格は予定通り行ってもよろしいでしょうか?」

「構わん。各省庁や国税とは話が付いている。探索者には申し訳ないが、今回は100億で納得して貰い、補填として協会からのバックアップと、黒級昇格を伝えて、昇格処理も行ってくれ。移送の際は物々しくなってしまうが、陸上では完全武装した協会職員と警察による警護と、空の上では航空自衛隊の戦闘機がエスコートしてくれる事になっている。必ず無事に特Sを本部に持ち帰ってくれ」

「承知いたしました。必ず特Sを本部に持ち帰って参ります」

 特Sアイテム・・・エリクサーを探索者から購入し、持ち帰る為の警備の規模は前例が無い程大きい。

 陸上では[完全武装した協会職員]と[完全武装した警察官]が特Sを移送する森田の警護にあたるのだが、注目すべき点は警護要員が完全武装している事だ。

 国内外の要人を警護する際ですら、我が国では完全武装して警護をする事は無い。

 アメリカ大統領に帯同して来る、警護部隊は別だが、日本政府や協会、警察が主導で警護の為に完全武装した人間を動かす事は前例が無いのだ。

 しかも空路では、特Sを載せた政府が用意したチャーター機を、航空自衛隊の戦闘機がエスコートしてくれる事にまでなっている。

 おまけに空港から本部までのヘリコプターでの移動は、陸上自衛隊の戦闘ヘリがエスコートしてくれるのだ。

 この重要なミッションを命じられた森田の胃袋は、すでに限界を超えつつあるのだが、そんな事を田辺は知らない。

「そうそう森田君、例の探索者だがなんとか懐柔する事は出来ないかね?手段は問わないから懐柔してくれんか?彼を他の省庁や他国に渡すのは、協会としては見過ごす事が出来ん。協会職員になって貰う事がベストだが、それが難しいなら協会の関係者と探索者パーティーを組ませたり、協会職員と男女の・・・、これ以上は言わなくても分かるな?なんとか懐柔してくれ。頼んだぞ!」

 森田は痛む胃を押さえながら、警備部へと向かった。

 警備部で協力してくれる職員は、元金級探索者の女性だったが、会長が求める結果を出すのは少し難しい見た目をしていた。

 顔は悪くない。

 顔は悪くないのだが、その、なんと言うか、お淑やかな胸をされていると言えばいいのか、お胸が慎ましいと言えばいいのか。

 可愛らしい顔はしている。

 可愛らしい顔はしているが、アイドル的な可愛いさではなく、おんなのこ的な可愛さの方だ。

 この時点で彼女の役割は、例の探索者とパーティーを組む一択になってしまった。

 森田の苦労はまだまだ続きそうだ。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

東京ダンジョン物語

さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。 大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。 ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。 絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。 あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。 やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。 スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。 無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!

現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜

涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。 ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。 しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。 奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。 そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。

チート魔力のせいで神レベルの連中に狙われましたが、守銭奴なので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
――自由を手に入れるために、なにがあっても金は稼ぎます―― 金さえあれば人生はどうにでもなる―― そう信じている守銭奴、鏡谷知里(28)。 交通事故で死んだはずの彼が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界。 しかもなぜか、規格外のチート魔力を手に入れていた。 だがその力は、本来存在してはいけないものだった。 知里の魔力は、封印されていた伝説の冒険者の魔力と重なったことで生まれた世界のバランスを崩す力。 その異常な魔力に目を付けたのは、この世界を裏から支配する存在―― 「世界を束ねる管理者」 神にも等しい力を持つ彼らは、知里を危険視し始める。 巻き込まれたくない。 戦いたくもない。 知里が望むのはただ一つ。 金を稼いで楽して生きること。 しかし純粋すぎる仲間に振り回され、事件に巻き込まれ、気付けば世界の管理者と敵対する羽目に――。 守銭奴のチート魔力持ち冒険者 VS 世界を支配する管理者。 金のために生きる男が、望まぬまま世界の頂点と戦うことになる 巻き込まれ系異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

処理中です...